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マカロニ時代。第48話 最優秀作品★★★★★前振り

第48話「影への挑戦」

✅48話前振り

1.「生命の尊さをストレートに訴求した作品」
2.「過去を捨てた男と捨て切れなかった女の情念と
  時に貶めたものへの怒り」
3.「当時の社会世情を取り上げた作品」
5-3.「元恋人への慕情と引きずる絆」
14.「犯人が物語に一切姿を見せない作品」

 PART1の718話中、藤堂チームが
 唯一、犯人(影)を逮捕出来なかった作品。
 しかもマカロニ時代。
 影はその姿さえ見せない。

「太陽にほえろ!」マカロニ時代
 初の未解決事件がこの回。
 これも50年前の作品です。


※実はジーパン時代でも未解決事件はあります。
 (これはジーパン時代蘊蓄話で)
 犯人は分かっているが、逮捕できない。

このジーパン時代の作品は
次のテキサス時代のある話の布石にもなっています。
ジーパン時代と テキサス時代の両話に
登場する影の人物。

この影とは違います。この48話は。

テキサス時代に、
影の手先によって、殺されるのは、
第一話ユカを演じた鹿沼エリ(現:鹿沼絵里)。
第一話よりも 台詞を多く貰ってます。


第48話「影への挑戦」は、
所轄の七曲署、及び警察全体でも
容疑者を全く確定出来ず。
しかも容疑者は姿さえ見せない、奴等。

その影が仕組んだ野望の罠に
飛び込んで行った一人のジャーナリスト。
彼を救出出来なかった捜査一係。
尊い生命を救えなかった藤堂一家。

誰が康彦を殺したのか?
康彦はシンコの眼前から
三年前に消え去った愛しきひと。
柴田純との恋仲以前に
シンコが恋した、昔の最愛のひと。
彼とは結婚まで考えていたのに、、。

その男が突然シンコの前に現れた。
死んだはずの
かつて恋した人が生き返ったのか?
なのに、何故いま彼がここに居るのか?
この3年間で、実はつい先日に、
彼は殺人まで犯していたのだ。
後になって康彦はシンコの前で
自分は「人まで殺してしまった」と仄めかす。


影の世界と偶然関わりを持ったために、
その影を追ってきたジャーナリズムの為に、
報道カメラマンとして撮った
たった一枚の写真の為に、
影から 追い詰められる自分がいた。
果たして  影が仕掛けた罠に堕ちてしまい
康彦は死ななければならなかった。シンコの目前で。

その前に、その現実を、
そのスクープを世間に公表すべく行動し、
康彦は日本に舞い戻るが、、、。

その思いと、
かつて仄かに愛したシンコに 再会したときに、
いまは刑事となっているシンコに
殺人まで自白。
しかしながら、今となってはもう遅い。


プロカメラマンと言う ジャナーリストとしての
自負は、もう後戻り出来ないところまで
追い詰められていたのだろう。
折角三年ぶりに  再会したシンコとの会話は、
もうかつての「男と女が恋を囁く」情景には程遠い。
誰にも邪魔されたくない会話では 
もう無くなっている所にまで来ていた。

一国の政府すらも 引っ繰り返せるような
その「影の組織」と関係を持ってしまった康彦だったからだ。

全ては今や
影から追われる「危険人物」と
成り果ててしまった康彦には、
今、康彦がシンコを守るためには、
シンコとの接触が、ただ単に
シンコや周囲を 死地に追いやる事を避けたいという事。

最早、シンコとの暖かい家庭を築ける男には
なれない自分。かつての自分ではない。
康彦はそのように認識し始めていたのだ。


しかし、刑事としてのシンコは
たった一人ではもうどうしようもない所まで
追い詰められていく。

これは、
ジーパン時代「女として刑事として」の
マカロニ時代版のようなストーリーの
テイストを持たせている。

または、欠番ではないが、全く再放送されない回
「愛が終わった朝」のようなシンコの女性の気持ちの
揺らぎを表現させている回。と同じようなテイスト。

愛が終わった朝 より
愛が終わった朝 より
愛が終わった朝 より

揺れる恋のもどかしさに、決して成就できないことは
刑事の仕事が邪魔をしてしまう。
19-20歳のシンコには 荷が重いと判断した
鬼は ゴリにサポートさせる。

そして
その蠢く影に次第に絡まった捜査一係。
康彦が追い求めるその影の正体に
最後には、一係の面々の前で
康彦自身が抹殺される。
その亡骸に縋り付くシンコの涕。


60-70年代 スパイ大作戦風の顛末に
向かう捜査一係。
不気味で、不穏な影がちらつくが、
「影の組織」の裏の裏には
到達出来ない七曲署捜査一係。

当時、戦乱渦中のベトナム戦争に
関わりを持った?シンコの元恋人康彦。
演ずるは村野武範。


✅実は
次の松田優作を岡田プロデューサーに
紹介したのは、この村野武範であった。
その御礼に出演する事が出来たのか?

文学座の先輩が村野。
後輩研修生だったのが松田。
村野が同席での麻雀で負けた罰に
岡田プロデューサーを紹介させられたらしい。

この作品撮影時には、その縁あって
松田優作は、次期新人刑事として
太陽!カメオ出演で合格し、決定していたのだ。


◆現在でもR国が仕掛ける戦争、戦禍が、
頭の中の何処かで揺らぐ私達。
この戦争に遊軍として参加していた日本人が
過日惨殺された記事を新聞でみた。

戦争に参加したい日本人が。
殺し合いに参加したい日本人が、
この令和にもいる!
そんな若者が存在する 現実の令和の時勢。
合法的に戦いに挑みたい、
人を合法的に殺してみたい日本人が現実にいる。


✅それでも、ストーリーは、
ベトナム戦争渦中の1973年のこの時代。
人の生命を簡単に抹殺する者たちを
決して許し難い藤堂俊介。

1973年の48話ストーリー内で、
シンコの親友「さちこ」の台詞では、
「もうベトナム戦争も終わった」と言っているが、
この台詞は間違いである。

放送当時は戦争はまだ終わっていない。
テキサス時代1975年まで続いている。

🔴太陽にほえろ!が
  生命を簡単に奪う「醜い争い」を
  真っ向から非難したストーリー結末🔴

鬼  石原裕次郎の台詞をして
生命の尊さを代弁した
マカロニ時代の傑作の1話。
と捉えたい。


戦争戦禍を止めようとした者には
必ず後ろに居る 彼らの家族の生命と
家族たちとの幸福を切り裂く事は許せない!

