1回目)はじめに試験の概要から【中小企業診断士試験】
本連載のテーマは、タイトルのとおり、「中小企業診断士」試験の突破術です。一次試験、二次試験、ともに初回受験で合格基準をクリアした、その経験を踏まえた「戦い方」をまとめました。
これまで多くの方が合格体験記をブログやYouTubeで公開しており、私も勉強中に参考にさせていただきました。先人のアドバイスにならった部分も多いですが、体験談を織り混ぜて、何か新たな情報をお伝えできればと思います。
センターピンを狙う
皆さんもお馴染みのボーリングは、10本並んだピンを1投目ですべて倒せば、「ストライク」と称され、高得点の機会が与えられます。すべてのピンを1投で倒しきるコツ、それは先頭に立つ「センターピン」を倒すこと。先頭のピンを強く倒して、その勢いで2列目以降のピンが勝手に倒れてくれるという状況を作り出すとよい。
ここを確実に押さえれば、広範囲にわたって好結果が期待できますよ。そんな、診断士試験における7つの「センターピン」をこの連載でお伝えしていきます。
中小企業診断士とは
中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です。中小企業支援法という法律に基づき、一定水準以上の能力をもつと判定された者を経済産業大臣が登録する国家資格です。
中小企業への助言役のほか、中小企業と行政・金融機関をつなぐパイプ役、行政が用意する中小企業施策の活用支援、といった幅広い役割を担う。
”診断”という名のとおり、「診る(みる)、書く、話す」が業務の中心にあって、その能力を総合的に判定する試験です。
この資格は「ビジネスパーソンが新たに取得したい資格」部門で第1位に選ばれています。企業経営に関わる広範囲な知識を横断的に身につけ、分析能力で得た知見を言語化する力も備えている、と公的な証明が得られ、キャリアアップに役立つと考えられているからでしょう。
試験制度と合否判定
中小企業診断士の資格は、一次試験、二次(筆記・口述)試験、実務補習/実務従事という3ステップを経て取得できます。詳しいことは資格予備校等のホームページが専用サイトを設けていますので、そちらをどうぞ。
◇試験制度
一次試験は知識水準の判定を目的とするもので、全問マークシート方式による多肢選択で出題されます。試験科目は7科目と広範囲にわたり、試験は2日かけて行われます。1日目の試験科目は「経済学・経済政策」、「企業経営理論」「財務・会計」「運営管理」の4科目。2日目は「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」の3科目です。
二次試験は応用能力を問うもので、「組織」「マーケティング」「生産」「財務会計」の4分野について、文章と口頭で解答します(財務会計は計算問題もあり)。診断という実務に即した出題形式になっています。
◇合否判定
一次試験は、総得点60%以上、且つ1科目でも満点の40%を下回らないこと、という足切り制度が設けられています。二次試験(筆記)も、一次試験と同様です。
筆記試験の合格者にだけ受験資格が与えられる二次試験(口述)は合格率99%以上で、「指定された時間に遅刻する」「試験で石になる(しゃべらない)」「試験官と喧嘩する」等がなければ、まず合格できます。
◇試験日程
一次試験が毎年8月上旬の2日間、二次試験(筆記)が10月下旬に行われます。診断士協会の公式発表によれば、2024年度の試験は一次試験が8月3日と4日、二次筆記試験が10月23日、とのことです。
二次試験の結果は年明け1月第2週頃に発表されます。昔は試験日の年末までには発表されていたようですが、受験者数の増加により、年越しの発表が定着しています。二次試験の合否が不透明ななかで年末年始を迎えスッキリしないものです。
口述試験は2次筆記試験発表の約2週間後、1月下旬に試験日です。このように合格まで長丁場の試験を経る必要があります。
◇2023年度の統計資料、合格実績
中小企業診断協会から、統計数字が毎年試験後に公表されており、2023年度は次の通りでした。特に二次試験は例年合格率が20%前後で安定推移しており、合格率が一定割合になるよう調整が行われていると思われます。
一次試験の合格者は二次試験に2回(2年)挑戦できる制度であるため、
二次試験の「受験者数」 > 一次試験の「合格者数」
となっています。
◇試験会場
統計資料にあるとおり、全国主要都市で試験が行われます。受験者の多い東京地区は試験会場が複数用意され、都内在住の私の場合、一次試験が上智大学、二次試験が武蔵大学でした。
私の試験結果、最初のセンターピン
令和5年(2023年)試験を受験しまして、結果は次のとおりでした。
◇一次試験結果
企業経営論:77点、財務会計:64点、運営管理:51点、経済学68点、経営法務:48点、経営情報:64点、中小企業政策:83点
合計:455点
◇二次試験(筆記)結果
二次試験は後半2科目で点数が伸ばせず、ギリギリでの合格でした。
でも、受かればOKです。
ここで「センターピン」のひとつが登場します。
それは高得点での合格は狙わない、です。
言い換えれば、「取れるところは確実にとる」「取れないところは捨てていい」、という考え方で勉強を進めていくことです。
次回以降のnoteで掘り下げていきます。
合格を目指して奮闘中の方々に、何かしらお役に立てれば幸いです。
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