「捨て身志望は、絶望した人間」

黒田如水が

「戦国の世には、無理に討死した家臣を数えあげ、これを忠誠のあらわれと思い、ひとり満足している大名があるが、これなども笑うべき愚人だ。無理に討死する者は、主君にたいして絶望の感をいだいている者だ。だから。世にながらえて益なし、しかし脱奔すれば、親類・縁者にめいわくがかかる。いっそ主君と刺し違えて死のうかと思うが、逆賊の汚名は免れないし、妻子一類にも危害がおよぶ。そこで戦にかこつけて、体のいい自殺を行うのだ。つまり、この心得の者は、いつでも主君を一刀のもとに討ち果たし、腹をかき切って死にたいと思っている者なので、さてもさても、恐ろしい敵を養っているのと同じことなのだ」


といっている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?