2023年10月制限の【御巫】考察

10月からの新制限となり、また大きく大会環境が変わってきました。
今回は新制限とすでに発表されている以降に登場するカードに焦点を当て、これからの2023年10月制限で【御巫】がどう戦っていくべきかの考察をしていきます。


新制限による環境変化

新制限によって弱体化したテーマ

大きく構築を変えることになったのは【ティアラメンツ】のみで、【ピュアリィ】、【R-ACE】、【神碑】はそれぞれ採用していたカードが1枚減ったものの依然として他デッキと比較しても高いパワーを維持しています。

【ピュアリィ】
《デリシャス・メモリー》の減少は思ったよりも影響が大きく、《マイフレンド》から確定サーチでなくなったのに加えて、《ピュアリィ》での捲りの確率、《強欲で貪欲な壺》での飛び具合などにも影響があるので確かな弱体化とは言えそうです。
メタが被っていた《No.86 H-C ロンゴミアント》が禁止になったこともあり、《エクシーズ・オーバーディレイ》のサイドデッキ採用率が下がると予想されるのでその点は追い風になっています。

【R-ACE】
《エアホイスター》が減ったものの、「罪宝」ギミックのおかげで初動自体はそこまで困っているわけではなかったので構築自体はそこまで大きく変わらないようです。
メタカードを見ると、《共命の翼ガルーラ》が登場したことにより《アウローラドン》ギミックを搭載しない型は《超融合》一発で盤面崩壊してしまう可能性が出てきました。
エクストラデッキに余裕がある場合は《沼地のドロゴン》と《ガルーラ》を両搭載して広い範囲を見られるようにもなるので、前期と同じ《FA-ライトニングマスター》+《虹光の宣告者》だと吸われる範囲が広くなってしまいます。
状況によっては《アクセル・シンクロン》の②効果で相手ターンでシンクロすることで対応していくことも重要で、《エアホイスター》を盤面に残しておけば《フルール・ド・バロネス》を出す択も生まれてくるのでこれまでとは違った意識が必要かもしれません。

【神碑】
《群雄割拠》が1枚減りましたが、それが一番刺さる【ティアラメンツ】が大きな規制を受けたこともありそこまでの弱体化とは言えません。
環境初期ではそれなりに広い対面を見たいためサイドデッキにピンポイント気味のカードを採用しづらく、現状【神碑】を見るために多くのサイド枠を割きづらいのも追い風です。
ただし【魔術師】や【センチュリオン】、【ホルス】系といったペンデュラム、永続などへの対策として《醒めない悪夢》がサイドに採用されつつあることには注意が必要です。

新制限で活躍が期待されるテーマ

【炎王】
ストラクチャーデッキが出て間もないですが、すでにある程度構築が完成していて、初動の多さや誘発などの自由枠の具合から見ても万人に扱いやすいデッキと言えます。
除去を破壊に頼っているデッキに強く出られるのも高評価です。
またフリーチェーンで自分の盤面を破壊できる《炎王神獣 キリン》、《炎王神天焼》の存在や、《炎王の聖域》によって守られている《炎王の孤島》など、手札誘発による妨害を重く受けづらいのも特徴です。
当然ながら《ディメンション・アトラクター》は厳しいですが、それを搭載できるデッキが現状多くないのが救いです。


【魔術師】
前期の後半あたりからシェアを徐々に伸ばしてきたザ・展開系デッキ。
「覇王」ギミックを混ぜたものが主流になりつつあり、展開ルートが従来のものに比べるとわかりやすくなった感があります。
構築によっては《LL-インディペンデント・ナイチンゲール》を利用した先攻ワンキル型も存在するなど、現時点での展開系の中では間違いなくトップと言える強さですが、《醒めない悪夢》や《ドロール&ロックバード》など、ペンデュラムデッキゆえのメタカードへの耐性の低さがどこまで足を引っ張るかが焦点になりそうです。


