EMR:局注のコツ

大腸ポリペクトミー・コールドポリペクトミー・EMR のコツ
https://doi.org/10.11280/gee.59.311

針の太さは,25G より23G の方が低い注入圧で済むが,切れ味が劣り針穴も大きくなる.最近は,肉薄で太さの割に内腔が広く注入圧が低くてすむもの(ハイフロータイプ:トップ社のインパクトフローなど)が増えており,ヒアルロン酸を使用する際にも問題ない.針の突出長に関しては4 mm が標準的であるが,筋層を貫くのを避けたければ3 mm や2 mm のものも発売されている.切れ味のよいものが望ましく,各社が工夫している.「鋭針」「鈍
針」は先端の形状を示すが,必ずしも切れ味と相関する訳ではない.最近は,小さい力でも刺しやすいように,シースが硬い=力が先端に伝わりや
すいものが発売されている(トップ社のスーパーグリップA(エース),ボストン社のSure LIFTERなど).
 EMR の成否の大半は,局注にかかっていると言っても過言ではない.小さい病変では病変の肛門側から病変の直下に向かって穿刺する.屈曲部やヒダにまたがっている病変で肛門側から局注すると,病変が口側に向いてしまい見えにくくなることが多いので,口側から局注を開始する(.大きい病変や線維化を疑う場合は,よい膨隆を期待してヒアルロン酸を用いることがある.原液のままでは硬すぎるので, 2 - 3 倍希釈にすることが多い.







 SM 癌を疑う場合は,病変を針で貫いて局注することは避けるべきである.しかし周囲にだけ局注しようとすると,大きな病変では長い円周に沿
って何度も穿刺しなければならず,しかも液が周囲に拡散するばかりで,病変中央部が充分膨隆しないことが多い.また穿刺孔から
液漏れや出血を来たす.このような病変では中央部から局注を開始する方が膨隆を得られやすい.可能な限り1 回の穿刺で病変全体が挙上するまで注入を続けるのがコツである.
 穿刺が浅すぎると液漏れや粘膜内注入を来たし,後者では,血腫を形成しやすい.逆に穿刺が深すぎ筋層や漿膜を貫いてしまうと,それだけで
も穿孔や限局性腹膜炎を来たす可能性がある.穿刺の際に筋層を貫いた感触や,局注しても膨隆が得られないことにより,針先が深すぎることに気
付くべきである.右側結腸など,高いヒダに病変がまたがっている場合,局注液が漿膜下層に入っていても,一見病変が挙上したよう
に見えることがある.特にヒアルロン酸を使用する際には注意する方がよい.
 穿刺したら介助者に少量注入させ,病変が少し挙上するのを確認してから注入を続ける.針を押しつけたままでは液が側方へ広がりやすい(Figure
9-a)ので,穿刺した針で病変を少し持ち上げるようにし,注入しながら針をゆっくり引き戻していく.



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