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clubhouseの”向こう側”と”こちら側”

たじまるです。

みなさん、clubhouseやってますか?

え、大きな声じゃ言えないけど、招待状が来ないんですって?とりあえず、アプリダウンロードして、電話番号でサインアップだけしてみて。あなたの電話帳に入ってる誰かも、あなたの電話番号を電話帳に入れてて、その誰かがすでにclubhouseのメンバーだったら、あなたがウェイティングリストにいることを見つけて、招待してくれるかもしれません。

招待状が一人2通しかないのに、自分が招待されるか心配だって?いやいや、この方法だと、招待しても、その誰かの招待状は減らないんで大丈夫。

ということで、無事、みなさん、念願のclubhouseに入会して楽しんでますか?

実は、言うほどそんなに楽しめてない人がたくさんいるんじゃないかと思ってるんですよね。僕もそんなひとりです。コミュ障だからかな?

でも、流行ってるし、時代はclubhouseだよね的なムーブメントになんで、なかなか言い出しづらいと思っている人、結構いると思うんだよなあ。お前が使いこなしていないだけだろとか言われるんじゃないかって。

確かに芸能人の方とか有名人の方たちのトークを聞いていると、話が上手な方も多いので、深夜のラジオ番組を聞いてるみたいな楽しさはありますけど、雑談感が高いので、ラジオ番組みたいだけど、そこまでの作られた面白さはありません。あらためて、放送作家とか構成作家とか番組ディレクターの方たちの力ってすごいんだなあと再認識されます。だからって、ラジオ聞くわけじゃないんですけど。

あと、気になるのが、流行り方が、なんか、ナントカfrom ニューヨーク的な匂いがするんですよね。ニューヨークからついに上陸的な。「いやあ、向こうじゃ、これが流行って大変なわけよ」っていう感じで伝わりますか?(どう大変なのかは不明だが、この手の会話はたいてい)向こうってどこだよ。言ってるお前は、向こうじゃなくて、こっちにいるだろとツッコミたくなります。

一気に入会者が増えたことで、夜の時間帯はサーバが繋がりにくくなって、リスナーだけじゃなくて、スピーカーまで追い出される不具合が多数発生しているものの、面白い仕組みだとは思うんです。今後、このサービスの普及によって音声をベースにした新たな事業モデルが生まれそうです。実際、課金モデルは準備をしているみたいですし。

わかりやすいのは、ROOM単位の月額定額制のサブスクリプションでしょうね。今のコンセプトからハズレてしまいますが、金払ってるとアーカイブも聞けるとか。ある種のオンラインサロン的な発展は用意に考えられます。

あとは普及のさせかたがすごい。

特に日本人は、FOMO(Fear Of Missing Out)が強いんだと思います。
子供の頃から、みんな横並び(嘘なんですけど)が良しとされる教育を受けてきた一方で、横並びの中で、少しだけマウントしたい願望があって、誰かが頭ひとつ飛び出ると、みんなでそこに追いつこうとして、最後は取り残されて、仲間ハズレになりたくない欲求が高いんだと思うんですよね。

シリコンバレーから上陸した音声のTWITTERみたいなイケてるサービスがあって、有名人のあの人もあの人も使ってて、でも完全招待制なんで、限られた人しか入れないらしい。


ポイントは、音声のTWITTERみたいなサービスという内容ではなくて、太字部分。

多くのサービス、特にSNSは、スタート当初、会員からの招待制を取ることが多いのだけど、CLUBHOUSEの場合は、会員1名あたり、2名分の招待権しか付与しないというところが一番の勝因だと思います。

入会するのに紹介制とか審査制とかハードルがある会員限定サービスって、そもそも特別感が演出できるんだけど、そもそも会員じゃないと内容がわからない場合、さらに謎に包まれて、人を惹きつけやすい。非会員にとって、内容が分かりづらいのは、単純に新しいサービスだからで、運営会社が意図したことではないのかもしれないけど、それが功を奏した。

会員1名あたり、2名分の招待権しか付与しないことで、さらに入会のハードルが上がって、初期のユーザに比較的有名な人が多く、彼らがSNS上でclubhouseやばいっていう投稿をしたことで加速して、「特別な選ばれし人たちだけが使えるすごくイケてるサービス」というイメージが一気に広がったんだと思う。

となると、世の中は、「clubhouseを使えてる特別な人たち」と「招待を受けていない人たち」という2つの集団に分類されるようになります。

当然、前者がイケてる人たちで、後者がイケてない人たち。

本当は、そんなことないんだけど、イケてる人たちのいる向こう側と、イケてない人がいるこちら側が意識の中でできてしまうのでしょう。SNS上では、”無事”向こう側に渡れた人たちが、これみよがしに、clubhouseに自分は入会できてますよと、向こう側から自慢してきたものだから、みんなこちら側に取り残されないように必死に向こう側へのチケットを追い求めるという構造じゃないでしょうか。

だから、SNSに招待してくださいという投稿が増えたり、メルカリで招待権が1万円で売られるみたいなおかしなことになっちゃう。

実際には招待状なんかなくても、入る方法もあるし、招待権もちょくちょく付与されるから、待ってればそのうち回ってくるんですけど、仲間はずれ、取り残されたくない=イケてる人たちのいる向こう側に自分がいたいという思いが、はやく向こう側にいかないとって焦っちゃうんですかね。

今のところ、コロナ禍で雑談ニーズがマッチしたとか言われてますが、それよりは、むしろ、向こう側←こちら側のほうが爆発的な普及の原因なんじゃないかと思います。

実際入会してからの使い方は、自分がスピーカーとして発信するというより、有名人のラジオが聴けるツールとして使っている感じでしょうか。

インターネットの普及によって、かつてはマスメディアにしかできなかった情報発信を、どんな個人も世界に向けてできるようになったと言われたのは、一つ前の世紀でした。実際、テキストは、新聞がウェブサイトになって、個人のBLOGになり、動画は、TVは、発信したい個人にとってはYoutubeが役割を担うようになり、どちらも、マネタイズ手法が確立しましたが、音声=ラジオだけは、Podcastがありますが、テキスト・動画のようにはなりませんでした。

個人的には、以前から、ウェブ版の有料ラジオに注目していて、うちの会社でも、数年前から、音楽アーティストの有料ラジオ配信サービスを月額課金を複数運営していて好評なのですが、個別の事案としては、成功事例があるものの、一般化される兆しはありませんでした、

僕が来るといったものは、残念ながら結局来ないこともあるし、来たとしても数年後ということが多いです。

トーク中心のラジオ的コンテンツにユーザがお金を払うという時代が、今回のclubhouseの狂乱をきっかけにやってくることを密かに期待しています。


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