九州のフェスに思うこと

夏の風物詩となったロックフェス。
自分も十分におじさんと言える(言われる)歳になってしまったので、一夏の間に昔ほど行くほうではなくなった。20代の頃はお金なかったし結構弾丸に近い方法でロッキンにはたまに行ったりしていたけど、30代以降、長崎に転勤もあったりしたので、特に遠征は行かずに近場の九州内で行ける(=楽しめる)フェスに重点を置くようになった。
コロナ禍を挟まずに数年単位だと基本的に

スカイジャンボリー
阿蘇ロックフェスティバル
BLAZE UP NAGASAKI

が毎年のように行くフェスになった。
なぜこれらのフェスが自分の中で定着したのか、改めて自問自答してみると共に、九州のフェスについて思うところを書いてみたいと思った。

注意!
以降書いていることは全て個人の感想、見解です。且つ、非常に偏りがありますことご了承の上、ご覧ください。

スカジャンに行くようになったきっかけはシンプルに長崎への転勤。県内でフェスがあるというのは、じげもんでなくとも、そこに住んでいる音楽好きからすれば素直に嬉しいものだ。それに主催がプロモーター全盛のこのご時世でもラジオ局というのが、なにより渋い。

スカジャンは、勝手な印象だが、
地元の、
地元による、
地元のためのロックフェス感がとても強いと思っている。大規模な地元のお祭りみたいな、そんな感じ。

今年、ヘイスミの猪狩さんも「大好きなフェスの一つです!地元のためにやってる感じがめっちゃ伝わる!」と言っていたし、以前MONOEYESで出演した細美さんは
「俺、スカイジャンボリー好きなんだよ。だってカメラ入ってないから。ライブを映すビジョンもない。(強いて言えば後日)ラジオで流れる(ライブの)音源だけ。だから、このフェスは今日ここに来たお前らだけのもんだ。来なかったやつのこと気にする必要ないから」
この言葉に感動したのを今でも覚えている。
長崎は異国文化が融合しているので、お盆は中国のように至る所で爆竹を鳴らす。そして盆の終わった次の週は稲佐山のスカジャンというスケジュール感が長崎の中にしっかり息づいているのを長崎にいた時は本当に肌で感じた。

BLAZE UP NAGASAKI。正直、長崎に転勤するまでは恥ずかしながら、このフェス自体を知らなかった。
SHANKも当時は名前だけは音楽ニュースでたまに目にする程度という認識だったけど、BLAZE UPを機に、地元に根付いて活動していることを知って行くようになった。
地元とたくさん話し合ったんだと思う。ここ!っていう会場に定着も簡単じゃなかったと思うし、ハウステンボスの敷地内でロックフェスやるっていう英断は地元の理解がなきゃ絶対できなかっただろう。BLAZEUPで初めてG-FREAK FACTORYを知るきっかけにもなったフェス。

BLAZEUPが好きなのは、やっぱりSHANKのバンド主催フェスという側面は大きい。
バンド主催と言ったら京都大作戦というキングオブ・バンド主催フェスがあるけれど、九州でもこうやってSHANKがBLAZEUPというでっかい旗を掲げてやり続けてくれていることは長崎を離れた今でも誇りに思う。

加えて言うと、長崎県民!SHANKとBLAZEUP、スカジャンくらいもっと応援してくれよ!というのが本音でもある。

今年は12月の冬開催。会場の出島メッセはコンベンションセンター(会議場)なので、メインのライブ会場はオールスタンディングのアリーナではあるものの、そこから一歩出ると会議室ばっかり…。
フェスT、バンドT着てるキッズが会議室で普通に休憩してる姿は結構シュールですね(笑)
時期的にインフルとかコロナが心配でもあるけれど、その名の通りSHANKが全てを燃やし尽くすフェスを作ってくれるでしょう。

阿蘇ロックフェスティバル
泉谷しげるが旗揚げした阿蘇山噴火の風評被害からの復興を目的に最初は開催された。
その翌年は熊本地震が発生、そして翌年に延期。以降は熊本復興のシンボルの一つとして、且つ地域振興を掲げて開催されている。

自分が唯一初年度から北九州の出張開催も含め全通できているフェスでもあるので、阿蘇ロック語らせたら、手に負えません。

阿蘇ロックとスカジャンと同様、地域に根をはりまくっている。あと、九州のフェスで一番フェス飯が充実してて、美味い!(個人調べ)この要素、めちゃくちゃ重要。九州のフェスはどうしても祭りの出店系、多くなりがち問題はあると思っている。(スカジャンがいろいろ工夫してるのは行ってるとそこはちゃんと感じてます。)ただ、阿蘇ロックはそこに唯一でっかい風穴を開けてるところがあると勝手に思ってて。2年前コロナ禍で開催された時も、半分ライブ、半分飯って感じだった。今年の出店も出揃ったけど、2日間の野外フェスで初めて太って帰りそうな気がしてならない。それくらい、間違いなく過去最高のメニューなのである。

そしてなんと言ってもキャンプで泊まれる!

大事なことなのでもう一度言う。
阿蘇ロックはキャンプで泊まれる!

