ポケモンGo上のポケストップ申請に関連する大量アカウント凍結処置について

【まえ書き】

2024年3月頃からポケモンGo及びIngressに関し、ナイアンティック社によって大量アカウント凍結措置が発生しています。その措置は、この記事を書いている現在(2024年5月)も継続的に続いています。
原因は、ポケモンGoやIngressに使用されている地図上に、ユーザーがナイアンティック社が考える基準に違反して地図上のスポットを提供したという、いわゆるWayfarerに関連するものです。
(Wayfarerとは、すべてのNianticゲームで現実世界の冒険を直接形作ることができるユニークなコミュニティマッピングプログラムの事を指します)

本記事は、ナイアンティック社に30日間のアカウント凍結措置を言い渡された筆者が、この措置に関してナイアンティック社と対話をした結果 及び 同様の制裁を受けた複数ユーザーへの調査を元に、現在のナイアンティック社のユーザーに対する広報の問題とよく聞かれる「誤解」について分析と解説・警鐘を鳴らすものです。

Wayfarerは大変危険なものです。
気軽に手を出して、アカウント凍結措置を受けないよう、重々理解したうえでトライしてください。



1)最近のBAN(アカウント凍結)の傾向

アカウント凍結措置が最近急増しています。
日本のX(旧:ツイッター)上で拾えたケースのみですが、グラフで可視化しました。(日付は2024/5/23まで)

グラフ1・Wayfarer関連のアカウント凍結件数(on twitter.jp)
表2・2024/2月以降のアカウントBAN一覧(twitter上の観測のみ)

2024/3からは急増しています。
数は少なく見えますが、上記はツイッター上でつぶやいた人だけの数であり、実際はこの数倍いると考えられるでしょう。

昨年のwayfarerチャレンジ(世界各国のユーザーが日本の申請物を審査してくれるイベント)で日本のバックログがだいぶ解消された後、ナイアンティックはこれから編集申請(タイトルや位置、説明等)の処理も行っていくと発表しました。

引用3・Niantic公式AMA11月より

その後、機械学習モデルによるAI審査機能が実装されました。
当初は機械学習(以後ML)による自動否認のみでしたが、2024/3月頃からMLによる自動承認が観測され出しました。一部ユーザーは歓喜し(私もその一人ですが)、新規申請、画像追加、位置やタイトル編集を立て続けに行ったユーザーが多発しました。
しかし、実はこれが落とし穴だったのです。

2)誤解1:いきなりBANは無いだろう

昨年にナイアンティック社ははしごポリシーというユーザーの不正行為に対する制裁方針を発表しました。
(参考URL:Wayfarer不正利用に対する段階措置ポリシー

注:上記のwayfarerに適応されるポリシーは「ゲームプレイの公平性に関するポリシー(3ストライクポリシー)」とは別物です。

図4・はしごポリシーのイメージ

これを見ると、初犯は警告、次に30日、90日と増えていくと思えます。
重罪な場合は段階を踏まないとの記載はありますが、それはチート行為や偽装など重大な違反の事だろうと考えがちです。
しかし、これが大きな誤解でした。
実際はこのような状況(下図)になっていました。

図5・はしごポリシーの現実

実ははしごは倒れていて、単なるケース分けでしか無い事が判明しています。
ツイッター上でつぶやいたケースのみの事例ですが、違反とされているケースで実に9割の方が初回にも関わらず30日間のアカウント凍結措置を受けていました。
実際、ポリシー内ではこう書かれています。

引用6・はしごポリシーより

現時点では90日間のアカウント停止措置を受けたというつぶやきは見られませんが、将来的に発生しないとは言い切れません。

いやいや、いくらなんでもそんな横暴な事があるはずない。申し立てプロセスも用意されているし、申請がチートや偽装ではなく(適格性があるかはさておき)実際に存在するもので正しければ申し立てれば聞いてくれるだろう…
と普通の人は考えます。
実はそこも落とし穴でした。

