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教育の情報化に対応した著作権法改正、オンライン授業実現のため前倒しで施行されました

多治見駅前の郵便ポストの上にたたずむ、多治見市のゆるキャラ「うながっぱ」もマスクをしています。

さて、岐阜県の県立高校では、休校中の家庭学習をサポートするため、4月20日より、オンライン授業が始まっています。

岐阜県の県立高校は、5月末までの休校が決まっていますから、少なくともゴールデンウィーク後も5月末までは続くようです。(なお、岐阜県は特定警戒都道府県ですが、この10日間の感染者はわずか1名です)

県教育委員会によると、オンライン授業は休校中に家庭での勉強をサポートする学習支援との位置づけで、20日から順次始まった。具体的な内容や時間割は各校で異なる。視聴するかどうかは生徒の自由で、成績評価の対象にはしないという。
情報通信技術(ICT)の活用に力を入れる岐阜県は2019年度に全県立高に無線LANを整備するなどしており、オンライン授業の導入決定から約10日間で準備が整ったという。  (4月28日付・日本経済新聞電子版)

また、多治見市内の私立・多治見西高校付属中では、3月からオンライン授業を行なっています。(3月4日付・岐阜新聞ほか)

このように、岐阜県内の学校は、いち早くオンライン授業をスタートさせています。

そんなオンライン授業を後押しする法律が、4月28日に前倒しで施行されました。

これまで、学校教育の現場では、先生と生徒の対面授業で著作物を著作権者の許諾なくコピー(複製)したり譲渡したりして使うことや、対面授業の様子を離れた場所に中継することは認められていました。

しかし、著作物の内容を遠隔授業でネット配信する場合は、利用の都度、個々の権利者の許諾とライセンス料の支払が必要でした。

平成30年の著作権法改正では、教育の情報化に対応した規定等が著作権法の中に整備され、権利者の許諾は不要で補償金を支払えばよいという内容になりました(著作権法35条1項、2項)。

(学校その他の教育機関における複製等)
第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 前項の規定により公衆送信を行う場合には、同項の教育機関を設置する者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない
3 前項の規定は、公表された著作物について、第一項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合において、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信を行うときには、適用しない。

しかし、この規定は、補償金の額などを巡って折り合いがつかず、施行の目処が立っていませんでした。

ところが、新型コロナウィルス感染症の流行に伴い、オンラインでの遠隔授業等のニーズが急速に高まったたため、令和2年4月28日に施行し、令和2年に限り緊急かつ特例的に、補償金を無償とする形での運用をすることになったのです。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は10日、教科書などの著作物をインターネットなどによる遠隔授業で使えるようにする改正著作権法を28日に施行する政令を閣議決定した。(4月10日付・日本経済新聞電子版)

この規定、学校その他の教育機関を対象とするものであり、営利を目的として設置されている塾などは対象外のため注意が必要です。

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