完全子法人株式等に係る配当等の課税の特例対象となった際の納付書(徴収高計算書)および支払調書の対応について

概要

令和4年度の税制改正により、令和5年(2023年)10月1日施行にて所得税法301条などの改正がされ、同日以降に支払われる完全子法人株式等に係る配当等については源泉徴収を要しないこととなりました。

国税庁:源泉所得税の改正のあらまし「3」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0022004-066.pdf#page=2

結論

100%関係の親会社のみであれば納付書も調書も提出がいらないことになりそうですが、他にも株主がいる場合は下記の点に留意することになります。

納付書の記載

配当等を行う際は一般的に非上場会社であれば20.42%の源泉徴収を行い、納付書を作成し支払月の翌月10日までに国へ納付する必要があるのですが、今回の改正によりそもそも源泉徴収を要しなくなった場合での対応があまり見当たりません。

その他でも確認ができなかったため、今回は電話相談センターに確認を取った内容のまとめにしかすぎないのですが、実務上生じうるものとして整理がてらまとめます。

  1. 配当の支払が100%親会社にのみである場合。
    この場合は、そもそも納付書の作成・提出が不要であるとのことです。
    似たものとして給与支払いあり・源泉徴収がゼロのときは支払額を記載して税額をゼロとして提出しますが、この様な対応も不要であるとの回答でした。

  2. 配当の支払が他にもあり、源泉徴収を行っているものと行ってないものが混在する場合。
    ただし、この場合には源泉徴収を行わない分も記載してくれとの回答でした。
    そのため、完全子法人株式等に係る配当等については「非課税適用分及び上場株式等の配当等の支払の取扱者への支払分」へ記載し税額を表記せず、その他の配当は通常どおり記載する形になります。(記載要領を見る限りでは今回の規定を意識した記載区分ではないと思うのですが、実務的な対応方針と思われます)

支払調書の記載

支払調書・合計表については元々記載しなくて良いとのこと。
そのため2023年において中間配当などにより10月前と10月以降と2回の支払が生じているときは、片方の調書には記載され、片方の調書には記載されないこととなります。
配当の対象の株式数をどうするかというのも悩ましいですが、全体的に整備が行き渡っていない実務的な落とし所になってしまっているものと思います。

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