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みかんこらむ③―《ディメンション・アトラクター》について

ギミックをほぼ壊さないのでとりあえず投げても困らない【クシャトリラ】や【エクソシスター】とは異なり、発動タイミングが非常に難しい【御巫】での《ディメンション・アトラクター》。
このカードによってプレイに歪みが生じているのを非常によく見かけます。

今回は具体的な手札も交えつつ、【御巫】で《ディメンション・アトラクター》と上手く付き合っていくにはどうするべきかを考えていきたいと思います。

が、その前に。

アドバンテージについてのおさらい

カードゲームにおける最重要事項は「カードアドバンテージの獲得」、これに尽きます。
1枚の手札とはそのまま行動回数1回分捉えることができるので、1枚のカードでどれだけの自分にとってのプラスになるか(自分のアクティブを増やす)、相手へのマイナスになるか(相手のアクティブを減らす)、
マナ概念が存在しない遊戯王においては特に、ほぼ全てのプレイはこれを原則に考えるべきです。

改めてカードアドバンテージについてのおさらいをしておきましょう。

1枚で相手の1枚に対応する1:1の交換(a.とします)を基本とし、その1枚が実質的に相手の2枚に対応できたなら1:2の交換となるのはプラス(b.とします)、逆に1枚でカードが減っていない場合は1:0の交換になるのでマイナス(c.とします)、のような考えです。

《灰流うらら》は撃ち方によってアドバンテージが様々に変わるので分かりやすい例として挙げておくと、
a.《増援》に対しての《灰流うらら》
b.《トレード・イン》に対しての《灰流うらら》
c.《ピュアリィ》の①効果に対しての《灰流うらら》
のようなものです。

c.は《ピュアリィ》の①効果が不確定サーチであることや②効果が使えること、さらには《ピュアリィ》の①②効果ともに1ターンに1回の制限がないことからも、現実的にはほぼほぼありえない交換ですが、ものすごく弱い《灰流うらら》の撃ち方の例として挙げておきます。

アドバンテージの種類には上記のカードアドバンテージの他に、情報アドバンテージ、ライフアドバンテージ、テンポアドバンテージなどがありますが、アクティブカードの枚数に直結しているカードアドバンテージが一番重要です。

【御巫】においてはカードアドバンテージを意識した妨害の撃ち方が特に重要で、質問箱でも答えていましたが、妨害の撃ち方一つで妨害が足りなくなりゲームが大きく変わってしまうことも往々にしてあるので、常にアドバンテージ面で負けていないかしっかり確認する必要があります。

以上のことを踏まえて

《ディメンション・アトラクター》はどう撃つべきか

《アトラクター》が担っている仕事は主にテンポアドバンテージの面で、通せれば有効デッキに対して往復2ターンの拘束できるのが強みです。
ただこれは先述のカードアドバンテージとは異なり、相手の動きを抑制するテンポアドバンテージを取るカードなので、大概の場合はカードアドバンテージの面ではマイナスをしているものだと思って差し支えありません。(1:0交換)
テンポアドバンテージしか取れないとなると、その手札マイナスをどこで補うかをカードアドバンテージ面で考えていく必要があり、それは「御巫」罠の撃ち方や他の手札誘発の撃ち方に集約されるため、カードアドバンテージを理解した上での相手のデッキに対しての理解度がそのまま勝率に直結することになります。

《アトラクター》をテンポアドバンテージのみならず、カードアドバンテージの獲得の為に使うとなるとかなり限定的です。
分かりやすい例で言うと、《おろかな埋葬》の発動にチェーンした場合などがそれで、墓地に送ったカードによってアドバンテージを得る予定だったものを不発にしつつ、以降のターン中の動きの抑制も兼ねている理想的なタイミングですが、除外することで効果を発動する《悲劇のデスピアン》や《鉄獣鳥 メルクーリエ》を有する【烙印】のようなデッキからの除外を活かせるデッキが存在するので、実戦において必ずしもそのタイミングで両方のアドバンテージを獲得することができるというわけではありません。

また当然ですが、全体除外効果は自分にも適用されているので、自分の動きの幅を狭めてしまうことにも注意が必要です。
《アショカ・ピラー》型【御巫】の記事では、《宣告者の神巫》は《アトラクター》との相性が悪いが為に《剣神官ムドラ》を同時に採用したり、そもそも《神巫》自体を不採用にする択など、《アトラクター》を採用することで構築にある程度の制約がかかるということを述べました。

