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技術士(建設部門)2次筆記対策:申込書の書き方①”概要”

 技術士試験の受験申込書はただの申込書ではありません。筆記試験合格後の口頭試験の材料となります。要は、すでに口頭試験が始まっていると思ってください。

① 技術士の定義

 申込書を書く上で最も重要なのは、「技術士としての経験、技量、素質…を持っているか、を試験官にアピールすること」です。ですから、「私は○○という経験があり、技術士になるにふさわしい人物です」と言わないといけません。その上で、絶対知っておかなければいけないのは、技術士とはどんな人か?です。

技術士法より(http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?re=&vm=01&id=73
(定義)
第二条 この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する《高等の専門的応用能力》を必要とする事項についての《計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務》(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。

 上記は、技術士法の抜粋です。申込書の書き方はここにすべて詰まっています。《 》で囲ったところが重要ですので、以下で詳しく述べさせていただきます。

② 「高等の専門的応用能力」をアピール

 高等の専門的応用能力とはどんな能力なのでしょうか。私が思うのは、普段の実務の中で経験したことのある、解決困難な技術的な課題の原因と対策を整理し、解決に向けて実施できる能力だと思います。
 ですから、ただ工事を発注したとか、施工計画を策定したとかではだめです。少しでもいいので、自分ながらに工夫したことや、通常とは違うことを書かないといけないのです。
 しかし、土木工学の世界はすでに成熟仕切っていると言っても良いと思いますが、課題に対する解決策で斬新なアイディアで解決するなんて、よっぽど天才じゃないと無理だと思います。技術開発だって何年もかけて基礎研究を重ねて、それだって結局既存の技術の微小な延長なのです。
 だから、気負いする必要はないです。「高等の専門的応用能力」とは、基礎的な知識をもとに、現場で起こった課題をその現場の特徴に合わせて解決策を探っていった程度のことでいいのです。

③ 「計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」を重視せよ

 技術士になるべき人は、「計画、研究、設計、分析、試験、評価またはその指導」を行ってきた人です。
 業務経歴を書くときに、以下のように書く人がいますが、これではダメです。
 (悪い例) 
  ・○○線△△橋りょう新設工事の発注
  ・○○駅改修工事の工事監督
  ・○○駅新設工事の工程、予算管理
 (更に悪い例)
  ・○○駅新設工事の電気系統との調整
  ・社内の人材育成プラン策定
  ・○○に関する研修

 上記の書き方では、技術士としてふさわしい経験を積んでいる人だという評価はされません。工事の発注や監督、調整をしたからなんなんですか?それが社内的に素晴らしいことだとしても、技術士としては全くもって意味のない経験です。
 

 業務経歴の内容は、
語尾を、【計画】、【研究】、【設計】、【分析】、【試験】、【評価】、これらの【指導】で終わらせる必要があります。
 (良い例)
  ・○○線△△橋りょう新設工事の施工計画の指導
  
・○○駅改修工事の設計指導
  ・○○高架橋のひび割れ原因の調査分析とその評価

 語尾にキーワードを入れておけば、試験官もわかりやすいですよね。書き方もかんたんです。ただ、語尾にこれらのキーワードを入れると少し変な表現になってしまう場合もあるので、そのときは直接的な表現ではなく、内容を咀嚼すれば○○の研究だとわかるような表現にしておく必要があります。


④昨年度の受験申込書の例

 私が受験したH31年度(令和元年度)の受験申込書を添付しておきます。
 ※申込み開始日になれば、技術士会のHPに最新版の申込書が掲載されますので、そちらを使用してください。例年変わらないと思いますが、これは悪魔でも昨年度の例ということで参考程度に見てください。


>2020年4月1日追記

 本日より、令和2年度版の受験申込書が、技術士会HPからダウンロード可能になっています。
 昨年度と内容は変わり無いようですが、新年度版を使うようにしてください。



次回は、実際に業務経歴を書いてみたいと思います。

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