【ラビュリンス】
前期からほぼ変わらずですが、聞くところによるとメインデッキに大型モンスターを有するデッキにはやや不利とのことなので【R-ACE】に大きく規制がなされなかったことや今後の【ホルス】系デッキの増加を見るならまだまだTier1にはなりにくいところです。
強力な新規《魔砲戦機ダルマ・カルマ》を自然にメインデッキに据えることができる数少ないデッキということで、先攻での強さが引き上げられたことに注目です。
また、日本と中国他アジア圏、欧米あたりでは構築に「破械」ギミックを添えるか添えないかでかなり差があるように感じます。

【センチュリオン】系
ギミックを通してしまえば《レッドデーモンカラミティ》によるターンスキップ級の制圧によってゲームを終わらるパワーを持ちますが、やはり各種誘発への耐性の低さが問題で、サブギミックによってそこを補えるかどうかがカギになりそうです。
現状は「ホルス」ギミックを搭載したものが多く見られ、レベル8の供給、リソース、除去など様々な面でサポートされており、メインギミックが誘発で止まってしまった場合も息切れしにくくなる点でも評価が高いです。
ただしこちらも【魔術師】と同じく《醒めない悪夢》でまとめてメタを張られる可能性がある点にも注意です。

「WORLD PREMIERE PACK 2023」の新規カード

《共命の翼ガルーラ》

《沼地のドロゴン》との相互互換のような素材指定で《超融合》先としての優秀さが光ります。
主に【R-ACE】、【ラビュリンス】、【転生炎獣】をはじめとする【サイバース】系などへのメタとして働くことが考えられます。

【ラビュリンス】に対しては《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》との選択ですが、エクストラデッキの枠に余裕がない場合はメタ範囲的に《ガルーラ》が優先される可能性が高いです。
【烙印】や【シャドール】系などの闇属性を主軸とするデッキの場合は《スターヴ・ヴェノム》をそのまま続投するかもしれません。

【R-ACE】に対しては《ハイドラント》+《プリベンター》の盤面を解決し「R-ACE」ギミックでの妨害を一気に0にできる可能性があるため、《アウローラドン》ギミック非搭載型は《プリベンター》の出すタイミングや除外状態の「R-ACE」モンスターの残し方などを強く意識することになりそうです。

《超融合》先としての役割だけでなく「ドラグマ」ギミックでのドロー要員としても優秀です。
現在《天底の使徒》が無制限であることからサブギミックとしての再現性も高く、
《天底の使徒》→《ガルーラ》墓地送り&《教導の大神衹官》サーチ→《大神衹官》から《フェリジット》+α墓地送り
による2ドロー1戻しが様々なデッキで採用される可能性があります。
デッキによっては《強欲で金満な壺》に代わる形での採用もありそうです。

《金雲獣―馬龍》

レベル変化によって各種シンクロ、エクシーズの中継地点として採用される可能性のあるシンクロチューナーです。

どこから墓地に送られた場合でも相手フィールドの表側カード1枚バウンスできるのも優秀で《ガルーラ》と同じくエクストラから直接墓地に送ることも考えられます。
《旧神ヌトス》とは破壊とバウンス、表側カードにしか対応できないといった違いはあるものの、破壊では対応できない(したくない)カードも存在しているのでほぼ相互互換と言えます。

《ウィンドペガサス@イグニスター》が相手からの干渉をトリガーとするバンスということで、裏側カードでもバウンスできる、自爆特攻から能動的に起動できると言った”ならでは”があるものの、バウンスしたいカードは基本的に表側であることが多く、即効性を考える場合はその役割を譲ることになりそうです。
ただし《アクセスコード・トーカー》などに対する捲り防止として先攻時に墓地にとりあえず置いておく牽制の役割は未だ健在です。

《魔砲戦機ダルマ・カルマ》

罠版《皆既日蝕の書》といったところですが、追加効果によって耐性持ちモンスターすら処理できてしまうのが非常に強力です。
リンクモンスターや裏側表示を持たないトークンも処理によって除去が可能で、その影響を自分が受けないならフリーチェーンであることも相まって使いやすい妨害と言えます。
現時点では【ラビュリンス】が《迷宮城の白銀姫》の③効果でアクセスできるためピン差ししているのをよく見かけます。
他中堅どころでは【オルターガイスト】、【サブテラー】あたりが有効に使うことができそうです。
サイドカードとしてみるには罠カードゆえの遅さが若干気になるところなのであくまでも捲りではなく妨害という認識が良さそうです。

