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2022年1月の主な体操ニュース

あけましておめでとうございます。(2月ですが)

2月も半ばですが、2022年に入ってからの主な体操ニュースをここに残しておこうと思います。
今後も重要そうなトピックがあったら更新していきますので情報収集のご一助になればと思います。


と言いながらいきなり去年12月に入ってきたニュースから。

▼ルーマニアのヨルダケとドラグレスクが引退

2012年ロンドンオリンピック団体銅メダリストのラリサ・ヨルダケが引退を発表しました。

ルーマニア体操連盟:ラリサ・ヨルダケが引退

2014年世界選手権ではバイルズに次ぐ個人総合銀メダル。
ほか、種目別ゆかでもメダルを獲得しています。
2016年リオ五輪では怪我のため出場できず。
以降も怪我に悩まされますが、2021年東京五輪には怪我を押して出場。
予選で好成績を残しますが、決勝は棄権という結果となりました。
苦しい時期が長く続いたヨルダケですが、その成績は華々しいものでした。
世界の頂点に立つことはありませんでしたが、かのナディア・コマネチの再来と言われ、ルーマニア体操の威信を取り戻したヨルダケのこれからの人生が良きものになりますよう。

ヨルダケの引退の記事の2日後に、男子のレジェンドであるマリアン・ドラグレスクの引退もリリースされました。

ルーマニア体操連盟:選手としての成功と指導者としての期待

ドラグレスクが初めて世界大会に出場したのは1999年。今から20年以上も前の事です。それから2021年の東京オリンピックまで駆け抜けてきました。
御年41歳。この年齢まで体操競技を続けられる鋼の肉体と精神にはひれ伏すばかりです。
2000年シドニーオリンピックから、2004年アテネ、2008年北京、2016年リオ、2021年東京と5大会のオリンピックに出場。
2008年北京五輪の後に一度は引退を決意しましたが、その後現役復帰。
40歳まで世界の舞台で戦い続けました。
オリンピック、世界選手権合わせて計13個のメダルを獲得した。体操史に名を残すレジェンドがついに引退です。


▼内村航平引退発表

日本でも大きなニュースになりました。
体操界のキング・内村航平が記者会見を開き、引退を発表。

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内村航平公式サイト:プロ体操選手 内村航平 現役引退のお知らせ

さらに3月12日に引退記念競技会「KOHEI UCHIMURA THE FINAL」を開催すると併せて発表しました。

KOHEI UCHIMURA THE FINAL

2008年北京オリンピックで個人総合銀メダルを獲得し鮮烈なデビューを飾った後、2009年世界選手権~2016年リオオリンピックまで8年間、個人総合で負けなしという驚異的な記録を遂げました。
2017年世界選手権では予選で脚を怪我し棄権。翌2018年も怪我を抱えながら出場し、個人総合は出場せず。2019年には日本代表からも外れてしまいます。
個人総合から退き、種目を鉄棒一本に絞って東京五輪を目指すことを宣言し、見事東京五輪代表に選ばれます。
しかし、東京五輪では予選で落下してメダル獲得はならず。
同年、自身出生の地である北九州での世界選手権、種目別鉄棒で完璧な着地を見せて6位入賞。これが最後の大会となりました。

プロ体操選手という道を新たに作り、自身の名を冠する大会を創設する(新型コロナの影響で中止)など、体操に対してはとことん求道者であり続けた内村。
今後については指導者になるわけではなく、体操の普及活動に努めていくという事です。
既に日本体操協会のアドバイザーコーチという新設された役職に就任が決まっています。

NHKニュース:引退の内村航平 日本体操協会の「アドバイザーコーチ」に就任

会見で「今後も技は増やしていく」という言葉があったように、競技者でなく演技者としての活動にも期待です。


▼シルベスター・ショラニーが死去

ハンガリーの五輪金メダリスト、シルベスター・ショラニー氏が新型コロナウイルスに罹患の後、死去しました。

ハンガリー体操連盟:シルベスター・ショラニー氏 死去

ショラニー氏は2000年シドニーオリンピックの種目別つり輪で金メダル。
世界選手権でもつり輪で金メダルを獲得するなど活躍しました。
つり輪では「背面前振り上がり支持前方回転振り出し懸垂後ろ振り上がり」を開発し、「ショラニー」と名前を付けました。

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残念ながらこのショラニーという技は2022年からのルールでは削除されてしまいましたが、名実ともに体操界、特にハンガリー体操界に残した功績は大きいものです。

同じくハンガリーの1976年モントリオール、1980年モスクワオリンピックであん馬連覇を達成したマジャール・ゾルタン氏は「ハンガリー体操界にとって大きな悲劇であり損失だ」
2012年ロンドンオリンピックあん馬金メダリストのベルキ・クリスチャン氏は「私にとってシドニーでの金メダルはモチベーションが上がる経験だった。彼とともに試合に出たことは誇りだ。最後に会ったのはギヨルで行われたジュニア世界選手権だった。」と故人を偲んでいます。


