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【御巫】を使用してみてのYACS反省

先日の12月23日にYACS in SAITAMAに参加してきました。
結果自体はチーム3-1とまずまずだったのですが、初めて公式の3人チーム戦出場ということもありルールの確認不足やそれに伴うデッキ構築の不備が終わってみてから発見できたので記録しておこうと思います。


まず改めて3人チーム戦の基本ルールの確認から。

「チームメンバー3人のマッチ終了時点でマッチの勝利者数が多いチームの勝利」

ということでチーム内で2勝を目指すことが基本となります。

予選ラウンドにおいて

スイスドロー形式で行われる予選ラウンドはこのマッチの終了というのが普段の3本シングルの2本先取が絶対ではなく、エキストラデュエルを行わないというルール上40分経過後に1勝1敗になったでもマッチ終了に該当しその場合は引き分けとなります。
40分経過後エキストラターンを経て1勝1敗になるケースは普段のCSを見ていても少なくなく、現代遊戯王だとそれくらいかかるのも普通になっています。

当然ですが引き分けはマッチの勝利者数にカウントしないので、負けるよりは多少マシですがいないのとほぼ同義で、他のメンバーの勝敗がそのままチームの勝敗に直結することになります。
チームメンバーがすでに1人負けている場合チームが勝つためには残りの2人が必ず勝たなければいけなくなり、そのうち1人でも引き分けになった瞬間にチームの勝利が消滅します。
チームの引き分けは両敗北扱いとなり発生した時点でオポネント的に決勝トーナメント進出は絶望的なので、チームメンバーが勝っているとき以外の引き分けは負けと同義と捉えても問題ありません。

引き分けが絡んだ場合の個人の勝ちパターンは40分経過後に1勝1分or1勝2分になるどちらかの場合しかなく、《LL―リサイト・スターリング》のような同時戦闘ダメージや《暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ》のような両者同時バーンなどが起こらない限りはそもそもの2本目の引き分け後の3本目突入がないので、そうしたレアケースを除けば実質的には2本目のエキストラターンの消化後にライフの変動がなかった場合に起こる引き分けを含めた1勝1分の場合しか個人の勝利に引き分けが絡むことはないということになります。

逆にこの手のカードを有したデッキは意図的に
引き分けに持ち込むことを戦略に組み込めるかもしれない

以上のことから基本的に引き分けはしてはいけないものであり、1本目に負けた時点で2本目以降で引き分けを発生させることはチームにとってはマイナスでしかないので個人成績を勝ちにするためにも必ずマッチをシングル3本を消化して終えられるように努めるべきというのが大前提になります。

マッチでシングル戦3本を終わらせる流れとは

シングル戦を3本全てを行うためには試合の時間管理が重要なのは言わずもがな、それと同じくらいデッキ構築時点でのプラン作りが重要だと感じました。

引き分けをしてはいけないというのを前提にしたとき、勝ちパターンとしてはストレートに2本勝つのが当然ながらベストで、それ以外の
1本目:勝ち、2本目:負け、3本目:勝ち
のパターンと
1本目:負け、2本目:勝ち、3本目:勝ち
のパターンでは2本目までしか行えず引き分けで終ってしまう可能性もあるため3本目にキチンと入れるかどうかが肝心です。

前者のパターンの場合、早々にサレンダーしてしまえば2本目の開始がよほど遅くない限りは3本目を確実に行えるので、初手の時点でサイドカードが引けずにそのまま負けそうなときはサレンダーを宣言してしまうのも有効です。

問題は後者のパターンで、この場合まず何よりも2本目の勝ちを早くに獲得し3本目に向かわないといけないわけですが、そこで時間を無駄に消費するかしないかが相手に委ねられてしまうのが一番の問題点です。
つまり相手が不利な状況でも諦めずに粘りつづければ40分を消費し2本目でマッチが終了してしまうというのが起こりえるわけです。
これについては相手視点からしても良い面も悪い面もあり、他のチームメンバーの勝敗によっては2本目で終了し自分の成績を引き分けに持ち込むこともあれば、3本目を行えるように早々に切り上げることも選択することができます。
具体的に言うとプレイヤーAがマッチ勝利をした時点で残るプレイヤーB、およびCはマッチ引き分け以上で良く、二人ともが粘ることでチームの勝利になることを狙えるようになりますし、プレイヤーAがマッチ勝利しプレイヤーBがマッチ敗北した時点であればプレイヤーCが狙うべきはチーム引き分けを嫌って3本目を行うのが当然ベストとなります。

そしてその引き分けを解消する必要があるのは必然的に1本目に負けた側のプレイヤーで、2本目の時点では1本目に勝った側のプレイヤーが時間の管理およびマッチ勝敗の手綱を握っていることになり、心理的にも有利になっていることは意識しておきたいポイントです。

プランの作成およびデッキ選択

相手にサレンダーをさせれば次のシングルに向かえるわけですから、明らかに勝ちとなる状況を作れるかどうかが3本目を行えるかどうかに直結すると言っても過言ではなく、それを成せるのがデッキ構築時点でのプラン作りということです。

