旅路


一人きりでいるから、
いつまで経っても成長できないことを知った。

誰かと一緒に生きていくことでしか
自分を見つけることができないことに気づいた。

一人で生きていたら、いつまでも自分があやふやなままだ。

自分の声を思い出せなくなっていく。

自分の世界が死んでいく。

花が萎んでいく。




声を出さなければいけないことを知った。

声を出さなければ、
誰かと一緒にいなければ、
どこに行ったって引きこもりのままだ。

世界中を渡り歩いたって、ずっとひとりのままだ。

このままでいいのか。

このままでいいのかと、問い詰められる。

自分自身にだ。

いつまでも苦しんでいる。

自分の作った門を閉じて、暗闇に包まれている。

そこで安寧できると信じていたのに。





このままでいいのかと問い詰められたら、

このままでいいんだよという声が聞きたくなる。

都合のいい天使が舞い降りてきてくれないかと天を仰ぐ。

外は真っ暗だ。

誰も見えない。

それはとても寂しくて、悲しくて、
いつまでも一人でいるという、何よりの証明であった。





真面目過ぎたのだ。

自立しようとし過ぎた。

別にそのままでもいい。

このままでもいいのかと
自分自身に問われても、


別にいいんだ。

もう散々頑張ってきたから。

だからもうこれ以上は頑張らなくてもいい。

自分を許したっていい。

自分を認めたっていい。



自分を許して認めるのは、自分から始めるのだ。

馬鹿にしてはいけない。

自分の味方になれるのは、とりあえずは自分だけだ。

どれだけ嫌悪の炎に包まれたって、
自分だけは自分を守ってあげなくてはいけない。

そんなこと、本当にできるのか。

不安だ。

怖い。




怖いのは、未知だからだ。


全部自分の力で抑え込んできたからだ。


少しずつ力をゆるめて、
強張りを優しくさすってやる。

解きほぐすのだ。

それで未知なるものに、一歩だけ踏み出そう。

今日は一歩だけでいい。

それでいい。

そして明日は一歩。

明後日ももう一歩。

明明後日はちょっと休んで、


来週くらいにもう一歩。


それでいい。


少しずつ、本当の自分を見つけていく。


これは旅路だ。


自分だけの、
でも隣にいる誰かを探すための、
大事な旅路の記録だ。


ここに残しておく。







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