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2022年5月第一週の体操ニュース

新型コロナの影響はまだまだスポーツ界を蝕んでいきます。

▼南米ユース大会 ブラジル・コロンビア・アルゼンチン勢が活躍

アルゼンチンのロサリオで南米ユース大会が開催され、男女ともにブラジル、コロンビア、アルゼンチンが強さを見せました。

団体は5-4-3制(1チーム5人で、各種目4人が演技し、各種目上位3人全6種目の合計得点で競うルール)で行われたようです。
男子結果はこちら 女子結果はこちらから

【男子団体】
1.コロンビア 223.969
2.ブラジル 217.834
3.アルゼンチン 214.133

【男子個人総合】
1.アンヘル・バラハス(コロンビア)78.068
2.ジョアン・ダ・シルバ(ブラジル)75.033
3.マヌエル・ロペス(コロンビア)74.233


【女子団体】
1.ブラジル  146.933
2.アルゼンチン  145.733
3.コロンビア  127.566

【女子個人総合】
1.ミア・マイナルディ(アルゼンチン) 49.533
2.ガブリエラ・バルボサ(ブラジル) 49.233
3.イザベラ・アヤーラ(アルゼンチン) 48.533

種目別では、男子は個人総合で優勝したコロンビアのアンヘル・バラハスが5冠を達成。
女子はアルゼンチン勢が総なめしました。平均台では高得点が出ています。

【男子種目別優勝者】
ゆか:アンヘル・バラハス(コロンビア)12.975
あん馬:アンヘル・バラハス(コロンビア)12.175
つり輪:ジョアン・ダ・シルバ(ブラジル)12.725
跳馬:アンヘル・バラハス(コロンビア)13.500
平行棒:アンヘル・バラハス(コロンビア)13.050
鉄棒:アンヘル・バラハス(コロンビア)13.225

【女子種目別優勝者】
跳馬:ミア・マイナルディ(アルゼンチン)12.850
段違い平行棒:イザベラ・アヤーラ(アルゼンチン)12.367
平均台:イザベラ・アヤーラ(アルゼンチン)13.700
ゆか:ミア・マイナルディ(アルゼンチン)12.800

▼ワールドユニバーシティゲームズが1年延期

今年6月に中国・成都での開催が予定されていたワールドユニバーシティゲームズの1年延期が決定しました。

FISU:成都2021FISU世界大学対抗戦の2023年への開催延期について

オリンピックチャンネル:成都2021ワールドユニバーシティゲームズが2023年に延期

ワールドユニバーシティゲームズは2年に一度、奇数年に開催される大会で、成都での開催は当初2021年の予定でした。
しかし、東京オリンピックの1年延期に伴い、ワールドユニバーシティゲームズも1年延期し、2022年の開催となっていました。
しかし、中国国内で新型コロナの状況、中国政府の強力な新型コロナ対策の影響で再延期が決定し、2023年の開催が決定したというわけです。
2年に一度の開催という事で、もちろん当初2023年にも開催が予定されていた都市がありました。それがロシアにあるエカテリンブルクです。
ロシアによるウクライナ侵攻により、国際社会がロシア・ベラルーシへの制裁を強める中、スポーツ界もロシア・ベラルーシを排除する動きが目立ちました。
その中で、ロシア・ベラルーシで開催される国際大会の中止または延期という項目があります。
今回エカテリンブルクで開催されるワールドユニバーシティゲームズは、大会を管轄するFISU(国際大学スポーツ連盟)により「延期」が言い渡されました。
成都でのユニバは2023年のエカテリンブルク開催が無くなったことでできた穴を埋めた形になります。

既に日本ではワールドユニバーシティゲームズの代表メンバーが決まっていましたが、大会自体の1年延期により、今決まっているメンバーがこのまま来年も代表になるのか、来年再度選考し直すのか、気になるところです。

▼杭州アジア大会が1年延期

今年9月に中国・杭州で開催予定だったアジア大会の延期が決定しました。

NHK:杭州アジア大会が延期に 中国国内のコロナ感染拡大で

アジア大会は4年に一度開催される総合競技大会。
前回は2018年インドネシアのジャカルタで開催されており、日本では毎回TBSが中継しています。
TBSが体操中継をする機会はここだけなのですが、そのアジア大会が1年延期されました。
具体的な日程は後日決まるそうです。

この大会の日本代表は5月のNHK杯で決まる予定だったのですが、ワールドユニバーシティゲームズ同様、今年決まったメンバーが代表になるのか、来年の選考で決めるのかの判断が待たれます。

▼2022年世界選手権男子代表選考の行方

4月に全日本個人総合選手権が行われ、今年の世界選手権の代表選考が始まりました。
世界選手権の男子代表選考は、4月の全日本個人総合選手権の①予選と②決勝、5月の③NHK杯、6月の全日本種目別選手権の④予選と⑤決勝が対象となります。
尚、既に橋本大輝選手は1人目の代表に内定している状態です。
世界選手権の代表枠は5人なので、代表選考は橋本選手以外の残りの4枠を争うことになります。

