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からっぽの弁当箱

今年から新幼稚園児になった我が家のアナは3歳。
最初に数日は、幼稚園に行きたくないとグズったときもあったけど、
梅雨どき間近の初夏の今頃では、幼稚園でいろんな3歳児がすきそうな歌や踊りをうたったり、お友達とは遊ばないまでも、他のお友達の言動を見聞きするだけでも刺激が多いみたいで、楽しんでいる。
アナの一つの楽しみが給食で、
パパが仕事から帰ってきて食卓で、
「今日はアナちゃんね、給食ぜんぶ食べたよ。」
とか、
「今日は、お野菜食べたよ。」
と報告してくれる。
パパもママも、赤の他人がならどうでもいいような
そんな報告に目を細めて喜んでいる。

ママが夜なべでコムギちゃん

アナは、カワイイキャラクターが大好き。
特に、ワンダフルプリキュアのコムギちゃんの事を
「アナちゃん、コムギ好きだいもん!」
と、主張する程のお気に入り。

ある日、ママが夜なべして小さな紙に何かを描いている。
パパは何をかいてるんだろうと思って、ちらっと見てみると、
そのプリキュアのコムギちゃんを描いていた。
ママは昔、美術部で県大会で入賞したこともあるほど、
絵は上手だ。
翌朝、パパが起きてみると、もう子供達の弁当が半分くらいできあがっていた。ママは、いつも自前で絵を描いて、そこに美味しく食べてねというようなメッセージを書き込んで弁当箱に貼り付ける。
前夜に描いていたコムギの絵もその絵だった。

ベッドでアナちゃんの報告

パパの隣で、いつもアナちゃんは寝ている。
その隣にはママ、その隣にはエルサ。
アナはパパとママに挟まれながら寝ているのだけど、
その日は、ママは疲れて先に寝てしまった。
アナは、その日の午後に少しだけ昼寝をしたので、
寝付けないで、その日のあった楽しかった出来事を反芻しながら、
独り言をいっていた。
パパは、それを聞くでもなく、割ってはいるでもなく、
まだ寝てないなあと思いながら、眠らずにいた。
「パパ!パパ!」
と急に何かを思い出したようにアナが話しかけてきた。
「今日さあ、給食で新しい弁当があったよ。
コムギの絵があって、うれしくて全部食べたよ。」
「良かったね。友達にも見せたの?」
「可愛いなあ~。良いなあ~て言ったよ、じゃあ、寝るね。おやすみ~」
とパパには背中を向けて、ママに寄り添うようにアナは寝てしまった。
その話を聞いたパパは、そのまま寝てしまっては忘れてしまうので、
LINEでママにメッセージしておいた。

朝から号泣のママ

保育士の国家資格をとるために、朝早く起きるの習慣のママ。
パパからのラインを見て、感動した。
そして昨日、幼稚園から帰ってきたときの事を思い出して、
一層の涙が溢れてきた。
昨日、ママは、いつものように自転車でアナを家まで連れて帰り、自転車から降ろして貰った瞬間にアナが弁当箱を袋から取りだして、
ママに見せようとした。ママは他にもたくさん荷物があったから、後でいいよといったけど、それでもアナは急ぐように弁当箱を取り出して、
おにぎりも、ウィンナーも、スパゲティも全部食べてしまった空っぽの弁当箱を自慢げに開いて見せてくれた。
そんな事を思い出し、朝からママは号泣した。
その日の夜、ママはグループLINEで繋がっているアナのジイジやバアバ、おっちゃんたちに最近のアナ特集と題してたくさんの写真を送っていた。
ブランコで変顔するアナ。
幼稚園で不安そうな表情をしながらピースサインを作るアナ。
たくさん食べてポンチョコリンになったお腹をアピールするアナ。
そんなアナの姿が何十枚もあった。

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