よさこい:人生の半分を費やす価値のある趣味⑳ ~拘り~
今回は、僕の振り付けに対する思いを書きたいなと思います。
何をもとめる?
まず、振り付けを作る段階で、自分のチームと、それ以外のチームとではアプローチが違います。
自分のチームの場合は、基本的に自分(アシスタント含め)たちがどんな世界観や雰囲気を作りたいか。
さわやかなのか、力強いのか、楽しいのか、かっこいいのか。
それを、煮詰めていき、曲を依頼する。
そして、出来上がった曲を聴いてさらにイメージを膨らませます。
そこから作った振付をメンバーに提供します!
他チームの振り付けの場合は、そのチームがどんなことを望んでいるのか。
例えば、メンバーで楽しくわいわい踊りたいのか。
無理のない範囲で健康体操的な位置づけで踊りたいのか。
審査で上位を目指すような踊りをしたいのかなど。
また、基本的には曲がすでにあって依頼を受ける場合が多いですから、その曲のイメージも聞きます。
それによって、まったく作り方が違ってきますからね。
なので、その打ち合わせには結構時間を使います。
観客への目線
僕が振りを作る場合、やはりこれは外せない項目の一つです。
スポーツクラブのヨガやエアロビクスのように、自分が汗を流すことを目的に踊るのではなく、観客の皆さんが、その踊りを見てどう思うかが最も重要だと僕は思います。
もちろん、踊り子が楽しそうに一生懸命踊っていて、それを見ていて元気がもらえるということもあります。
でも、それはこちらから魅せているというよりも、たまたまそうなったという要素が強いと思うんですよね。
やはり、作品を作るなら、こちら側から仕掛けていきたいというのが、僕の思いです。
で、目線の話になるのですが、例えば、観客のことを考えないで踊るなら、目線はどこを向いていてもあまり関係ないと思います。
しかし、見てる方が喜んでもらえるような踊りをするならば、この目線はすごく重要なポイントだともいます。
僕が、メンバーにいつも言うのは
「お客さんを無視しない」
ということです。
これって言葉で聞くと「えっ、そんなのあたりまえじゃん」って思うかもしれません。
でも、4分の演舞をするとして、初めから終わりまでずっと、お客さんを意識できています?
これって、結構難しいと思うんですよね。
疲れてくるし、自分だけ盛り上がりたくもなるし。
でも、初めから終わりまで。
もっといえば、ステージに上がる前から、ステージを降りた後も、ずっとお客さんを意識し続けてほしいと思います。
(流しはまた話が少し変わりますが)
それが、わかりやすいのが目線なんです。
皆さんが演舞を見ているとき、魅かれる踊り子さんっていません?
もちろん、踊りがうまいとかあると思いますが、そういった方は、目線の使い方が非常にうまいです。
単純にわかりやすいところでいうと、アイドルがそうですね。
アイドルは、ファンを目線で魅了してますよね。
踊りのそれとは少し違いますが、目線や目力というのはとても大切です。
どうしたらよいのかをここで書くとめちゃめちゃ長くなりますが、簡単に言えば、目でも演舞してます。
で、そうなってくると表情も演舞してくるんですね、自然と!
僕はそういった部分をこだわってます。
間が大事
これは、いろんな場面で聞く言葉だと思います。
たとえば、漫才で面白い面白くないというのは間がうまいかどうかというのも大きく影響します。
会話でも、話を聞きやすいのは間がうまい人。
お芝居でも同じ。
仕事でもそういうことってありません?
僕は、踊りでも同じだと思っています。
ただ、これを言葉で伝えるのは本当に難しいことなんです。
もちろん、言葉で伝えようとします。
でも、なかなかうまくいかないのが事実ですね…。
踊りの間って何かっていうと、まず一つは「タメ」具合ですね。
そこからくる、振りと振りのつなぎの部分の表現。
それから、カウントの使い方。
例えば、4カウント使う動きで腕を伸ばして魅せたいとして、4カウント目の頭で伸びきるのか4カウントのお尻で伸び切るのかで全然かわります。
もちろん演出でも変わってくるので何とも言えませんが、カウントをいかにうまく使えるかということです。
それが、曲の雰囲気を表現できているかどうかということにもつながります。
さらには、踊り子同士の間。
これは、一番説明が難しいのですが、踊り子の経験がある方はわかるかもしれませんが、隣で踊っている人によって、自分の踊りや気持ちに変化が起こる経験ってありませんか?
