ある朝。目が覚めると
ある朝、目が覚めると
頭の中、
ひとつのメッセージを受け取っていた。
『あなたを愛しています』
『どんな時も』『あなたがどんな状態でも』
『私たちは皆』『無条件に』『あなたを愛しています』
僕は泣き崩れてしまった。
あんなに辛くて、
辛くて、辛くて、
僕は孤独に震えていた。
この孤独は
どんなに寄り添っても、
どんなに肌を合わせても、
人間として生まれてきた限り埋まることの無い根源的な孤独。
僕は孤独に震えていた。
それを隠したまま、
平気な顔をしてこの世界を生きてきた。
周りの人たちは皆、
何事もなく幸せそうな顔をしているから、
僕も何事もないような、
「僕は幸せです」って顔をして生きてきた。
幸せを求めて生きる。
それは乾いた砂漠にグラスで水を撒くような。
撒いても、撒いても、
すぐに乾いてしまう。
求めていたものを手に入れたひと時
鮮やかな幸せを味わえるが、
それはすぐに消えてなくなり
また次の幸せを求めてしまう。
求めて、求めて、
辛くて、孤独で。
それが、
こんなにも愛されていた。
こんなにも赦されていた。
こんなにも慈しまれていた。
僕は一部の隙も無いほど
愛のエネルギーに包まれていた。
乾いた砂漠にグラスで水を撒くような、刹那の幸福ではない。
まったく揺るぎようのない、尽きることの無い『愛』。
孤独など思い違い。あらゆるものから向けられていた、無条件の『愛』。
僕はただひたすらに感謝していた。
あらゆるものへの感謝。
自然と頬を伝う涙。
ただひたすらに。純粋に。感謝以外の感情など湧きようもない。
気が付くと僕の体のアウトラインは消えていた。
僕の中と外の境界線が消え、溶け合い、混ざり合い。
僕は『愛』そのものになっていた。
周りのものはすべて『愛』でできていて、
僕はあらゆるものになっていた。そこに転がっている石も僕。
建物も僕。木も車も。
僕は土になり、大気となり、あらゆる生命となっていた。
唯ひたすらの安堵。
なにもない。なにもしない。
唯ひたすらの平穏。
なんにもない。なんにもしない。
唯ひたすらの安らぎ。
なにもしない。する必要がない。
すべてが満たされている。
あらゆるものはあらゆるものを愛し、
あらゆるものはあらゆるものから愛され、
互いを慈しみ、感謝し。
互いに慈しまれ、感謝され。
すべてはただひたすらに『愛』そのものであったんだ。
ただひとつの『愛』であったんだ。
ただひたすらの『光』――—。
気づけばそこはいつもの場所。
一時間ほども経っていただろうか。
気づけばそこはいつもの薄暗い場所。
いつもの椅子に、いつものように腰掛けていた。
目の前に広がる、見慣れた風景。
僕は「ほうっ」とひとつ息を吐き、
窓の外を見たんだ。
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