▼寺本明日香引退発表

女子体操を長年牽引してきた寺本明日香が引退を表明しました。

ミキハウス:寺本明日香選手の引退発表

NHKニュース:体操女子 寺本明日香が現役引退を発表 全日本選手権が最後に

本人のInstaguramとYoutubeで引退試合となる全日本に対する心境を綴っています。


寺本選手は2011年、15歳で世界選手権代表に初選出。
当時団体予選で跳馬を跳ぶ予定だった選手が直前の練習で負傷してしまい、急遽演技をして見事演技を遂行したのが印象深いです。

その後は2012年ロンドンオリンピックに出場。
更に2016年リオオリンピックでは、女子日本代表のキャプテンとして団体4位という成績を残し、種目別平均台でも決勝に残る健闘を見せました。

2020年東京オリンピックの年、冬にアキレス腱を断裂する大けがを負ってしまいます。しかし、東京オリンピックは1年延期。同年秋の全日本シニアで復活を遂げました。2021年の五輪選考で奮闘するも、五輪代表には選ばれず。補欠としてチームを導く役目を担います。
五輪、世界選手権と活躍した親友の村上茉愛さんが先に引退を発表していましたが、寺本選手も永い体操人生を終えることとなります。

思えば2019年の世界選手権。女子のエースだった村上を怪我で欠いた状態で、翌年に行われるはずだった東京オリンピックの団体出場権を懸けて戦わなければなりませんでした。寺本選手が団体の要となり、団体11位で無事権利を獲得。寺本選手が居なければ東京オリンピックでの女子の奮闘は見られなかったかもしれません。
しかし、ルールとは残酷なもので、団体出場権を獲得した張本人である寺本選手は本戦である東京オリンピックに出場することはできませんでした。
怪我で出場できなかった者のために権利を得る。そこには確かに友情がありました。

競技生活最後となる4月の全日本が満足のいくものになりますよう、そしてこの競技生活が良いものであったと思えるよう、祈っています。

▼W杯コトブス大会の出場者発表

2022年のシーズン明け1発目の国際大会が、2月24日からドイツ・コトブスで開催されます。
そのエントリーリストが更新されています。

Nominative registration (gymnasts)

ペトロフ、ダフチャン、フック、スルビッチ、トマソン、スキナー、ネイサン、タロック、石、メドベージェフ、ドルゴプヤット、ミヤキニン、グラッソ、マッキーニ、カリミ、クルバノフ、ウィビエ、コウディノフ、アリカン、チョラック、コフトゥン、チェプルニー、マローン、ネドロシク
エリッサ・ダウニー、シェーファー、ヴォールマン、など
オリンピック、世界選手権のメダリストも集う豪華な顔ぶれとなっています。
新しいルールになってから初の中規模国際試合という事で注目度も高い大会です。

日本、ロシア、中国からは不参加。

ロシアはこの件に関して公式声明を出していて、
ロシア選手は皆ロシアが開発したワクチン「スプートニクV」を摂取しているのですが、WHOがこれを承認していないだけでなく、ドイツもまた国としてこれを承認していないので、ロシア選手はドイツに入国することができず、大会に参加できないという事です。

タス通信:ロシア体操 入国制限でW杯ドイツ大会欠場へ

コトブスW杯以外にも、シュツットガルトでのDTB、更に今年はヨーロッパ選手権もドイツでの開催が決まっているので、遅くともヨーロッパ選手権がある8月までにWHO認定のワクチンを接種する必要があるそうです。
ワールドカップは2月3月と、カタールのドーハ、エジプトのカイロ、アゼルバイジャンのバクーと続きますが、唯一スプートニクVを承認しているアゼルバイジャンでの大会への参加だけは問題ないだろうとしています。

ちなみに日本もスプートニクVは承認していません。


1月の主だったニュースは以上です。
今後はもう少しこまめに体操情報を伝えていくつもりです。
今年もよろしくお願いします。


画像出典
https://thegymter.net/2021/04/20/iordache-fights-for-last-chance-at-tokyo/
https://www.youtube.com/channel/UCClN8UyO0uZvshDx1m71UWg
https://www.tokyo-np.co.jp/article_photo/list?article_id=154094&pid=566432
https://magyarnemzet.hu/sport/2022/01/ilyen-volt-csollany-szilveszter-laza-aki-sokkolta-a-nagy-ellenfelet
https://hochi.news/articles/20210415-OHT1T50277.html?mode=photo&photoid=1
https://youtu.be/7CMlm5STiHU

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