部外者の立場から(雑記)

【注意】政治に関する話です。
*まだまだ勉強中の身であるのと、あくまで人から聞いた話と個人的な考えを記録として残しているだけなので、全てが正しいわけではありません。
*人名の表記については直接表記したくなかったので本文の通りになりました。超適当です。
*台湾の政治について討論する目的で記載したものではありません。
*伝聞調の部分が多いです。
*以上のことをご確認の上お読みいただけますと幸いです。


 私が初めて台湾の地を踏んだのは、2014年、3月21日のことである。
 当時私の興味は比較的外側に向いており、一ヶ月に一度旅行に行くと目標を立ててあちこち出かけたり、なるべくいろいろな集まりに参加して友達の輪を広げようと試みたり、二胡を習い始めてみたりと、とにかく、興味を持ったことに対して、片っ端から手を付けていた。台湾に旅行したのも、そんな「試み」のうちの一つであったように思う。確か、その当時出逢って三ヶ月ほど、顔を合わせた回数は片手の数にも満たなかった友達との「私、台湾行きたいんだよね」「あ、私も興味ある」と言う他愛もない会話から、一ヶ月後くらいに台湾に旅行に行くことが決まったのだ。その友人は今ではもう結婚し、一児の母となっている。全く、時が経つのが早くて恐ろしい。

 初の台湾旅行は3泊4日の行程で、まぁ延べ3日ぐらいネットが繋がらなくてもいいや、と思って、海外用のシムカードなどは利用しなかった。と言うか、その当時まだiphone5を大手キャリアとの契約で使ってたので、海外用のSIMカードを差し込んだりするためには色々と制約があって面倒臭かった。と言うわけで通信に関しては、その三日間はホテルなどで提供しているWi-Fiを使用し、ちょこっとSNSを見る程度だった。せっかくの台湾旅行で日本国内のことなど気にしたくなかったこともあり、ニュースなどは全く見ていなかった。ホステルの談話スペースでその場に居合わせた人たちと甘ったるい台湾ビールを飲みながら、談話スペースに置かれているテレビのニュースがわぁわぁと何か言っているのを、ただ人事のように聞いていた。それが一体何を報道しているかなんて、全然分かっていなかった。帰国してからやっと事件の発生とその詳細を知り、大変に驚いたものだった(多分今同じことが起こったら、野次馬しに行ってしまうかも知れない)。

 台湾人の世間話では、給料と政治の話はタブーだと言われている。青か緑かと言ったことで喧嘩にまで発展することがあるからだそうだ。では、台湾人は誰しもが政治に深い関心を寄せているかと言うと、そこは多分、人それぞれなのではないかと私は勝手に思っている。私の狭い知見と交友関係をして、台湾人はこういうものだと断定的に語ることはできない。これが日本の話だったら、日本は選挙の投票率が低く、政治に興味のない人が多い、なんて、ついつい日本を代表するかのような口振りで語ってしまうのだが。

 なのでこれはあくまで、部外者と言う立場で友人に聞いた話に過ぎないのだが、台湾の比較的年齢の若い層の方々も、以前は政治に対してある種の達観というか、諦めの念を抱いていたという。それで、特に自分の戸籍のあるところから離れて仕事をしている方々などは、時間もお金ももったいないし、また自分の意見が政治に反映されることはないだろうからと言った理由で、投票に行かない人が一定数いたそうだ。それが今では、あくまで私の交友関係の範囲内の話ではあるが、「投票のためにアメリカから帰国する」なんていう話も聞かれるようになった。どうしてそのような変化が見られるようになったのかというと、その契機となったのが例の、2014年3月の事件なのだという。