《神巫》型では《神巫》+《オオヒメ》+《アトラクター》の手札の場合、《神巫》で《ムドラ》を墓地に落としておき、「御巫」ギミックを動かした後に、相手ターンで《ムドラ》を使って妨害兼自分の墓地0を達成しつつ、その後に《アトラクター》を撃つようなことをしていたわけですが、
これに倣うと、自分が動けるうちにギミックを動かすというのは【御巫】で《アトラクター》を使う上での大前提で、逆に言えば自分の動きが確立する前に撃つ《アトラクター》はほぼありえないということになります。

例えば、《アトラクター》を相手の先攻1ターン目のスタンバイフェイズまでに先撃ちで発動するかどうかは、対面のデッキタイプはもちろん、その時点での手札に《儀式の準備》や《アショカ・ピラー》、《水舞踏》などを持っているかどうかによっていて、その初動部分が《神巫》であるなら《アトラクター》を撃つことを諦めることも選択肢になりえます。

そもそも《アトラクター》をスタンバイフェイズまでに撃つこと自体が自ら手札を減らす行為としてカードアドバンテージ的に損をしているわけですから、《三戦の才》などの裏目を考慮したとしても、よほどのことがない限りは先撃ちはしたくないものというのが基本認識で良いと思います。

《アトラクター》が相手への抑止でありつつも自分のプレイに制約をかけるものでもあることを前提に考えると、自分が先攻時に《アトラクター》を引けている場合の撃ち方はなるべくその先攻ターンのうちに撃ちたいです。
というのも、ターンが返ってきた3ターン目は《アトラクター》によって相手の動きが弱まっている絶好の攻め時なので、《オオヒメ》でのディスカード、《迷わし鳥》や《火叢舞》といった装備魔法、《伝承》の落とし、果ては各種エクストラデッキからの打点などの様々な攻め手をフルに活用してゲームを決めきりたいからです。

《アトラクター》が自分に一番影響がないタイミングは先攻1ターン目の「御巫」ギミックを動かした後しかなく、それ以外だと少なからず攻め手を減らすことになるので、《アトラクター》の影響が自分か相手どっちに対して大きいかをしっかり測れないと結果的にマイナスを背負うことになりがちです。
《神巫》型が相手ターンで無理矢理《アトラクター》を発動していましたが、それによって返しの自分のターン中も全体除外が適用されているので、他のカードの引き具合によってはそれでゲームを決めきる可能性はあるものの、結果的には攻め手を減らしているという見方もできます。
テンポを奪われているのは相手だけではなく自分も同じで、《アトラクター》を撃つことでテンポの取られ方のマイナスが自分か相手のどちらが大きいかは常に考えるべきです。

先攻ターンで撃つことのメリットは次ターンの自分の動きの制約をなくせる面でもそうですが、相手からの《墓穴の指名者》を受けないことも大きいです。
せっかくの確定ターンスキップをトップ解決されるのは勿体ないので可能な限り自分のターンで撃ち確実に仕事をさせましょう。
他の手札誘発との合わせ持ちの場合にそれらに対しての《墓穴の指名者》を撃たせないようにする副次的効果も見逃せません。
《灰流うらら》や《朔夜しぐれ》などの手札から捨てて発動する手札誘発を確実に働かせることができます。
妨害を永続魔法罠ではなく手札誘発に任せている型の場合は意識しておきたいところです。

墓地にカードを残さない動き方

墓地0でターンを返せる動きをここで浚っておきましょう。

・《アショカ・ピラー》単騎
→一番基本ですが、この場合は《アショカ・ピラー》への《エフェクト・ヴェーラー》や《水舞踏》への《幽鬼うさぎ》をケアして召喚の前に《アトラクター》を撃つのを忘れないようにしましょう。

・「御巫」下級+装備可能な魔法
→《ハレ》スタートの場合は《水舞踏》を後サーチすると《水舞踏》起動時にサーチトリガーになった装備が墓地に落ちるので、組み合わせは《水舞踏》か単独で妨害になれる《祓舞》を装備した場合になります。
《火叢舞》でもとりあえずの達成はできますが、《アトラクター》下での除外リスクもあり次ターンに回収ができるかどうかが不明なので、攻め手になれる《火叢舞》をそもそも早い段階で使うこと自体あまりしたくない選択です。

