おもしれージュニア

3月下旬にジュニアチームカップという世界中のジュニア選手が集まって行われた競技会がありました。
ドイツの首都ベルリンで、21の国から12歳~18歳の若き才能が集まり、しのぎを削ったこの大会。
ヨーロッパだけでなく、アメリカ大陸の国も集まる貴重な機会です。

ジュニアが集まる国際大会なんていうのはアタクシの大好物なのでもちろんチェックしますよね。

YouTubeでライブ配信もしていて、アーカイブが残っているので今でも見られます。


今回はその中から面白い演技をする選手を紹介します。


▼ザカイン・ファウジ・マッカフリー(イギリス)/あん馬

イギリスの2008年生まれの15歳。
日本でいうところの高校1年生の世代です。
彼の凄いところはあん馬でベルトンチェリを使ったコンバインを既に習得しているところ。
そのほかにもD難度・E難度の技を詰め込んで演技を構成しています。

かつてのあん馬が強いイギリスが戻ってきそうな将来を感じさせる素晴らしい演技です。



▼アルフレッド・シュワイガー(オーストリア)/あん馬

オーストリアの将来有望なあん馬のスペシャリスト。
2022年にスロバキアで行われたヨーロッパユースオリンピックフェスティバル(EYOF)では種目別あん馬銅メダルを獲得しています。
冒頭にショーン、続いてベルトンチェリを使ったFフロップを使います。

更に注目すべきは後半の開脚旋回!
開脚で馬端から馬端へと移動しながら半分ひねるニンリーズ2を実施。
さらに真ん中を経由せずに馬端から馬端への前移動、そして真ん中を経由せずに馬端から馬端へ後ろ移動するクルバノフまで開脚で実施してしまいます。

クルバノフを実施する選手は片手で数えるほどしかいませんでしたが、それを開脚で実施したとあって、世界初の貴重な映像です。


▼クリスティヨナス・パデジマス(リトアニア)/あん馬

リトアニアから、あん馬の刺客。
2022年のEYOFで種目別あん馬金メダルに輝いた注目株。
彼の特徴は、なんといってもその恵まれた体格。
あん馬をするために生まれてきたような長身痩躯。
ジュニアでもショーンを使う選手は増えてきましたが、彼はベズゴを使います。
ベズゴの後もE難度の技を連発。シニア顔負けの技さばきと美しい実施はほかのジュニアとは一線を画します。

ジュニア選手は体が成熟していない小柄な選手が多いですが、ジュニア期で既にこの体が出来上がっているのは体操の神に愛されているのでしょうね。


▼プレストン・ガイ(アメリカ)/鉄棒

コールマンやコバチを使うのも凄いことですが、彼の場合は車輪系の技がおもしろいです。
冒頭に前方車輪から1回ひねって片手車輪のままひねり戻るツォ・リミン、そこから珍しい前方の片手車輪をしてそのまま半分ひねって移行へとつなげます。
コールマン・コバチで手離し技を消化してから、後方の片手車輪、さらにはとび車輪まで!
豊富な車輪技を見せてくれるおもしろい演技構成です。

お兄さんも体操選手です。


▼ヴォロディミール・ゴロヴィン(ウクライナ)/平行棒

ウクライナがまたとんでもないジュニアを育てやがりました。
シニア選手は10技までDスコアに反映されますが、ジュニアは8技までしかDスコアに反映されません。
彼は8技のみでDスコア5.8を組んでしまいました。
E難度のマクーツのみならず、シニア選手でも珍しいF難度の車輪マクーツ「バウマン」を実施。
8技すべてD難度以上での構成を持つとんでもない逸材です。


▼ヴォロディミール・ゴロヴィン(ウクライナ)/鉄棒

彼のプロフィールを見ると、なんと彼、2010年生まれで今年14歳になる世代。
まだジュニアの国際大会にも出られない年齢にもかかわらず、とんでもない構成を組んでいます。
この鉄棒では既にアドラーハーフからピアッティとD難度+D難度の連続を使っているだけでなく、終末技に伸身2回宙返り3回ひねり〔フェドルチェンコ〕を実施しています。
コバチすら霞むとんでも構成です。

手元計算ではDスコア5.5ですが、公式リザルトはDスコア5.4となっていました。おそらく伸身ピアッティが屈身と判断されたのだと思います。


▼ヴォロディミール・ゴロヴィン(ウクライナ)/あん馬

彼はまだまだとんでも構成を持ちます。お次はあん馬です。
冒頭にFコンバインとブスナリ、F難度をふたつ連続で入れてきました。
その後もE難度を連発、終末技もきっちりE難度でおりています。

セア系がA難度なのでここが強くなればDスコア6.0もあり得ますね。

彼がシニアとして演技することになるのはおそらく4,5年後…。
今からルールが2回変わってるのではないでしょうか。
その頃の体操がどうなっているのか分かりませんが
今の段階でこれほどの力を出せるとは、恐ろしいですね…。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?