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みかんこらむ⑤―永続型御巫について思うこと

現在の【御巫】の型は細かい部分で見ればいろんな択を取ることができますが、妨害という面で言えば大きく二つに分かれ、ギミック外の妨害手段として手札誘発を厚めに採用するか、永続魔法罠によるロックビートダウンを狙うかになっています。
「御巫」カード以外を多く採用し展開に振ったデッキタイプも存在しますが、本来重くないはずの誘発を余計に受けることや素引きが嬉しくないカードの増加、捲り札やメタ誘発をはじめとする自由枠の少なさなど様々な理由から、個人的にはそういうことを【御巫】でする必要はないと考えているので今回は扱いから省いています。

永続型を振り返る

これまで私が構築してきた【御巫】の構築ベースは手札誘発を厚めにしたもので、永続型を使用していた期間はトータルではあまり長くありません。

《カイザーコロシアム》、《群雄割拠》、《御前試合》、《センサー万別》あたりが永続型でよく採用が見られるところですが、自分の構築を見返してみると中でも《カイザーコロシアム》の採用が一番多かったです。
永続罠3種については環境への刺さり具合が良い時と悪い時の差が激しいため採用していない時期があったからでしょう。
【ピュアリィ】が多かった時期は《センサー万別》メインが当たり前でしたし、2024年1月現在で言えば《群雄割拠》が制限カードにされるほどに強力です。
永続罠は1枚で仕事をするカードなのでとりあえず引くだけで何かしら妨害になっている点が強く、環境とともに制限、準制限と規制が厳しくなっていることからも言い方は悪いですが雑に勝てるカードを公式が嫌う傾向になってきたことがわかります。
TCG環境では永続罠3種は全て制限になっていることから考えて、現在炎属性をプッシュしているためか許されている《御前試合》についてもOCG環境で規制が入ることは正直なところ時間の問題だろうと思います。

《カイザーコロシアム》は永続罠とは異なり自分の盤面にモンスターが必要という条件もありますがそのロック性能が他とは段違いに高くTCG環境では禁止カードに指定されているほどです。そのロックが決まったときの堅さを評価して幾度も採用していたわけですが最近になってその評価を見直すことになりました。

なぜ評価が変わったのかを考えてみると、おそらく環境の低速化が大きな理由の一つです。
これは【御巫】が登場してから昨年途中まで【ティアラメンツ】という圧倒的なパワーを持つデッキが存在していたことで、ギミックによる手数で理不尽なほどに展開してくる環境では1枚の手札誘発では止まらないためにこちらも無限妨害という理不尽を押し付けるしかパワー差を埋められなかったが故の永続魔法罠採用となっていたところが、手札誘発を10~12枚ほど採用しカードのやりとりを前提とした低速環境になってからは理不尽を押し付ける必要性が乏しくなり、【御巫】の本来のプランであるやりとりの中で相手のリソースを正しく削ることができるカードを優先していくよう変化したことに起因します。

《カイザーコロシアム》と装備付き《フゥリ》が達成されれば非常に堅く理論値だけで言えば最高レベルの盤面となりますが、果たしてそれが達成できなければ負けてしまうのかどうか、必ずしも要るのかを考えるべきです。

永続以外に添えるべきは何か

ということで装備付き《フゥリ》を前提として他に何が添えられていればいいのかを考えます。

よくある《フゥリ》の突破手段として《アクセスコード・トーカー》や《世海龍ジーランティス》、《閉ザサレシ世界ノ冥神》といった高リンク体に向かうことや【炎王】の《炎王神獣キリン》、【ラビュリンス】の《白銀の城のラビュリンス》などの対象を取らない破壊ギミックがあるため、それらに対応できるようなカードを中心に考えていくのが良さそうです。
《アクセスコード》や《ジーランティス》に関しては成立後でも「御巫」罠以外では《エフェクト・ヴェーラー》や《無限泡影》などの無効系誘発や《原始生命態ニビル》よって対応が可能で、それらを使うことで相手のリソースを削ることに成功しています。
《閉ザサレシ》に関してはその成立過程でリンク値を削るしかないため実際は《フゥリ》が突破される前提となりますが、例えば《御巫の契り》を採用することで《フゥリ》突破後のケアを可能にすることができるためそれも相手のリソースを削っていると言えます。
《御巫の契り》は《ジーランティス》成立後にも《ニニ》をリクルートして対応できることから最近再び評価を上げています。
対象を取らない破壊に関しては、《フゥリ》に破壊耐性付与の装備魔法を2枚装備させる他、それらに合わせたメタカードを採用していくことになります。最近試したカードで言うと《墓穴の指名者》は【炎王】対面の先攻後攻問わず強く《炎王神獣キリン》を弾く以外でも活躍しました。ややピンポイント気味ですが《屋敷わらし》も似たような部分を補完してくれそうです。