 当時、国のトップであった青のおうまさんが台中間でサービス業の分野において市場の解放を目指したのだが、それに対し学生と市民らが抗議活動を起こし、台湾の立法院(日本の国会議事堂に相当)を占拠した。私に話をしてくれた友人曰く、この事件以降、このままでは台湾は中国に売り渡されてしまうのではないかという懸念が深まったことから、危機感を覚えた若い年齢層の人々が、必ず選挙に赴くようになったのだそうだ。ちなみに、台湾の歴代総統は全14代、7名のうち、緑の総統は霧島さんを除けばおうまさんの前のあへんさん(通称です。悪意はないです)のみである。つまり長らく青の政権が続いていたわけであるが、これは台湾の団塊の世代に相当する年代の方々が、戦後青の党の教育を受けてきたことが関係しているのではないかと考えらえる。ちなみに、台湾の人口ピラミッドは日本と同じ形をしていて、よって台湾が抱える社会問題は日本と共通する部分がある。日本は1970年に高齢化社会、1994年に高齢社会、そして2007年に超高齢社会をそれぞれ迎えているが、同じような日本と似たタイプの人口比率である台湾も、2018年に高齢者率が14%を超え、高齢社会を迎えた。そして、高齢者の数が多いということはすなわち、青の党の教育を受けてきた人が多いということと概ねイコールであると言えるのではないか。

 もちろん、青の教育を受けてきたから青の支持者になるとは必ずしも言えないし、その他にも、青のおさかなさんが魅力ある演説を行ったりだとか、諸々の理由はあるだろう。ただ、これに関しては一つの大きな傾向が見られるのも確かである。
 台湾の選挙運動には「造勢活動」「造勢晚會」などという、大変日本語に翻訳しづらい単語がある。日本語で該当する活動がないので「決起集会」「選挙キャンペーン」などと説明する他ないのだが、政治家がそれぞれ会場を造設し、そこでまるでアイドルのコンサートか何かのようなことを行うのだ(※街頭演説ではない)。選挙の前日にもこの集会があったのだが、友人曰く、おさかなさんの集会には昼間から人が集まっていたのだが、霧島さんの集会には、夜の7時を過ぎてからやっと人が集まり始めたという。参加の時間になぜこのような開きがあるのかというと、答えは簡単、霧島さんの集会に参加していた人は、定時まで働いてから集会に参加したのに対し、お魚さんの集会に参加した人はすでに定年を迎えた人が多く、昼間仕事をしていないことから、早く参加できたからである。つまり、両者を指示する年齢層が異なるためだ。

 私が台湾に移住した時には、台湾のトップはすでに緑の霧島さんだった。おうまさんの時代にどのような変化があったかについては、私は体感していないのでなんとも言えないが、この4年間でビニール袋やプラスチックのストローを使わなくなったり、同性婚が認められたり、大なり小なり色々なことがあったように思う。友人はそれを「台湾の未来のためにやったこと」だと言っていた。未来のためとはつまり、今現役で働いている若い年齢層の人々や、その更に下の子供達のためである(そして、それらの政策は高年齢層の人々にはあまり関係がないため、すでに退職した人々は霧島さんの若い年齢層向けの政策には興味がなく、結果おさかなさんを選ぶのだとちょっと毒を吐いていた)。

 今のところ、おさかなさんが総統になったところを見たことがないので、もちろん、彼の政策が悪いと言うことはできない。もしかしたら凄腕の総統かも知れない。おさかなさんのマニフェストについては、私はまだまだ研究不足である。おさかなさんごめんなさい。

 ちなみに、選挙前日の集会が終わったあとや、選挙当日の各投票所には警察官が配置され、もしも他人に対して「誰某に投票する」などと言っている人がいたら、その人を捕まえるのだそうだ。選挙に公平を期すためである。
 ひょっとしたらこうした文章も書くのも良くないの知れない、とちょっとビクビクしているところがあるので(選挙ももう終わったことだし、大丈夫だとは思うけど)、これだけごちゃごちゃと書いておいて今更明記しないもクソもないが、この場では私は誰を支持するとは名言しないことにする。そして私はあくまで、台湾にとっては部外者の、まだまだ研究不足のところがある一日本人に過ぎないということをここでもう一度主張しておく。
 ただ、霧島さんが時々作成する動画とか結構好きなので、是非とも引き続きああ言った面白い動画を作成してください、応援しています、とだけ、ここに記載しておくことにする。

台湾在住者による台湾についての雑記と、各ウェブサイトに寄稿した台湾に関する記事を扱っています。雑記については台北のカフェが多くなる予定。 そのうち台北のカフェマップでも作りたいと思っています。