見出し画像

「この音、なんだろう。」





夏だから、こわい話でもしちゃいますか〜っ!😆🕯️
実体験だから意味不明だし、ちと長くなっちまったので、ひまひまなときに読んでね。






あれは昨年の10月。
遅めの夏休みで、実家のある北海道へあそびにいったときのはなしだ。



夜も更けてきたのでそろそろ眠ろうかとおもい、自室のベッドで目を閉じた。

暗闇のなか、頭の上あたりから「チッチッチッ…」という かすかな音がきこえてくる。
それは、金属音のようなもの。



部屋にはわたしひとり。

「チッチッ…チッチッチッ…」

リズムは一定のような、そうでないようなかんじ。



音の聞こえる方向には、壁。
ベッドフレームが金属なので、そこから発生している音だろうか。

しかし、ベッドフレームに当たりそうなものは何もなかったはず。


ねこの音でもなさそうだしな。

「チッチッチッチッ…チッチッ…」

考えている間も、音は止まらない。




この音、なんだろう。
ずっと止まらないのが不思議だ。




なんだろう、なんだろう、と考えていると、だんだんいやな想像があたまのなかを巡りはじめた。


もしもベッドフレームに白い手があって、カチカチと爪を鳴らしていたら…

白い手だけじゃなくて、人が立っていたら…

そして そのひとがこっちを見ていたら…

なにか話しかけてきたら…


こわすぎる。あまりにもこわい。
こうして怯えているあいだもずっとわたしのことを見ていたらどうしよう。

もう爪の音にしか聞こえなくなってきた。



はじめは のんきなものだったが、だんだん恐怖の感情が強くなってきた。

でも おちつくのよ、わたしおちついて〜。
ひとは想像で恐怖を何倍にも膨らましてしまう生きものだからね。2倍、3倍、いや、10倍、100倍、1つのりんごを100個にしちゃう能力があるんだから。自分が想像力の鬼なのを自覚して〜。ね〜。だから現実は意外となんてことなかったりするんだからね〜。ね〜〜〜っ?



「チッチッチッ…」

ひぃいいい!!

考えるのをやめたい。
だけど音が止まない限り、気になって眠りにつける気がしない。




眠りたい、そろそろ眠りたい。

ああっ、もう!
おばけの伝えかたってなんて回りくどいんだい?爪をカチカチされてもぜんぜんわからないのよ。あまりにも読み取りの労力が大きすぎるよ。何か重要事項があるならば、ペンとメモを使ってもらってかまわないので書き置きを残しておいてくれませんかね。

あと、こっちの世界でいう霊能者みたいなかんじで、そっちの世界に「人間能力者」てきなひといません?
霊能者と人間能力者が対話できればはなしがスムーズに進むとおもうんですよ。

というかね、そもそも、わたしになにか伝えられてもね、ほんとうにほんとうに意地悪じゃなくてほんとうに なんにもできないのよ。伝えるひとまちがえてるとおもうんだよね。




ああ、なんだか恐怖より、眠らせてもらえないことへの不満が大きくなってきた。

わたしは思い切った。
布団から右手を出し、目を閉じたまま頭上のベッドフレームを拳で2度突いたのだ。



「ゴ〜〜ン、ゴ〜〜ン……」

部屋に鈍い音が響き、その音の振動が止まる。
同時にチッチッチの音も止まった。

いや、こんな簡単にとまるんかい。物理で。


でもちょっとまって、!
ここで安心してはいけないよ!

こういうのは安心したときに目の前にドーーーン!!と おばけがくるからな。
人間がいちばん驚くタイミングをおばけは知っているからな。

なぜそんなことわかるのかというと、こちとら11歳から"ほんとにあった怖い話"でおばけを学んできたんだ。昔のほん怖は心臓が止まりそうなくらい異常に怖かったんだぞ。たぶんいまよりおばけの法律がゆるかったんだとおもう。イワコデジマ イワコデジマ!


と、と、とにかく、!
目を開けたらバーーーン!!とくるから!!気をつけろ!!


しかし、わたしには眠る前に確かめなければならないことがあった。

再び布団から右手を出し、爪を立てて金属を鳴らしてみた。

「カ〜〜〜〜ン……」
明らかに響き方が違う。

どう鳴らしてみても、あんなにも微かな「チッチッチ」という音は出なかった。

ふぅ、あの音は爪じゃなかったんだ。
わたしは安堵した。

そして薄目を開けて頭上を確認。
なにもいない。




しかし、そうなるとあの音はなんだったのだろう。
爪で鳴らすよりも、もっともっとかすかな音。
もしかして………虫の足音………?

そしてあの「チッチッチ」というリズム。
てんとう虫でも、アリでも、蝶でもハエでもない、きっともっと大きめの虫………カマキリ………?

だけど虫って、足音するかな?
もしかして………ハイヒール………?



・足音
・カマキリ
・ハイヒール


ハイヒールを履いたカマキリが、ベッドフレームを歩いていたんだ。





ハイヒールを履いたカマキリ。


完全に繋がった。チェックメイト。
パーティ帰りかな。




こうみえて、
わたしは、ふざけていません。

じつは、すこしだけ思い当たる節があった。




数日前、わたしはYouTubeでカマキリの成長動画をみていたのだ。

いつもカマキリの動画を見ているのかというと、全くそうではない。なぜならわたしは虫が苦手である。

カマキリだけでなく、虫のYouTubeは一切みたことがなかった。それどころか、みる発想さえなかったし、そういった動画の存在さえ知らなかった。

だけどその日は、なぜかカマキリの成長動画を真剣にみていた。きっかけはまったく思い出せない。

そしてその日以降はカマキリの動画は一切観ていない。


どうして、どうして。。




もしかして、

もうそのときからすでに、
なにかが始まっていたのかも。しれない。

そんなことを思い出していた、
もわっと暖かい風が吹く、8月の夏の日。





ペンとメモを用意していても使わない。か。。
カマキリは。。



「チッチッチ…チッチッチ」



おしまい。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?