3)誤解2:正しい申請なら聞いてくれるだろう

結論から書きますと、全く聞いてもらえません
過去には、申し立てからアカウント解除された方もいらっしゃいます。
※参考リンク:ポッチャマポスト事件

この記事を読むと、他にも解除された方はいらっしゃるようですが、2024/9月以降アカウント停止措置を解除してもらったという事例は最近まで全く聞きませんでした。
※2024/5月に久々に凍結解除できた事例が立て続けに数件、X上に報告があがりました🎉✨️)

このことは申し立てのページにも公式に記載されています。

引用7・はしごポリシーより

違反が発見されると、最初にアカウント停止に関するメールが来ます。

引用8・アカウント停止の連絡メール

申し立てをすると、自動返信の後に以下の様なメールが届きます。

引用9・申し立てに対する返信メール

上記の内容は、違反の種類によって内容が多少変わります。
こちらの内容に返信することもできますが、以下のようなメール(定型パターン)が届きます。
ちょっと量が多いので、Deepl.comで日本語に翻訳したもののみ掲載します。

引用10・ナイアンティック社と対話の中で貰える数々のテンプレメール

そして問合せを続けると、最終的に以下のメールが届きます。

引用11・ナイアンティック社からの最後通告

要は、こちらの質問には一切有効な回答は得られないと考えたほうが良いでしょう。

何度食い下がっても結果は同じです。
この件について、ナイアンティックのお膝元の掲示板(フォーラム)に投稿しましたが、公式から以下の返信がありました。
フォーラムに投稿した際のトピックはこちらのリンクから御覧ください。

引用12・公式のアーロンさんからの返信

アカウント制裁は詳細な調査を元にして行われ、証拠が存在するため覆りません。但し証拠は公開されないため、「証拠があると言っている」ということ以上の事はわかりません
申請が正しいか正しくないかは申し立てでは意味をなしません。そこまでの調査で、それは「正しくない」と判断されているため、申し立てを成功させるためには「正しくない」と判断された公開されない根拠を推測して、その根拠が不正確である事を立証しなければなりません。
これは非常に難易度が高く、オープンなディスカッションではないため、世の中で行われている裁判よりも難しいと言わざるを得ないでしょう。

まさかリアルの世界でこの様な言葉を言われる日が来るとは思いませんでした…

引用13・鬼滅の刃 第6巻 下弦会議より


4)誤解3:wayfarerで「ユーザーが貢献している」

アカウント凍結措置を受け、それを報告したツイートに以下のようなレスが付くことがあります。
「こんなにwayfarerに貢献している人をBANするなんて」
「今までたくさんwayspot作って貢献してきたのに1回でBANとかありえない」

確かに、ナイアンティック社が作る地図にwayspotをマッピングして充実させていく行為はユーザーの協力なくして成り立ちません。実際、wayspotを申請すると受付メールには「皆さまの協力が不可欠です」と記載されています。
しかし、昨年11月のAMAには以下の記載があります。

引用14・2023/11のAMA「不正行為の段階的処分」より(掲載は12月)

ここで言う「ケース」が何を指しているのか明示はありませんが、恐らく昨年10月に実装されたwayfarerの新UI(User Experience = 新しい操作画面)で実装された「通報ボタン」により報告されたケースのことではないかと憶測ですが考えます。

上記の文面から分かる通り、ナイアンティック社は品の低い申請、いわゆる「石炭案件」の削減を重要視しており、理想のマップを目指していることがわかります。
フォーラムへの投稿を通じて理解したことは、上記の理想から外れる申請を1件でもするWayfinderは不要だと言うことです。
そこまでいくつものwayspotを作成することに協力したという実績は無関係で、100%理想のマップに沿う必要があり、許容されないwayspotが1つでもあれば制裁の対象となりえます。

引用15・通報が推奨されている

これらの制裁は、通報によって検出されます。
上記は2023/3のAMAアップデートですが、wayfarerの悪用防止のために通報について推奨する発言がされています。
ユーザーの貢献よりも、如何に申請者を裁くかに重点をおいている姿勢が見て取れます。

5)どういうケースがBANになるのか?