好きとか嫌いとかそういうことではなく。
「この人と踊ると、なんか自然と笑顔になる」とか
「あっ、なんか今すごくシンクロできた」とか
こういう踊り子さんは視野が広く周りが見えていて、自分の踊りをしっかりしながらも、隣や後ろの踊り子さんとの呼吸を合わせる踊りができるんですよね。
なので、僕はいつも
視野を広く持って、周りの踊り子を感じて!
と言っています。
世界観を大切に。
これも当たり前のことなんですが、僕は演舞を見てもらう時間は、非日常を提供したいと考えています。
もちろん、踊っているメンバーは、その練習から、非日常だと思いますが、見に来てくれるお客さんも、いかにそれを楽しんでもらえるかが重要です。
なので、衣装を着て会場にいるとき、なるべく見られていることを意識し、見に来ている方々に嫌な思いをさせないよう、ずっと演者でいましょうと話してます。
もちろん、そんなことばかりでは疲れちゃう人もいます。
でも、これって慣れだと思うんですよね。
そもそも、衣装をきて街中にいること自体、普通じゃないんですよ。
だから、それを楽しんじゃえばいいんですよね。
コスプレイヤーさんたちと同じですよ。
衣装を着てるときは、自分は○○なんだと思い、祭りを過ごせばいいんですよ。
見られてることを楽しめばいいんですよ。
やっぱり、現実に戻される習慣があると、寂しくないですか?
きっと、みんながあこがれる俳優さんとかもそうですよね。
めちゃめちゃイケメンの俳優さんが、イメージと違うことしてたらちょっと残念な気持ちになりますよね。
そういうことなんですよね。
それと
僕は、演舞をしているとき、素に戻る瞬間はなくそうねと言います。
例えば、鳴子を落とした時に「しまった!」という素の顔をしたり、鼻がかゆくて、かいてしまったり、ないとは思うけど、鼻くそほじったりね。
あくまで素人集団
これに関しては、近年プロのダンサーや、振付師がかかわっているチームが増えているので、空~Qou~みたいなチームに限っての話かもしれません。
基本的に空~Qou~のメンバーは、ダンスや日舞の経験はおろか、エアロビクスや、ヨガの経験もないです。
どちらかというと運動が苦手なメンバーもいます。
そんなメンバーたちが、いかに見てくれている方々を楽しませたり、喜ばせたりできるかを常に追求してきました。
迷走していたころは、思い切って疋田天功みたいに、マジックでもやる?なんて冗談半分に話したこともありました。
でも、素人集団が、喜んでもらう演舞をするには
自分の見せ方を知っていくこと。
これに尽きると思うんですよね。
他の記事にも書いてますが、自分の良いところを前面に押し出し、苦手なところは、なんとなくごまかし、ほかの人に任せる。
こうして、お互いの良いところを引き出しあい、悪いところをカバーする。
そうすることによって、全体で見たときに、お客さんに喜んでもらえる演舞ができるのではないかと思います。
僕は、おそらくですがこの先も自分がメインになって踊りたいとは思わないと思います。
もっといえば、代表という立場を退いて、プロデュースに専念できたらとも思います。
そういった、創作活動が楽しいんですよね。
なので、振付など頼まれた時も、自分が楽しんでやっているので、あまり、報酬にこだわったことはないです。
空~Qou~以外の方々とご一緒させてもらうもの、また違った楽しみがありますしすごく勉強になりますので。
長々と書いてしまいましたが、拘りについてはまだまだ書けますよ~。
今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回もまたよさこいのネタで書きたいと思いますので、よろしくお願いします。
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