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私の司法試験を振り返る

今週、3か月遅れで司法試験が実施されています

新型コロナウイルス感染症の影響で3か月延期となった司法試験が、今週、各地で実施されています。論文式試験が3日、短答式試験が1日の計4日間行われます。

受験者は3703人(速報値)というのが衝撃的ですね。

一日何時間勉強をしたのか?

よく、合格するために何時間勉強したんですか?と聞かれますが、私の勉強時間は1日2.5時間、休みの日はせいぜい4時間くらいでした。

塾でフルタイムで働いていましたから。特に、1〜2月は塾業界の超繁忙期で、勉強時間は1時間確保できればいい方でした。

仕事をしていたので勉強時間が他の人より圧倒的に少ないですから、司法試験を4回も受けるハメにはなりました(現在、一度受験資格を得ると、5回まで受験可能です)。

それでも、1日に何時間も勉強していた人を押しのけて、司法試験も二回試験という司法修習の修了試験も真ん中くらいの成績にはなっています。

勉強時間が確保できなくても、やり方次第で受かります

最後まで諦めないしぶとさ、根気強さは、強みかも知れません。

3回目の不合格を喰らったときは、流石に諦めようと思いましたが、発表からしばらくして送られてきた成績表を見て、わずか6.71点足りなくて落ちたということを知り、勉強時間が少なくてもやり方をしっかり整えればちゃんと受かると確信し、あと1年頑張ることに決めました。

今は公私ともに大変充実しているので、あのとき受験を諦めなくて、本当によかったと思います。

私の合格体験記は、こちらにまだ掲載されているようです。限られた時間で成果を上げるためにどうしたのか。そのエッセンスがまとまっています。

新卒で入った特殊法人の仕事を、「気は使うけども頭は使わないので、とにかく頭を使う仕事がしたいと思うようになりました」とこき下ろしていますね……。自分の書いた文章のはずですが、読んでいて笑ってしまいました。

目の前で困っている人について、困っている人がいますと伝えることはできても自ら助けることはできない、というもどかしさもありました。

とはいえ、非・法学部法律知識ゼロにもかかわらず司法試験に挑戦しようとする無謀さは20代半ばだったからこそできたものでしょう。今ならそんなハイリスクなことは絶対にしません。

合格するために必要なこととは?

合格体験記にも書いていますが、合格するためには、

1 反省と改善を図ること
2 基本的な知識を抜かりなく身につけること
3 本番で結果を出すこと

の3つが必要です。1についてさらに細かく見てゆくと、

(1)失敗に向き合い、何が足りないかを考える
(2)失敗の原因や自分に足りないところをどう改善するか考え抜く
(3)実際に改善する

ということなのですが、これは、要するにPDCAサイクルをしっかり回すということになります。これが意外にできないのです。

本番で結果を出すという点については、司法試験は、いくら知識があっても制限時間内に書ききれないと点がもらえませんから、試験時間中の時間管理も徹底しました。答案構成を終える段階で、各設問をどれだけの分量で何時何分までに書き終えるかスケジューリングを徹底していました。

時間管理の徹底は、現在、法廷での尋問でも役に立っています。

早く・若くして合格したほうがいいのか?

何回目で合格したか、何歳で合格したかは、都市部の事務所に就職したいという人には結構大きな影響があるかもしれませんが、地方での就職にはあまり影響はないですし(地方では応募をしてくれる人が全くいないという有様です)、その後の弁護士業務とは無関係といえるでしょう。

大切なのは、受かってからどれだけ勉強をし、どれだけの事件をこなすか、そして、これまでどのような人生経験を積んできたか、によるのではないでしょうか。

受かってからどれだけ勉強をし、どれだけの事件をこなすか

司法試験合格後も法改正が相次いでいますから、コンスタントに知識をアップデートしていくというのは大変重要です。

地方であれば、専門特化型事務所は少なく、民事・刑事・家事・労働・破産……と幅広い分野の案件が飛び込んできますし、早い段階から公的な仕事も回ってきます。事件から多くのことを学ぶことができます。

これまでの経験や苦労は決して無駄にならない

ロースクールや司法試験、司法修習では、接客や営業、電話対応の能力を鍛える機会は与えられませんし、経営やマーケティングの知識を身につける機会もありません。

大学時代に接客業のアルバイトをし、研修で見ず知らずの土地で飛び込みの受信料営業をやって契約を何件か獲得し、取材で山奥を駆け回ることは日常茶飯で、塾業界では問合せ電話を来塾・入塾に繋げて生徒数を増やし合格実績も出すといった経験がある人は別ですが、社会人経験なくして合格してしまうと、接客や営業、電話対応の能力をどう鍛えるかが大きな課題となります。

経営やマーケティングについては、先人やプロに学ぶ謙虚さが大切です。

とりあえず合格に向けて全力を尽くして、合格後の人生は修習中にじっくり考えましよう

司法試験に4回目で合格したのですが、そのときは、嬉しさはあまりなく、とにかくホッとしたことを覚えています。

そして、受かることばかり考えていて、受かったあとどうするかは後回しにしてしまっていましたから、徐々に、これからどうやって生きていこうと不安になりました。

不安な中、修習中に色々考えた結果が今に至っています。

その時ヒントとなったのは次の2冊でした。

何回目で合格したか、何歳で合格したか……そんなことを心配する暇があったら、ともかく受かることに全力を注いだほうがいいです。

合格した折は、ぜひ修習地には、岐阜をお選びください。みんな優しいです(たぶん)。そして、多治見はうなぎが名物ですし、飛騨牛もお値打ちで食べることができます。

そして、先のことは、修習中に考えればいい。

司法修習は約1年あります。

弱点と思えるものの存在を受け入れ、その弱点を踏まえて策を練るだけの十分な時間となります。

何回も受けて合格を勝ち得る……最後まで諦めないしぶとさ、根気強さは、きっと、強みになります。

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