Time is money
「時」を売る商売をしていたことがある。およそ20年ばかり前のことだ。
地方都市の路地裏に、元々たばこ屋だった5坪ほどの店を借り、『大澤時間店』(時計店でなく)という看板を掛け、こじんまりと営業をしていた。商品は毎日、そこそこに売れた。
パッケージは一律15分単位1,000円。買っていく客は様々だ。少しでも時間が必要な受験生の母親が子供とともにやってきて3時間分の12,000円を支払っていったり、親が危篤でこれから病院に向かうという家族が1時間分の4,000円を支払っていった