日本体操協会:2022男子体操代表選手選考方法

世界選手権の代表に選ばれるには2通りの道があります。
1つ目は、NHK杯で橋本選手を除く個人総合上位に入る事。
2つ目は、特定の種目で高い得点を得る事。

基準①NHK杯で橋本選手を除く個人総合上位に入る

1つ目は単純です。
4月の全日本個人総合選手権の①予選と②決勝、そして5月の③NHK杯
この2大会3つの競技において、橋本選手を除いて合計点が最も得点が高かった2選手が自動的に世界選手権の2人目、3人目の代表に内定します。

基準②特定の種目で高い得点を得る

2つ目がかなり複雑です。
ここで選ばれるのは残りの2枠。そしてこのうち1枠はNHK杯10位以内という条件付きです。
まず、1つ目の基準で選ばれた3人の全日本①予選②決勝、③NHK杯の3大会分の得点から、各種目で上位2得点の平均を出し、これをチーム得点とします。
4月の全日本個人総合選手権の①予選と②決勝の得点から見てみましょう。
例えば橋本大輝選手。

橋本選手のゆかは予選で14.733、決勝で14.366となっています。
この2得点の平均を出すと14.549。これが橋本選手のゆかのチーム得点になります。
チーム得点に反映されるのは、3大会分の得点から、各種目で上位2得点の平均なので、
もしも橋本選手が5月の③NHK杯のゆかで14.500を出したら、全日本個人総合選手権の②決勝で出した14.366はカットされ、チーム得点は、全日本個人総合選手権の①予選の14.733と③NHK杯の14.500の平均である14.616となります。
橋本選手の現状の6種目のチーム得点は以下のようになります。

このチーム得点を、橋本大輝選手+NHK杯で選ばれた2選手の計3選手分で出してみます。
例として、橋本大輝選手+全日本個人総合上位2名で出してみましょう。

この選考方法のおもしろいところは、橋本大輝選手+個人総合で選ばれた2選手の計3選手の得意不得意によって残りの2枠を争う上で有利になる選手が変わってくるところです。

NHK杯で代表に決まった3選手以外の選手は、NHK杯が終わった時点で選手それぞれに「チーム貢献度」というポイントが与えられます。
これは既決の3選手中最も低いチーム得点に上書きすることができます。
その対象となるのは、4月の全日本個人総合選手権の①予選と②決勝、5月の③NHK杯、6月の全日本種目別選手権の④予選と⑤決勝。
このうちの上位3得点の平均が貢献度選出者のチーム得点となります。

例に出した3選手で各種目のチーム得点が最も低いのは…
【ゆか】神本13.783
【あん馬】神本13.000
【つり輪】土井13.216
【跳馬】神本14.333
【平行棒】橋本13.999
【鉄棒】土井14.516

貢献度選出対象者の持つ各種目のチーム得点がこれより高ければ、それをチーム得点として算出し、上記各種目最低チーム得点との差が「貢献度」となります。
例により、個人総合選出が橋本大輝選手・神本雄也選手・土井陵輔選手の3選手の場合、全日本個人総合4位の川上翔平選手の貢献度はどうなるでしょうか。全日本個人総合選手権終了時点のもので算出してみます。

青く塗られている部分が各種目の貢献度、赤く塗られているのが6種目の貢献度を合計した川上選手の持つ貢献度ポイントです。
これから分かる事は、ゆかでは神本選手よりも川上選手を起用した方が団体でより高い得点を得ることが見込められるという事です。
同様につり輪では、土井選手よりも川上選手を起用した方がより団体得点が見込め、平行棒では橋本選手よりも川上選手を起用した方がより高い得点が見込める…という指標になるのです。

しかし、これはあくまで全日本個人総合選手権が終わった時点のものであり、もしも土井選手がNHK杯のつり輪で13.465以上を出して、且つ川上選手がつり輪で13.265以下だった場合、川上選手のつり輪の貢献度は0になってしまいます。

そしてただ貢献度ポイントが高いだけで代表に選ばれるというわけではありません。
チームのバランスを鑑みて各種目上位3選手のチーム得点の6種目の合計、3×6=18演技の得点が最も高くなる組み合わせになる2選手が選ばれるのです。

橋本選手とNHK杯で選出された個人総合上位の2選手、さらに全日本種目別選手権を経て選出されるマルチタレント2選手。この5名で世界選手権団体を戦うことになります。
今年の世界選手権はルール改正後初の世界選手権であり、団体上位3カ国にパリ五輪の団体出場権が与えられる大会でもあります。
ここで団体出場権を獲得してパリ五輪団体金メダル獲得に向けて備えたいところです。

NHK杯の結果でおおよそ代表候補選手が固まってきます。


画像出典

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/other/2021/09/27/post_61/

https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/gymnastics/news/202107260000137.html

https://sinmordaza.com/noticia/274859-el-gimnasta-dorado-de-colombia-que-brillo-en-rosario-2022.html


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