将来どう基準が変わるかは予測がつきませんし、wayfarerの歴史を見る限り、許容範囲は広がってきている印象があります。
(数年前までは飲食店は「一般的ビジネス」で不適格と言われていましたし、今や当たり前にwayspotとして見るようになった「掲示板」も当初はなかなか許容されませんでした)
一応、先に掲載した2023/3のAMA UpdateでAbuse(=不正行為)に関する基準らしきものが公表されています。みんポケ掲示板にわかりやすくまとめてありましたので記事を拝借します。

引用16 みんポケ掲示板より(2023/3 AMA Update抜粋)

この章では、あくまで現時点のケースから想定される「アカウント凍結」の制裁措置を受けやすいと考えられる事例を注意喚起として記載します。

【BANになりやすい例①:位置編集申請】

このケースを見て分かる通り、位置が正しいかどうかは無関係です。(ナイアンティックは、これが不正であると言い張るでしょうけれど)
3回以上連続で位置修正を試みると不正報告されるケースが相次いでいることから、機械学習プログラムの否認により「Abuseフラグ」が立つのでは、という噂もあります。

アカウント凍結は、基本的にナイアン内部で調査がなされるので「Abuseフラグ」があったとしても位置が正しければ問題ない、という意見もありますが、上記の例を見て分かる通り「正しいかどうかは無関係」ですので、連続した申請は避けるべきでしょう。

また、ミスによる申請もナイアンは許してくれません。
あるユーザーはポケモンGoアプリの中から10m以上離れた場所に位置修正を試みようとしました。しかし、10m以上離れると自動的にカーソルが戻ってしまうためにうまくいきません。結局3回失敗の申請して諦めましたが、後日アカウント凍結措置を知らせるメールが届いたそうです。
位置編集を気軽に行うのは止めたほうが良いでしょう。

現在は回避策として、1度否認を受けたら、以下のフォーラムに投稿して判断を仰ぐのが正式なルートとされているようです。
位置修正に関し否認を受けたら申し立てするフォーム
上記のフォーラムにアクセスして、右上の「+New Topic」ボタンを押します。
すると、以下の様なテンプレートが出てきます。各項目を埋めて申請すると良いでしょう。(英語です)

引用17 Wayfarerコミュニティフォーラムの編集申請用フォーム

Uploadボタンもあるので、作成した資料も添付できます。

【BANになりやすい例②:画像追加申請】

昨年ごろから、近くのwayspotにポケふたが写った写真をそのwayspotに投稿するムーブメントがありました。
しかし、こちらは別のwayspotの「主役」を奪う形になってしまうので、あまり好ましくありません。危険な行為ですので、絶対にやめましょう。

…と言いたいところですが、問題はそこではありません。
ポケふたの映り込み画像に関しては、2023の秋ごろに一斉取り締まりが開始されて多数(分かる範囲で10名以上)のアカウント凍結者を出しましたが、現在アカウント凍結に追い込まれているケースの中には、昨年の夏以前に画像追加された件を遡及してBANされているケースも多数見受けられます。

ルールとして定まってない時点のものを遡及して罰するのは、民主主義国家で当然の原則である【刑罰不遡及の原則】(ルールが出来た後から遡って罰してはいけない)に反します。
ナイアンティックはそんな一般常識も持ち合わせてない企業のようです。

そもそも映り込みの何がいけないのか。
個人的には、ポケふた映り込みダメであるという周知が足らないと感じています。というより、そもそも現在の規約に「映り込みは禁止行為である」という直接的な表現は無く、ダメと読み取るのはなかなか困難です。
先程の不正基準の中で該当する物があるとすると「偽の申請」でしょうか。

引用18 wayfarerヘルプ 不承認基準より

ただ、例えば下記のようなものは「偽」でしょうか?

