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フレデリック・リチャードのゆか/2022年DTB杯種目別ゆかの演技

先日ドイツにて行われたDTB杯はシニア・ジュニア、男女が出場する国際大会でした。
「DTB」とは「ドイツ体操連盟」のことで、毎年行われているお祭りのような大会です。
本来ならば、個人総合で競うW杯と抱き合わせで開催されていますが、今年は個人総合W杯は行われませんでした。

今大会でジュニア・シニア共に存在感を見せたのがアメリカです。
団体では、ジュニアシニア男女すべてのカテゴリで優勝。
さらに、種目別では、男子6種目中ジュニアは4種目、シニアは3種目で優勝するなど強さを見せました。

そんなアメリカチームの中で気になる選手がいたので紹介します。
ジュニア選手として出場していた2004年生まれのフレデリック・リチャードという選手。
今大会ではジュニアの跳馬と平行棒で優勝しています。

今回紹介するのはリチャードのゆかです。
種目別ゆかの決勝ではミスがあり、優勝とはなりませんでしたが、印象的な演技でした。
ジュニアとは思えない2回宙返りを多用する演技構成。それでいて新たなルールにも対応して加点を狙います。
そして注目すべきはグループⅠのノンアクロ技。
なんと開脚旋回で「エアトラ」と呼ばれるD難度の技からさらにD難度のシュピンデルゴゴラーゼに繋げます。
「エアトラ」とは「開脚旋回倒立とび1回ひねり下ろして開脚旋回」という技で、ブレイクダンスのような動きをするカッコいい技です。

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②~③のひねりとダブルの組み合わせでは、③の着地に失敗しているため、難度は認定されましたが、加点は得られませんでした。

世界的にもエアトラを実施する選手は数少ないにもかかわらず、グループⅠの最高難度技をジュニアの時点で既に2つも演技構成に入れているというのは、近い将来が楽しみでなりません。


エアトラを実施する選手といえばイギリスのマックス・ウィットロックが有名です。
持ち前の熟れ感でエアトラすら難しそうに見せなかった演技でリオ五輪の種目別ゆかで金メダルに輝きました。

マックスのエアトラは倒立に上げた後に1回のとび局面だけで1回ひねってしまう独特なものでした。
マックスの独特な実施の影響か、リオ五輪後のルール改正では、エアトラは2回のとび局面を見せることが要求として追記されるようになりました。
翌2017年の世界選手権ではマックス自身もこのルール変更に対応せざるを得ませんでした。

マックスは2017年を最後にゆかをやらなくなってしまったので、今ではこれを観ることはありません。
マックスのように、あん馬の得意な選手がエアトラをゆかの演技構成に入れる傾向があるので、もしかしたら全日本なんかでもあん馬の得意な選手がエアトラを実施するかもしれません。

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