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【後編】『火の鳥』と女性の強さ

 ※この記事は後半です。前編はこちらからご覧ください※

太宰治を偲ぶ日である《山梨桜桃忌》に参加することができない髙瀨小嶋
桜桃忌で取り上げる『火の鳥』について「女の強さ」に焦点をあてて語っていく
フリートーク後半です。

この記事を書いた人
髙瀨 「女性だからある強さってなんだろうってずっと考えてました。」
小嶋 「太宰さんの好きな女性のタイプについて話したのが楽しかった。」

▼2023年の山梨桜桃忌の告知動画です。ぜひご覧ください!▼




太宰の描く芯が強い女

髙瀨
女の強さってなんぞ?って思ってネットで調べたら、「芯が強い人」っていうのが出てきたの。さちよめっちゃ芯強くない?

小嶋
めっちゃ図太い。
バーで会ったばっかの人と心中しようと思わないかもじゃん。
ビビビときたら猪突猛進!

高瀬
太宰が書く女の人はみんな芯が強いよね。

小嶋
そういう人が好きなのかもね…

髙瀨
「女が肉体だけのものなんて」ってことは表面だけだからさ、芯も何もないわけじゃん?さちよ的には芯の方を見てくれる人が良いみたいに思ってるんじゃない?
さちよの思う「女の像」みたいなのをみてくれる人みたいな。男をかばう強さとか、女の深いよろこびとか。

小嶋
うんうん。確かにね。

髙瀨
さちよ的には周りの男の人たちは肉体だけ見てる人たちって思ってそう。
「なんでもする」って言ったら、喜んでくれそう、そういう人たちは。
男をかばうし、立てるしだから、男の人的には嬉しいのかな

小嶋
さちよが男を見下したいのか立てたいのかわからない時があるよね。
そこがリアルだと思う。女の人って基本ずるいからさ、弱さを見せて男を操るのもできるじゃん。さちよも数枝もやってるんだろうし。それってこういう感情じゃない?男を下に見てるけど、男の典型的な考え方を利用して下手に出るみたいな。

髙瀨
そうね。けど、本気で一緒にいたいと思う人にはめっちゃ下に出てるよね。役に立ちたいってそう言うことなのかなって。乙やんに対してそうだったし。その役に立ちたいって覚悟が強いところになるんじゃないかな。


もしも話が続くなら?

小嶋
私思ったんだけど、過去がぼやけてる人が多いなって。どういう人生を歩んできたかがわかる人が少なすぎる。
から、私が太宰さんに言うんなら、他の人の過去を詳しく書いてほしいのはあるな。さちよほど説明っぽくなくていいけど。

髙瀨
会話文の中にちょっとだけ、とかね。

小嶋
そうそう。そしたらキャラ掴めるかなって。わざとそうしてるかもしれないけど。ぜひ書いていただきたい(笑)人間って過去からの構築じゃない?どういう経験を積んできたかで変わってくるからさ。

髙瀨
そうやねぇ。
私は、ふたりともウイスキー飲んでるから、ベロベロになってると思う。そういう描写でてきそうだなって。

小嶋
酔いの勢いでみたいなね。で、冷静になるみたいな(笑)。
あと考えたのは、数枝が語りになるパターンと、高須が乙やんになりすぎて自殺するパターン。

髙瀨
あー、私も自殺するんじゃないかって言うのはちょっと考えたな。

小嶋
高須くんはちょっと死んじゃいそうだよね。

髙瀨
最終的にさちよどうなると思いますか? 結婚すると思う?

小嶋
しない。乙やん以上に好きになる人いないと思うよ。

髙瀨
だよね。私も思う。さちよ強いから。

小嶋
さちよが一番好きだったのは乙やん。

髙瀨
うんうん。さちよは一生独身だろうね。女の一番の喜びを語りつつ。

小嶋
自分だったらどうする?書いてる側だったら。書いてる身としてどう?

髙瀨
さちよは幸せにはなりきれないだろうなって。多分乙やんのことがあったからこんなこと言ってるんだろうし。逆に幸福になってズブズブ落ちていくのもありかもしれないけど。

小嶋
このままっぽそうだけどね。

髙瀨
芯がある人
だからね。
私たちが続き考えるなら、乙やんになりすぎた高須が自殺して、さちよは生涯独身を貫くって感じになりそうだね。

ふたりの結末予想まとめ
高須は酒の勢いだけではさちよのことを殺すことができず、やがて乙彦の影をなぞるようにして自殺。さちよは魅力も生き方も変わらずにひとり生きていく。

小嶋「さちよ以外の過去も描写されると嬉しいですね」
高瀬「数枝はさちよのことを常にフォローしていくのかなって思います」

女の一ばん深いよろこび

髙瀨
「人の本当の強さとは」から派生した「女の強さ、女性像」について語ってきたね。

小嶋
芯の強さもあるけど、上手く男を利用できるかっていうのもあるんじゃない?
さちよは「役に立ちたい」っていう自分の気持ちを満たすための道具として男を使ってるみたいな。

髙瀨
乙やんとの最後の会話と「お役に立ちたいの。」のところ比較しても、そんな感じする気がする。幸福にふとってるだけじゃなくて、なんでもする、役に立つっていうのが、女の一ばん深いよろこびになるんじゃない?尽くすことの中に「男をかばう強さ」があるみたいな。

小嶋
受動的ではなく、能動的みたいなね。

髙瀨
芯を強くすることが、男をかばうことであり、役に立つことであり、それが幸福でありってことじゃない?それがさちよを見た時の女性像、女の強さに当たるんじゃないでしょうか?

小嶋
うんうんうん。
あとは、結婚したい人と付き合いたい人は違うっていうのも、自分の感情を満たすための行動だからね。

髙瀨
なんか上手くまとまってくれたね(笑)難しかった。

小嶋
ねー。でもすっきりした!


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