引用19 wayspot「JR佐原駅」の申請画像(例)

駅がメインの写真に手前にポケふたが映り込んでいます。ポケふたを写り込ませる意図はあるものの、写真の主役は駅で現地で撮影されたものであり、決して「虚偽」ではありません。

なぜポケふたの映り込みがいけないかは、ナイアンティックは公式に理由は明示していません。一部には著作権や肖像権の問題、などと噂が経っていますが、これは明確に誤りです。(肖像権→対象は「人」、著作権→公開された空間での写真には適用されない)
ではなぜかというと、昨年私が別件で受け取ったナイアンティックサポートからの返答がヒントになるでしょう。

メール20 ナイアンティックのサポートからの回答

このメールは、とある郵便局の画像が削除された件について問い合わせた時の回答になります。
別のものに置き換えられる可能性があるためNG、と言っています。
つまりは、「置き換わっちゃうかもしれない」のでアカウント凍結を行っているということのようです。
そんなものはタイトル修正をより厳密に行えば良いだけの話だとは思いますので、ちょっと理解しがたい回答ではありましたが、ナイアンティックが何かを恐れている事は伝わってきました。

ポケふた映り込みを好む人もいるのもわかりますし、軽い気持ちで手出しをしてしまうのもわかります。本来であれば、そういう場合「いきなりのBAN」ではなくて警告が適切だと思いますが、ナイアンティックの感覚では上記を【重罪】と見做しているのでしょう。

なお、筆者もアカウント凍結措置を受けた理由がこの画像追加申請ですが、筆者はポケふたをではなく、「質が低い(と判断された)画像を数回追加しようとした」という罪状のようでした。
アカウント凍結措置期限が切れたら、言質を確認後、どんな画像が不適格基準に該当するかを追記したいと考えています。

ちなみに、追加した画像を削除して欲しい場合は、ヘルプチャットから対応してくれるようです。
日本のWayfarerアンバサダーさんが方法を投稿していますので、そちらを参考にすると良いでしょう。


【BANになりやすい例③:不適格なwayspotの大量申請】

ナイアンティックのBAN基準には「質の低い投稿の繰り返し」というものがあります。(出典:2023/3 AMA Updateより)
こちらは非常に解釈が難しい基準で、「不適格な似たようなものの申請を繰り返す」「1度否認されたものを何度も投稿する」とも取れます。

なかなか通りにくい案件等、5回6回申請してようやく承認された、というケースはwayfarerなら一度は経験あるもの。
しかし「質の低い投稿の繰り返し」というabuse(不正行為)基準がある以上、否認されたものを繰り返して申請することは危険な行為に該当しますので、「通るまで何度も申請する」行為はリスクがある事を頭の片隅にとどめておいたほうが良いかもしれません。

イラスト20 何度否認されても立ち向かうWayfarerと背後から狙う通報者(イメージ)

6)まとめ:wayfarerをやる上での注意事項

  • ポケストップ申請や編集申請を行うと、いきなりアカウント凍結措置を受けることがあります

  • アカウント凍結措置を受けると、まず解除されません

  • 過去の申請に対してアカウント凍結措置を受けることもあります

  • 位置修正を行う場合は慎重に。一度否認されたのならフォーラムへGo!(要英語)

  • ポケふたの画像追加はやめましょう!過去に行った事があるならヘルプチャットから削除申請を!

引用21・日本のwayfarerアンバサダー様からのありがたいお言葉

アンバサダーの指摘を引用させていただきますが、アカウント凍結措置を心配する方は、ヘルプを読んだりよく知っている人に聞いてからやるべきとのことです。
間違っても独力でチャレンジしてアカウント凍結措置を喰らわないよう、ご注意ください。

以上です。

【参考文献(リンク)】

  1. AMA - November 2023 (2023/11 NIANTIC Forum)

  2. Wayfarer不正利用に対する段階措置ポリシー

  3. ポケモンGOのアカウントの30日停止を受けて9日後に戻ってくるまで

  4. アカウント凍結が急増している件について(Community Forum - 英語)

  5. Wayfarer Status Report - AMA Update (2023/3 NIANTIC Forum)

  6. 位置修正に関し否認を受けたら申し立てするフォーム

  7. Wayfarer ヘルプ > 不承認基準

  8. ポケモンGOやIngressで不適格な写真を削除する方法



追記予定:消された画像の例(不適格な画像追加例)
     アカウント凍結措置が空けて調査してからそのうち書きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?