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÷2桁=整商1桁の指導順・問題配列 |基礎計算研究所

 ÷1桁=整商複数桁の問題は、[たてる・かける][ひく][おろす]の0の扱いごとに分類して、導入順や配列を考えてみた。

 ÷2桁=整商1桁について、学習の順番・配列はどうしたらよいだろうか。これまで見てきたように、誤答の多くは[ひく][おろす]に集中するが、アルゴリズム的には[たてる]の課題が大渋滞している。÷2桁の[たてる]に関して、たてる位置(桁数)、仮商の見立て方(4流派、九立商)、修正の仕方(過大商/過小商)が渋滞の正体である。

 これらどういう順番で並べて指導していくか、教科書によっても相当異なっている。いちばん大きな分類だけを見ても

東京書籍・学校図書・教育出版・大日本図書(桁数優先:2桁÷→3桁÷)
啓林館・日本文教出版 修正なし→修正あり 

となっている。

 計算の煩雑さ(面倒さ)でいうと、やはり修正回数で並べるのがよい、ということになるが、先に見たとおり仮商の立て方4流派(実質3つ)によって、修正回数も異なる。そして仮商が異なるので、必要となる乗法・減法の難度も異なってくる。

 乗法・減法も含めて配列を徹底したいとなると、方向性としては

(1)仮商を立てる流派ごとに(あるいは教科書の順番にしたがって)教材をつくる→[かける]・[ひく]の難度=乗法・減法に着目する

(2)どの仮商の流派をとっても同じ修正回数になるものだけをあつめる→(被除数・除数の一の位1~4のものについて)[かける]・[ひく]の難度に着目する

の2つのアプローチがある。

(1)商の見立て方別に教材配列をつくる

 これが分類を余計に煩わしくするのだが、

除数四捨五入方式:東京書籍で主に示されている除数のみの四捨五入の方法
切り捨て方式:啓林館・学校図書で示されている(被除数と)除数を切り捨てる方法
両方四捨五入方式:日本文教などの被除数・除数とも四捨五入して一般的な概算の方法で仮商を見立てる方法

の3つの方法について、それが分かれる除数の一の位が5~9であるものについては、それぞれ修正回数を出し、どちらの教科書を使っているか分からない場合は、その両方の修正回数が一致するもの(修正なしどうし、修正1回どうし・・・)だけを取り出して、練習問題にする、というのがよいのではないかと思う。もちろん除数の一の位が1~4については一致する。(各教科書のクセを見ぬきながら教材を配列しなければならない)

 また、修正途中にあらわれる乗法・減法を出し、さらに細かく分類し、減法・乗法を含めた難度調整ができるようになっている。

切り捨て(啓林館・学校図書)

除数四捨五入(東京書籍など)

両方四捨五入(日本文教など)

(2)どの見立て方でも「大丈夫」な教材をつくる

 さて、このnoteのもうひとつの目標は、学び直しのための教材づくりである。先にも述べたとおり、目の前にいる子どもはどういう方法で商の見立てを学んでいるかは分からない。また、どの方法で支援や指導を進めるか、ということも、実際には子どもによるだろう。

 仮商の見立ての流派(前者2つ、または3つの方法とも)で、修正回数が変わらない問題をチョイスする、というやり方でつくってみるといいのではないか、と考える。

 3つの方法どれでも被除数・除数共に、四捨五入でも切り捨てとなるもの(被除数の一の位0~4で除数の一の位1~4のもの)で、修正0回のものは乗法・減法が唯一共通する。ここで、乗法・減法の問題点を洗い出すとよいだろう。

 なお、こうして分類していくと、九立商の問題は乗法・減法共につまづきやすい問題が出やすい傾向があることも見えてくるのである。(理屈としても確かにそうなのであるが)

 このやり方で行けば、まずは仮商の修正が不要で除数の一の位が1~4の問題を通して、除法の「たてる」「かける」「ひく」「おろす」の4拍子プロセスに習熟すると共に、「かける」乗法・「ひく」減法のステップでの困難があればそれを発見して習熟を図る。
 その上で,わり算特有の問題として「たてる」の仮商修正・九立商といった問題にすすみ,商が複数桁の問題に続いていく、というのがよいかと思う。(くり返しになるが、除数が5~9の場合は、仮商を立てる流派によって、必要とされる乗法・除法も異なってくる)

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