背中の羽
僕の背中には羽がある。
飛べなくて、
見えなくて、
触れないけど。
僕の背中には羽がある。
丁度肩甲骨の下あたりから、
広げると2メートルは有りそう。
羽に気づいた当初は
折りたたまれたまま、
広げることができなくて。
鎖で雁字搦めにされているようで。
ある時思ったんだ。
「あるがままに生きよう」って。
いつの間にか鎖はほどけ、
羽は自由に広げることが
できるようになっていた。
「えっ、」
飛べない、
見えない、
触れない羽が
なんの役に立つのかって?
羽は背中でさらさらと揺れ、
周囲にふんわりと愛の香りを漂わす。
あの人が
この世のすべてに疲れ果て、
絶望し、悲しみの涙を流す時。
そっと後ろに寄り添って、
その羽で、
静かに抱きしめるのです。
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