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楽問のススメ③ 2024共通テスト国語・漢文①

2024年の共通テスト国語・漢文は、杜牧「華精宮」などからの出題であった。

ティェンタオ様が「自由訳詩」を公開されています。

一部引用させていただきます。(原文は七言絶句)

  長安廻望繍成堆
  山頂千門次第開
  一騎紅塵妃子笑
  無人知是荔枝来

長安から東を見れば   まるで錦の小山のようだ
宮殿はひしめき合って  山の頂まで並び立つ
砂塵を捲いて一騎の馬   楊貴妃はにっこり笑う
それが荔枝の到着とは   誰も御存知ないないだろう

ティェンタオの自由訳漢詩 杜牧13ー17

唐時代の玄宗皇帝が寵妃・楊貴妃の好物、茘枝(れいし、ライチのこと)を官の早馬便を使って遠方から届けさせた話は、漢文学習者によく知られた逸話である。事実、そういうことがあったのかはわからない。

野口悠紀雄先生も薦めている生成AIに疑問を聞いてみた。
ただし、ChatGPT 3.5(無料版)である。

あなた:(以下、わたし)
中国の唐時代の玄宗皇帝の妃である楊貴妃は、果物の茘枝(ライチ)が好物で、遠く離れた産地から早馬で取り寄せたそうです。都である長安から産地まではどれくらいの距離がありましたか?

ChatGPT:
唐代の長安から広東省(ライチの主要な産地の一つ)までの距離はおおよそ2000キロメートル以上でした。当時の交通手段は現代のような高速道路や列車ではなく、馬や船を利用しての旅でした。そのため、ライチを長安まで早馬で運ぶのはかなり大変な作業であり、当時の技術や組織力を要したでしょう。楊貴妃がライチを好んだという話は、その貴重さや彼女の好奇心を示す興味深いエピソードですね。

わたし:
ライチを長安まで早馬で運ぶのは、どのくらいの時間がかかりましたか?

ChatGPT:
唐代の交通網では、ライチを長安まで早馬で運ぶのはかなりの時間がかかったでしょう。一般的な速度で考えると、おおよそ1日に50〜60キロメートル程度の距離を旅することができたとされています。そのため、長安から広東省までの2000キロメートル以上の距離を考えると、約1ヶ月以上かかった可能性があります。ただし、状況によってはもっと早く着くこともあったかもしれません。

わたし:
でも、もし1ヶ月かかるとしたら、ライチは腐りませんか?

ChatGPT:
そうですね、1ヶ月以上もかかる旅の間にライチが腐る可能性があります。ライチは比較的短命な果物であり、収穫後しばらくすると腐りやすくなります。特に長距離の旅や長時間の保存には適していません。当時の人々がライチを長安まで運ぶ際には、新鮮さを保つためにさまざまな方法が考えられたかもしれません。例えば、果物を密閉された容器に入れたり、冷却するために氷を使ったりすることが考えられます。しかし、ライチが長い距離を旅する間に完全に新鮮さを保つのは難しいでしょう。そのため、楊貴妃がライチを遠くから取り寄せたという話は、少しロマンチックな伝説の可能性もあります。

・・・・
えーっ、フィクションなの!?
それに、クール宅○便なんて無かっただろうし。

やはり、ChatGPTも課金してないひとには、そっけないのかな??


そこで人間様に聞いてみる。
福岡広州ライチ倶楽部様からの情報

・・・(ライチは)収穫をすると、赤い実はすぐに茶色に変色し、常温だと3〜4日くらいしか持ちません。

・・・上述したようにライチは保存のきかない果物です。現在でも広州から西安までは、高速道路で1,600kmくらいの距離があります。ひたすら車で走り続けても19時間くらいを要する距離です。当時、この距離をライチが悪くなる前にどう運んだのか?という謎は、未だにはっきり解明された訳ではありません。

・・・最近の研究では、広東ではなく四川の産地から運んでいたのではないかと言われています。ただ、それでも、四川から長安まで新鮮なうちにライチを運ぶのは命がけです。

福岡広州ライチ倶楽部


東京~福岡間の直線距離が880kmなので、そのすごさがわかる。
ライチと人(馬)のどちらが先にダメになるか・・・
また、

ライチは、大体5月〜7月くらいに収穫時期を迎え店頭に並びます。この頃には、街中にライチが溢れます。

福岡広州ライチ倶楽部


玄宗皇帝と楊貴妃が華精宮へ温泉保養に訪れるのは、10月から翌春にかけて。
「そんな時期に届ける茘枝などあるかい?」というツッコミが設問についている。


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