「PHANTOM NIGHTMARE」の新規カード

【ホルス】

《ホルスの黒炎神》《王墓の石壁》
サーチカード兼《棺》の《石壁》と毎ターン対象を取らない除去を撃てる《黒炎神》ともに優秀で、10月28日以降は必然的に強くメタを意識せざるを得ないテーマです。
現在では「セリオンズ」を混ぜた型や「センチュリオン」を混ぜた型などが主流ですが、新規登場後は純構築も考えられます。
仮に純構築になると「ホルス」モンスターを維持することで盤面やリソースをコントロールするような形になるので現在よりも低速になることが予想されます。

《黒炎神》と元々の《王の棺》を合わせて対象を取らない除去が2種になったことで、対象耐性をメインギミックに持つテーマは相対的にその強みを少し消されています。
【御巫】はもちろん、後述の【マジェスペクター】も同時に新規をもらったものの同期の【ホルス】がかなり強いので意識は必須です。
とは言え【マジェスペクター】では《竜剣士マジェスティP》の存在から《魔法族の里》や《王家の眠る谷ネクロバレー》を貼ることは難しくありませんし、【御巫】では《天子の指輪》のメイン採用など、構築段階での意識はある程度しやすく構築が大きく歪むことはなさそうです。

既存デッキで言えば、【竜剣士】や【エンディミオン】など《ネクロバレー》を貼れるデッキはそれだけで【ホルス】以外にも多くのデッキに対して有利を取れる可能性があるので、分布の偏り具合によっては活躍できるかもしれません。

【マジェスペクター】

《マジェスペクター・オルト》の効果発動後の制約が重めなので、主軸にする場合その縛りの中で如何に有効な妨害を構えることができるかどうかが環境的立ち位置を左右します。
ただし《オルト》が【マジェスペクター】にとっての軸になるにも関わらず対象耐性を持たないので、本来有効札にならない《無限泡影》や《エフェクト・ヴェーラー》に仕事を与えてしまっているのが大きなマイナス点です。
縛りを考えずに純構築にした場合の《ラクーン》or《クロウ》の初動の場合は「マジェスペクター」魔法罠による妨害+ペンデュラムリソースがベースになるので妨害数はそこまで多くは出ないのでそれを前提にゲームメイクをする必要があります。

妨害総数を増やすことを考えるならエクストラデッキからのシステムモンスターを用意したいので、その場合【マジェスペクター】を主軸にするというよりはタッチ【マジェスペクター】にすることになりそうなので既存の「竜剣士」ギミックとの混成が考えられそうです。

【ユベル】

《サクリファイス・D・ロータス》、《ナイトメア・ペイン》というわかりやすいマストカウンターがあるものの、《ユベル―Das EwigLiebeWachter》が素材としてフィールドの全効果モンスター使用できるため《超融合》、《エターナル・フェイバリット》を万能除去にできる点が強力です。
それだけ見れば全体面に対応できるので戦えそうですが、【ユベル】というデッキのコンセプト上、あくまでもコントロールデッキとしての立ち位置におさまるでしょう。
一応《スピリット・オブ・ユベル》と《ガイストーチ・ゴーレム》2枚によるワンターンキルは存在しているので地雷デッキにもなりえます。

【ゴブリンライダー】

フィールドのエクシーズ素材を取り除いて特殊召喚できるレベル3モンスターを中心としたエクシーズカテゴリで、この手のカードにしては珍しく相手の場のエクシーズ素材も取り除ける点が強力です。
対【ピュアリィ】では無類の強さを誇り、《エクスピュアリィ・ノアール》の素材がどれだけ多くても素材にいるレベル1「ピュアリィ」モンスターを1体取り除けばそれだけで0妨害にできてしまいます。
ただし妨害ではないもののそもそもの高い耐性や《ストリート》、《マイフレンド》などリソース部分はあるのでそこにどう対応していくかが鍵です。
各種素材利用の指定もないのでいろいろと活用の幅がありそうです。

【御巫】が考えるべきこと

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