・《オオヒメ》+「御巫」下級or《伝承》or《迷わし鳥》
→《伝承》で《オオヒメ》を特殊召喚し、墓地に《迷わし鳥》と「御巫」下級を揃えるパターン。
組み合わせが多いので頻出します。
このパターンだと最後に《アトラクター》を撃つことになります。

永続型の場合

《アトラクター》が1ターンでもテンポを取れるならその間に無限妨害によってカードアドバンテージ差を詰めることも検討できます。
【神碑】が採っているプランがそれで、大量の永続罠と同時に採用することで先攻後攻の逆転を狙えます。

永続魔法罠は先攻での強さが保証されているぶん、後攻は間に合っているかがまちまちなので、できる限り後攻でも盤面に干渉できるものを採用したいです。
《センサー万別》、《群雄割拠》、《御前試合》はそれですが、後攻の場合1枚だと敷かれた妨害に対して心もとないこともあるので複数枚を同時に引けて初めて捲れる可能性が出てくると考えておくほうが精神的にも良いです。
《アトラクター》が相手の先攻盤面を弱体化させて返しの1枚の永続の通りを良くしていると考えるならば、合わせ引き前提ではあるものの、それらの類と思っても良いでしょう。

《カイザーコロシアム》も採用を検討する永続ですが、後攻では複数枚の永続を引いて数で捲ることを考えると、《カイザーコロシアム》適用の為の盤面維持できるモンスターをさらに用意する必要があるので手札の要求値が他永続よりも上がってしまいます。
《カイザーコロシアム》は先攻専用と割り切って、採用するなら誘発の枠を削って他の永続罠とセットで先攻に寄せた構築にするかなと思います。

それでもやはり、現時点での【御巫】の構築は永続型よりも誘発型のほうがトータルでは上だと考えています。

先攻において威力を最大限発揮できる永続罠をプランの主体とする【神碑】がなぜそれを遂行できるのかというと、後攻でもメインギミックが盤面に干渉できて且つ全体プランの邪魔をしないからです。
【神碑】は《ゲーリ》や《輝く炎》、《凍てつく呪い》、さらにどの神碑速攻からも《ティ・フォン》を降臨させて盤面を荒らせます。
これらの捲りはギミックを動かしていれば自然と行えるもので再現性も高く、後攻でも永続罠を通して勝ちパターンに引き摺り込むことができるのが【神碑】の強みと言えます。

これを【御巫】に当てはめると、ギミックで相手の盤面に触るには《水舞踏》、《誘い輪舞》、《御巫神楽》くらいしかなく、《神楽》は下準備なしでは威力不足且つ複数枚要求、《誘い輪舞》は他に「御巫」ネームを要するわりに1枚干渉、唯一単独で仕事ができる《水舞踏》はターン1で通らなかった場合はギミックが回せずに負けパターンまっしぐら、とギミックだけで盤面解決に向かうにはハードルが非常に高いです。
《ティ・フォン》だけはこのデッキでも活用することはできますが、盤面に「御巫」ネームを残すことがほぼできないので次ターンの動きを担保するにはもう一手欲しいところです。
【御巫】は後手でもワンキルを飛ばしてくると言われることがままありますが、実際にただ打点があるだけのこちらに干渉してこないモンスターが立ってるだけの状況は現代遊戯王においてあるはずもないので、何かしらの方法で盤面が弱体化していることがほぼ絶対条件です。
仮に壊獣などがメインから入っていたとしてもそれだけで後攻が得意だとは言えないでしょう。
あくまでそういう手札が来たときに起こりうるだけです。

自分はじゃんけん全部勝てるので永続型にします!じゃんけん仮に負けても増殖するGと永続と初動全部同時に引けます!
そんな人には永続型はおすすめです。

とはいえ、何度も言っていますが御巫のデッキパワー自体は環境Top群と比較すればお世辞にも高いと言えないわけですから、いっそ先攻に全振りしてしまうのも確かに正しい選択の一つです。

自分好みのプレイスタイルからデッキの型を再度検討するのも良いかもしれませんね。



最後は話が少し広がってしまいましたが今回は以上になります。
ありがとうございました。

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