九州ではキャンプしてガチで泊まれるのは阿蘇ロックと佐賀のフェスくらいだと思う。
あの阿蘇のロケーションでキャンプできるって最高すぎやしないか?

フェス会場で寝て、起きたらフェス会場。
こんな幸せなことはない。
2年前初めてそれを経験して、絶対やめられないと思った。自分としては、阿蘇ロックはちっちゃいフジロックだと思っている。

詳しい方ならお分かりのように、これらのフェスに共通しているのは1ステージ制である。これは初老には本当助かるのだ。食料の買い出しはおろか、猛暑の中の複数ステージ間の移動は体に堪える。スカジャンは飲み食いしようと場所を離れても音だけはだいたい聞こえるし、しっかり見る時と飯に充てる時間をちゃんと決められる。
『この時間、どっち見よう?最初に〇〇見て、途中から移動して最後だけでもいいから〇〇見て…』なんて、タイテで迷う必要すらない。極論シートゾーンとかにいて、ボケーッとしてても全アーティスト見れるのだ。

やっぱり地元に根をはっている、というのが令和のロックフェスの1つのアイデンティティなんだろうと思う。
福岡の大規模なフェスはどうもその部分が感じづらい。興行的なイメージが自分の中では強いし、導線もあまり良くない(難しいのは重々承知している)し、何より2006年にあったACIDMANの一件があってからは基本的に行かないと決めたのもある。

これからが本題。
九州のロックフェスと他の有名なフェスと何が違うのか。

一つ目は、最初にこれを言ったら元も子もないが、全国的に知名度のあるフェスがどれだけあるのか、ということ。

NUMBER SHOT
サンセットライブ
宗像フェス
Circle
スカイジャンボリー
BLAZEUP NAGASAKI
阿蘇ロックフェスティバル
WALK INN FES
サツマニアンへスティバル
1 CHANCE FESTIVAL
Karatsu Seaside Camp
※抜けているものがあればご了承を。

ざっと挙げたこれら九州で比較的継続して開催しているこれらのフェスが本州以東の方々にどれだけ認知されているだろうか。九州の方でもどれだけご存知だろうか。もちろんご存知の方もたくさんいるだろうけど、ゴリッゴリの主観で言わせてもらうと、かなり怪しい気がする。
なぜそう思うのかが2つ目の考えともリンクする。

2つ目の考えは
そのロックフェス自体に行きたいかどうか(出演アーティストがフェス参加を選ぶ基準)の違いなのではないだろうか。

あくまで自分の体感なので、100%主観です。

ロッキン、ライジング、フジロック、サマソニ、京都大作戦、モンバス、ワイバン、SLS、DPFなとなど…
これらのフェスは出演アーティストに限らず、〇〇(このフェス)だから行く!という人が多い気がする。それは言い換えれば、『フェスのブランディングに成功している』とも言えるだろう。それは、参加したいという動機が出演アーティスト以外にすでにあるということでもある。

正直、九州のフェスはそのフェスだから行きたい!というよりも「誰が出るのか」が未だ最優先されている空気を感じる。もちろん出演アーティストはめっちゃ重要なのは分かる。自分もそう。確かに好きなアーティストが多い方が純粋に楽しめる。ただ、フェスの楽しみ方は多様化しているし、阿蘇ロックはその可能性を秘めているんじゃないだろうか。 

開催時期が真夏じゃない
ロケーション
フェス飯の充実
キャンプできる
宿泊者用に近くの温泉にも往復バスを出してくれる
家族連れが多い
子供用の催し的なものもある
氣志團万博のような、ごった煮感強目の少し芸能界寄りな出演者(ELT、清水ミチコ、ワイドナショーコラボ、さだまさし、泉谷しげる、今年は小泉今日子!など)

ざっと挙げただけでも、フェスとの差別化はかなりできているんじゃないだろうか。

自分がなぜ阿蘇ロックに行くのか。
それはシンプルだ。

阿蘇ロックだから!なのだ。あのロケーションでガッツリでもゆる〜くでも楽しめて食事も堪能できるあの雰囲気は他のフェスでは代え難い。好きなアーティストが出たら儲けもんくらいな感じでいつも行っている。そんな阿蘇ロックの特別な空気感が毎回アスペクタに足を向かわせる。

(いろいろ書いておいてなんだが、何を偉そうに…と思われた方がいらっしゃれば申し訳ない。阿蘇ロック贔屓の目線で書いていることも自覚はしております。)

フェスに行く理由がそのフェスそのものもだ、という人もたくさんいるとも思う。そうだとしたら、素直に嬉しいし、ありがたい。
そんなロックフェスファンがもっと増えていけば、九州のフェス環境ももっと良くなったり、盛り上がっていく要因になり得るんじゃないかと考えた次第です。

まずは今まで行ったことのない九州のフェスに九州のみんなが行ってみるのが一番なんじゃないだろうか。

阿蘇ロックの景色、最強説
阿蘇の夜明け。ヤバくないですか?
夕日が沈み始めた頃
キャンプファイヤー、素敵やん

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