手札誘発の良いところは先に引いておかないといけない永続魔法罠とは違い《増殖するG》によって後から引いても間に合うところにあり、《墓穴の指名者》や《抹殺の指名者》を《天子の指輪》によって弾くことができるため、メインギミックによって《灰流うらら》をチェックしつつ装備付き《フゥリ》を成立させたあとの《G》の信頼度が高いことも手札誘発の評価を間接的に高めています。
そのこともあり手札誘発をギミック外の妨害の軸にすることはプラン的にも噛み合っていると言えます。

まとめると、装備付き《フゥリ》を突破する手段はある程度限られており、それらの手段に対してもメインギミックで対応できる部分があるため、手札誘発を含め一緒に添えて強いカードを多く採用できるとプランの再現性を高くすることができる、というのがひとつの結論です。

《カイザーコロシアム》は本当に先攻後攻問わず使えるのか問題

手札誘発が先攻後攻問わず仕事をするカードであることも評価点となり採用しやすいわけですが、一応《カイザーコロシアム》などの永続系も先攻後攻問わず仕事ができると言うこともできます。
特に現在で言えば【炎王】が後攻のこちらのターンで《炎王神獣キリン》や《蛇眼の炎龍》、《I:Pマスカレーナ》、《賜炎の咎姫》など盤面にモンスターを供給するカードを複数擁しているため《カイザーコロシアム》発動から相手を誘うことができます。発動に成功すれば《マスカレーナ》からの《S:Pリトルナイト》や《炎王神獣キリン》の破壊トリガーからの《聖炎王ガルドニクス》を出さないと敷いたほぼ全ての妨害が無意味になるため【炎王】視点では動かざるをえません。
《無限泡影》などで予め《マスカレーナ》を無力化したり、除去手段が《キリン》経由《ガルドニクス》の場合は《オオヒメ》+《伝承の大御巫》の併せ持ちで《カイザーコロシアム》が後攻で仕事を果たすことができるため一見後攻でも機能しているように思えますが、ここまでで挙げているカード数からわかるように必要なカードが明らかに多すぎます。
《カイザーコロシアム》成立後に追加で場持ちの良いモンスターを残す必要があるので単純に考えても《カイザーコロシアム》+盤面を無力化できるカード+《オオヒメ》など「御巫」カード(+「御巫」装備魔法など)のピンポイントで欲しいところを3枚ないしは4枚以上引く必要があるのであまり現実的ではありません。

別のパターンで《増殖するG》や《ディメンション・アトラクター》、《ドロール&ロックバード》などの発動に成功すればターンスキップ級の手札誘発で相手を止めた返しに《カイザーコロシアム》+装備付き《フゥリ》を成立させて先に盤面を作ることも考えられます。
その場合に相手が妨害が0ということは考えにくいのである程度それを超えていく手数も要求されていると考えるとそれはそれで欲しいところを手札誘発を含めて4枚以上要求されていることになります。
一応その場合は手札の要求枚数を下げるために1枚で初動になれる《アショカ・ピラー》を採用したりの工夫はできるのである程度その再現性を高めることはできます。
ただしそれも相手の動きや投げる手札誘発によっては要求のバラつきがあり、相手の動きの話で言えば【炎王】が《ドロール&ロックバード》を受けつつも《リトルナイト》+《アポロウーサ》くらいは作れたり、《アトラクター》を受けても《炎王神天焼》を構えたりと妨害に関してはギミックからある程度生成できますし、相手ターンに《アトラクター》を投げたことで《オオヒメ》からのディスカードを手数にできなかったりと結局は噛み合わせが良ければなんとかなるくらいでしかないので、永続を正しくプランに当てはめるにはハードルがそれなりに高いと考えられます。

その点で言えばこちらの盤面にモンスターを要求する《カイザーコロシアム》よりは仮に相手の妨害や自分の手札の具合が悪く盤面にモンスターを用意できなかった場合でも機能する《群雄割拠》などのほうが本来は優先したいカードだと言えます。

前回の記事でYACSでは相手を詰ませるプランとして《カイザーコロシアム》を採用することが検討できるとしていましたが、それは時間管理の重要性が高く構築もそれに合わせる必要があるため、手札の要求値や先攻後攻の働きのブレを割り切った前提で採用することになるので、その部分を考慮せずに構築できるならばトータルプランの再現性を重視して《カイザーコロシアム》を採用しないほうがいいのかもしれません。

評価の曖昧さ

これまでの自分のデッキを振り返ってみると【御巫】以外で言うと【エルドリッチ】を愛用していましたが永続罠で勝ったという記憶はあまり多くありません。
確かに《スキルドレイン》などの永続罠を開いてイージーウィンをしたことはあったはずですが、それよりも「ドラグマ」ギミック「烙印」ギミック、「勇者」ギミック、《デストロイフェニックスガイ》などサブギミックを用いてワンターンキルで勝ったことの方が多いと感じています。

記憶というのは曖昧なもので、そうやって自分の考えたプランを再現して勝ったからこそ鮮明に記憶していてそれを無条件に強いと評価してしまっているのではないかと考えていて、《カイザーコロシアム》も"それ"になってしまっていないか今一度振り返った次第です。
過去の自分が下した評価は絶対のものではないことを念頭にいつでも自分を疑えるようにしたいものです。

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