このプラン作りには大きく分けて2つあると考えており、
1つは相手のライフを取り切るプラン
もう1つは相手を詰ませるプラン
があります。

相手のライフを取り切るプランとはそのまま初期ライフ8000点を取り切れるように盤面にモンスターを並べたりすることを指します。
これは所謂展開系デッキや環境トップに君臨するパワーの高いデッキ群が得意なプランで、8000点を超える打点を目に見えるところで作ることで相手にワンチャンスもないことを示すことができるため相手側としてもサレンダーしやすい状況になっています。
また打点だけでなく見えている妨害の数も多いというのも特徴で、盤面でプレッシャーを与えることで相手がそれを数えるだけで越えられるかそうでないかを判断できるため、これも時間を有効に使うためのポイントとなっています。
環境トップ層はこれがわかりやすく、【R-ACE】や【炎王】などのパワーの高いデッキ、展開系の【魔術師】や【@イグニスター】、【アダマシア】などがこちらに相当します。

相手を詰ませるプランとはライフを取り切るのではなく相手を膠着状態に持っていき「この1本はどれだけ時間がかかっても勝ちますよ」というのを相手に示すことを指します。
これは【神碑】や他永続系を採用したデッキが取れるプランで、基本的に試合時間がかかりやすいぶんその時間をコントロールし引き分けに持ち込むことも得意なデッキが多いです。
どちらかと言うとこちらに相当するのはTier2以下のデッキになりやすく、それはTier2以下がTier1に対抗しようとすると当然カードパワーの足りなさをギミック外で補う必要があることからも永続や強い誘発に頼らざるをえないためですが、ギミックで触ることができないことを考慮するなら詰ませるプランはライフを取り切るプランと比較するとやや再現性が劣るとも言えます。
手札誘発を妨害としてカウントした場合、相手視点では盤面妨害と違いそれを数えられないためいつでもワンチャンスがあるように見えたり、その手札誘発の撃ち方の強弱もあるため、この点でも相手に対してのプレッシャーが盤面形成をするよりも弱いと考えられます。

【御巫】が取るべきプラン

以上を踏まえたうえで【御巫】が取るべきプランはなんなのかを考えてみます。

その前に実際に使用したレシピがこちら。

一見普通の構築だが……

【炎王】が増えることを想定しメインに《剣神官ムドラ》を採用した型。
初動が足りている場合に《神巫》から触ることができるため再現性もそれなりに高く、その分《神巫》から妨害を出しやすくするために《儀式の準備》も複数枚採用しました。

……と型についての話は一旦置いておいて、このレシピには上述の3戦目を行うためのプランとしてどちらが組み込まれていると思いますか?



答えは「どちらもない」です。




【御巫】はデッキのコンセプト上打点をギミックから出してライフを取るというのは不可能なのでそちらのプランをそもそも選択できないと一見考えられますが、それを解消できるのが《脆刃の剣》の採用です。
採用することで突然の1ターンキルを成立させることが可能なので試合時間の短縮にも大きく貢献します。
《脆刃の剣》を採用するならアクセス手段を増やすために《アショカ・ピラー》や《焔聖騎士―ローラン》などを採用することも考えられるので構築の基盤自体が違ってきます。

もう1つの相手を詰ませるプランとして一応《次元の裂け目》や《サモンリミッター》が採用されていますが、サイドデッキであることから1戦目の時間短縮には貢献せず、1戦目が長引けば長引くほどに引き分けが近づくことを考えるとこれらの永続系もメインデッキに入れた場合に比べて相対的にパワーが低くなっています。
相手を詰ませることを意識するならこれら永続系はメインに添えるべきであるのと、《サモンリミッター》のように相手にある程度動く余地を与えるカードよりも《カイザーコロシアム》のようにそもそもの動きを許さないカードを優先させたいところです。

今回のデッキではそのどちらでもない構築がされていたため時間を有効活用できず個人成績に引き分けを2つつけることになりそれによりチームの勝利を逃してしまいました。
妨害の質で言えば手札誘発を多めに採用しましたが、上述の通り目に見える妨害ではないため相手にはいつでもワンチャンスあるように見える盤面になりがちというのが時間効率の面で言えば微妙なところでした。

一応補足しておくと、今回のレシピをどのラウンドもエキストラデュエルを行い勝ちか負けかを必ずつける普段の大会で使用する分には問題ないと考えています。
元々【御巫】自体がバーンの要素や《フゥリ》の耐久要素を持っておりエキストラターンおよびエキストラデュエルに強めのデッキなので、フルで戦えるなら一撃でライフを取るプランを必ずしも採用するべきというわけではありません。
妨害にならない《脆刃の剣》を採用するかしないかは好みによるところ、というのはこれまでの過去記事でも述べてきたところですが、今回で言えばそうした部分を割り切ってでも採用しチームのトータル勝利に貢献できるようにするべきだったわけです。

YACSは決勝トーナメントからはエキストラデュエルを必要に応じてを行い個人の最終的な勝敗をつけるため、そこまでいけるなら普段と同じ考え方でデッキを構築してもある程度プラン通りの運用ができるわけですが、そもそも予選ラウンドを勝ち抜けられるかどうかには別の要素が求められている、というのが今回の反省のまとめになります。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう。それでは。

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