ミダゾラム

消化器内視鏡治療における鎮静法について
https://doi.org/10.11280/gee.60.48

ミダゾラム
・薬理作用:中枢神経系における抑制系神経伝達物質であるGABA の受容体を賦活することによって,鎮静や抗痙攣作用を発揮する
・使用方法:成人にはミダゾラム0.15~0.30mg/kg を静注する.必要に応じて初回量の半量ないし同量を追加投与する.
・副作用:無呼吸,呼吸抑制,舌根沈下,心室頻拍,心停止,悪性症候群.
・禁忌:本剤に対して過敏症の既往歴のある患者.
・その他:プロポフォールとの併用で,収縮期・拡張期血圧および心拍出量が低下する.
 過鎮静,錯乱,昏睡が生じた場合には必要に応じて拮抗薬(フルマゼニル)の投与を検討する.

鎮静薬の導入
 患者にはモニターを装着し,血圧測定( 5 分間毎),脈拍数,心電図,血中酸素飽和度をモニタリングする.モニターは,術者ならびに介助者によ
くみえるところに設置する.
 内視鏡治療時(ESD)には長時間同一体位になるため,下肢静脈血栓症予防に両下肢に間欠的空気マッサージ器もしくは弾性ストッキングを装着,褥瘡予防として処置台上には除圧マットを敷いている.鎮静薬導入前に経鼻カニューレを装着し,酸素吸入を2 l/min で開始する.
1 )ミダゾラムを使用した場合
 導入時は3-4mg を静注し,同時に鎮痛薬(ペンタジン7.5~15mg もしくはオピスタン12.5~35mg)を静注する.鎮静が得られない場合,時間経過とともに体動等が出現した場合には2 mg 前後を適宜,追加投与する.

術中管理
 中等度以上の鎮静を行う場合,最低限でも,術者,助手(医師),患者介助者(医師,看護師)が必要である.介助者は患者管理とともに,心電図,
血圧,脈拍,血中酸素飽和度をモニタリングし,定時的に記録する.治療中は誤嚥を起こしやすい状況のため,定時的に口腔内吸引を行うようにする.
また,急変時に速やかに対応できるよう,治療室の近くには救急カートも準備しておく.いざ急変となった際にもすぐに対応できるよう,普段から現場で急変のシナリオトレーニングを行い,現場の問題点を洗い出す努力も必要である.

術後管理
 覚醒を促すため,ミダゾラム使用例ではフルマゼニル0.25mg を静注し,再鎮静予防に残りの0.25mg は点滴内混注する(ミダゾラムに比べると
フルマゼニルの半減期の方が短く,再鎮静のリスクがあるため).

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