とした論理。

この世に生きる「人間として当たり前」の
これからも生き続ける権利主張の論理。

最後の記者会見のシーンで、
鬼が発言する、その台詞。

これこそが、石原裕次郎のみならず、
「太陽にほえろ!が謳う人間としての正義感」であり、
「太陽にほえろ!が観(しめ)す生命の倫理観」。

単に刑事ドラマ以上のものがある。
だから、他のドラマとは異なり
太陽にほえろ!が描く
「生命の尊さを謳い続ける」倫理観は
「人間ドラマそのもの」その所以である。


これを、
岡田プロデューサー流に?
唯一押し出した、このラストシーンが、
筆者の中のベスト太陽!推薦作品。
(筆者中学生時代からそう考えていました)

シンコにプロポーズしたかった康彦の台詞。
2回目に奏でられる ♫ 名曲「冬の黄昏」。
愛のテーマよりも、切なく重い。

しかも1回目シンコと3年振りに再会した時にも、
間奏された。
シンコが康彦の無事を確認して、
刑事としてはそれでも、
事件の最重要人物として
マークしなければならないと確信した場面。
それも重要なシーンで。
それはかつての恋慕った、男だったのだ。

対峙するのは、康彦とシンコのみ。


柴田純と出会う前の、
少女時代のシンコの儚い恋を描く。

撮影当時、関根恵子は20歳くらいかな?
または19歳くらいかな?

マカロニ死亡1か月前の作品です。

最優秀作品★★★★★の所以です。
マカロニ時代のみならず
全作品718➕12→730話中でも
最優秀作と同等の、太陽にほえろ!の
それ以上の傑作の一話と言ってもよい。


※80年代になり、太陽にほえろ!に
対抗してきた裏番組「金八先生」を
視聴率で越えようとしていた
ドック、ラガー、ボギー時代の
薄っぺらい作品群とは雲泥の差。

チャラチャラした新人刑事のこの二人。
特にラガー、ボギー。
どちらにしてもマカロニを超えることは
決して出来ない二人である。
この二人には当時の現代若者特有の
薄っぺらさ、を表現させている。
到底、マカロニとは比べものにはならない。

崇高な、悩む若者像を描き切れるには、
このラガー、ボギーは、
かなりキャスティングミスだと筆者は考える。


◆70年代最後の山下真司のスニーカーが描く
悩む青春偶像をもっと長く続かせて欲しかった。
次に登場させるべく控えていた渡辺徹の
邪魔になった山下真司を早く退けたかったのだ。
一係部屋での自席も  在籍の2年間用意されず。
と言うより、第400回「スコッチイン沖縄」の翌週から
ほぼ2年間。スニーカーの席が取り上げられている。
ここから8人体制になったためだ。

可哀想なスニーカー。
渡辺徹は  演技も 山下真司以下だったのに。
と言うより寧ろ、山下真司が先輩ロッキーよりも、
演技は数段かなり上だ。宮内淳並みだ。

しかしながら、対比してこの48話は、
CM除いて放送時間正味46-47分では、
かなり、本当に物足りない作品である。

台詞の書き下しに時間が掛かりますが、
ほぼ15分毎のステージで
3つに分けます。

但し、事件の怪。次の四つ。
ストーリー内でしっかりとは
解明されていない箇所
描かれていない箇所

尾沢が北川を殺害した事に気付いた影は
偽の救急車を回して、鬼が言った、死体処理を
しようとした真の理由は何故か?
しっかりと説明されていない。
ザハングマン達のように、死んだ人間と思わせ、
実際には生きている人間を
まるで影の組織の虫ケラ構成員とし、
あの早起きの老婆に見られたからか?
老婆に見られることは、
想定出来ていなかったのではないか?

また、影は尾沢が北川を殺したのは
すぐに分かっていた事になる。
常に尾沢が見張られていた事になる。
なのに、尾沢が北川を運び去ったことまでは
見抜け無かったか?
これが、46-7分では描けない時間の無さ。

何故、尾沢は日本に戻れたか?
正規のルートでは帰国していないと勘繰る。
入国審査、パスポート提示を求めない
他の方法があったのか?を
番組この48話は暗示している。

東京ヒルトンホテルのラウンジで、
シンコが尾沢と3年振りに再会するシーン。
ここまでの流れが説明されておらず、
視聴者はかなり燻る。
レンタカー会社の近くか、ホテルの下が
レンタカー会社だったのか?
たまたま酒を飲まない、または飲めない
当時未成年のシンコが立ち寄っている。
さらにシンコはブランデーを注文している。
注がれた中身の液体はウーロン茶か?
しかも女性の夜勤勤務は法的にどうか?

最後の記者会見のシーンで

七曲署部長が説明した台詞
「所持していた拳銃を調べた結果、
 元カメラマンの尾沢康彦と断定できます。」

どうも、この拳銃はルガーのようだ。
ボスが後期所持する専用拳銃である。
上層部は、これをどのように調べたのか?

4304字


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