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【時事抄】 日中韓3ヶ国首脳会談、米国抜きの隣国トップ会談の重要さ

メディアに引っ張りだこのエミン・ユルマズさんは、地政学リスクとは何かと問われ「ご近所トラブル」と説明していました。言い得て妙です。地理的に近い隣国のトップが顔を合わせて話し合う場があること自体が大切で、ロシアとウクライナのように隣人同士が戦争にまで発展しては最悪です。

3ヶ国会談の先んじて行われた岸田首相と中国 李強首相との日中首脳会談の模様を、日本経済新聞の記事から見てみます。

<要約>
日中韓の首脳がソウルに集まり首脳会談を行っている。27日には4年半ぶりとなる日中韓3ヶ国首脳会議を開く。経済や安全保障で溝が深まる3ヶ国が、経済・貿易分野での協力、東アジアの安全保障問題、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応などを協議する。一足先に岸田首相は26日、中国の李強首相と1時間ほど会談した。

外務省関係筋によれば、日中両首脳は経済面では協力への前向きな姿勢を示したが、安保面では緊張感の漂う話し合いになったという。それでも、『日本対中韓』だったこれまでの構図が、初めて『日韓対中国』になった、と振り返る。

岸田首相は、処理水の海洋放出を理由に中国が日本産海産物の輸入停止措置を継続する方針の即時撤回を要望した。処理水を巡る問題に対して、岸田首相は科学的根拠に基づく冷静な対応を求め、両首脳は事務方レベルでの協議を加速することで合意した。

一方李首相は、岸田首相に対して日中関係の安定への協力として、台湾問題への適切な対応を要求した。中国による台湾周辺での軍事演習を踏まえ、岸田首相は台湾海峡の平和維持を求めた。中国は台湾の頼清徳 新総統へ牽制すべく、23日から台湾全域を包囲した軍事演習を強行している。

中国は現在、不動産バブル崩壊で景気が減速し、米中分断の加速により、中国への外国企業の直接投資が激減している。今回3ヶ国協議が実現した背景には、この枠組みが中国にとって利用価値が高くなっている事情もある。

日韓と経済協力を強調して投資の呼び込みたい経済面での思惑。加えて、安保面でも日韓を引き込みたいからだ。バイデン米大統領は23年8月に米キャンプデービッドに岸田首相と尹大統領を招くなど同盟関係の一層の強化を図る。米国がいない3ヶ国の枠組みは中国にとって好都合だ。

日本にとっても欧米との外交の場で日本のプレゼンスを高めるために、中国との直接対話の機会は貴重なものになる。

(原文1718文字→804文字)


支持率が低迷してますが、今年も岸田首相は活発な外交活動を展開しています。安倍首相のとき外務大臣を長く務めて得意分野なんでしょう
(外務大臣の在任日数は戦後歴代2位の1682日という記録を持ちます。ちなみに1位は戦前の内田康哉氏。ん〜、知らん)

<2024年の主な外交活動>
・4月 国賓として米国を訪問、議会演説もこなす
・5月 ソウルで日中韓3ヶ国協議で開催 ←今ココ
・6月 イタリアで主要7カ国首脳会議(G7サミット)
・7月 米ワシントンで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に招待される
   (日米韓首脳会談の開催も見込む)

ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナ、が泥沼化するなか、台湾海峡まで「ご近所トラブル」が始まっては世界は収集がつかなくなる。米国の犬と嘲り罵る人もいますが、中国の台頭と軌を一にして、世界における日本の存在感は増しており、これが「日本の生きる道」です。3ヶ国トップとの直接協議を受けて、次に控える欧米との外交では、東アジア安定への舵取りを担う日本と岸田首相は期待される立場にあり、その立場から欧米へ影響力を行使すべき。


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