10万円の連続給付について考えてみる②

10万円の連続給付つまりユニヴァーサル・ベーシックインカム(UBI)基礎所得保障。べーシックインカムとは政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要な所得を補償する。この案が最初に示されたのは、トマス・モアの1516年の風刺小説『ユートピア』

既存の生活保護や失業保険の一部扶助、医療扶助、子育て養育給付などの名目ですでにかなりの額が給付されているが、圧倒的に日本政府・地方自治体ではこれら個別対策的な保証の保証ですら給付を拒み、年金に至ってはその元本すら保証できないありさま。年金をかける若者がどんどん減って、その少ない加入者で生活保護以下の年金を支給している。

ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)の教授でBasic Income Earth Networkの共同創立者でもあるガイ・スタンディングは、彼は労働党が2019年の選挙公約に盛り込んだUBIの実証実験の概要を、同党とともに作成している。また2020年3月には、UBIが急務になっている根拠を詳細に記した『Battling Eight Giants』を刊行した。

「新型コロナウイルスのパンデミックによって、世界中のあらゆる地域でベーシックインカムの導入が以前にも増して緊急課題となっています」と、スタンディングは言う。そして新型コロナウイルスによる危機と、1918〜20年にかけて数千万人の死者を出したとされるスペイン風邪には類似点があるものの、両者には決定的な違いがあるとスタンディングは主張する。

アメリカの失業者が過去最悪14.7%「スペイン風邪が異例だったのは、パンデミック直後に経済危機が生じなかったことです。これに対して新型コロナウイルスのパンデミックは、世界各地で信じがたいほどの経済危機を伴うでしょう」と、スタンディングは説明する。「パンデミックと経済危機のコンビネーションは、これまで以上に多くの人々を死や悲惨な生活に追いやるのです」

労働中心の世界からの移行
スタンディングいわく、個人や企業が抱える高額な債務、経済的に不安社会定な労働者層の増加、そして多くの企業が世界的なサプライチェーンの健全性に依存しているという事実により、今日の世界経済は根本的に脆弱化するという。新型コロナウイルスは、一時解雇という厄介な問題、金融不安、医療システムの過重な負担、社会の分断とともに、経済の崩壊をもたらすかもしれないのだ。

だが、ベーシックインカムはそうした事態に歯止めをかけると、スタンディングは考えている。多くの政府は、最終的にはUBIを一時的な緊急措置として実施するようになるかもしれない。

しかし、国民が一度でもこの制度を試して給付を受ければ、UBIは定着するはずだというのがスタンディングの意見だ。「UBIはすぐに、わたしたちの社会で理にかなった制度だと認められるでしょう」とスタンディングは話す。

長期的には、この政策が「労働ではなく仕事」を中心に築かれる社会の土台になるのではないかと彼は話す。スタンディングが考える理想の世界では、不安定な経済状態から解放された人々は、自らの時間を共同体の仕事や芸術、有意義な余暇につぎ込むようになるのだ。保障費

その目的のために法律化されるベーシックインカムは、世帯にではなく個人に対して支給されること、他の収入源から所得は考慮しないこと、仕事の成果や就労意欲の有無は問わないこと、という三つの原則に従わなければならないと主張している。

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