時代に選ばれた人

「映像の世紀 バタフライエフェクト」というテレビ番組で田中角栄について紹介されているのを見た。
余談ですが、この番組のテーマソング?の「パリは燃えているか」という曲、めちゃくちゃかっこよくないですか。ちょっと怖い感じがする、という意見も聞いたことがあるが、個人的にはかっこよくて好きだ。

田中角栄。名前は聞いたこともあるし、学校の授業でも習ったがほとんど覚えていなかった。学校の現代史ってなんであんなにさらっと流しちゃうのだろうか。学期末や学年末にやることが多いからって駆け足で流してしまうのはどうかな、と思ってしまう。現代史は直接今の私たちの世界がどのように出来たか関係しているのだから私自身ももっと勉強しなくては、と思った。

当時、戦後最年少で大臣、そして首相に就任した。首相在職通算日数は886日に過ぎないけれど、やっていることが多すぎて驚いた。

まずは道路の建設。出身の新潟と東京を道路でつないだ。最初は東京と新潟の間にある山を開拓するつもりだったらしい。山の土は日本海に捨てて佐渡島と本州を陸続きにすればいい、と言ったこともあるとか。当時はどうだかわからないけれど、現在の科学で考えればそんなことすればその山周辺の気候が大きく変わることになりそうだ。それほど道路の建設に力を入れた。都心と地方を結んで都心の経済力を地方にまで回そうとした。このような考え方がのちの日本列島改造論につながっていくのだろう。こうして日本の戦後開発を推し進め、多くの人の生活を豊かにしたからこれほどの人気があるのだろう。

またテレビの普及も田中角栄によるところが大きいらしい。テレビ局の数を増大させ、ラジオに代わるメディアを確立した。やはりメディアの力というのは本当に強いものだと思う。現代に生きている人からすればSNSが発達しているのでテレビも新聞も昔ほどの力を持ってはいないが当時は相当強いものだろう。みんなが同じもの、情報を見るのだ。そうなればみんな同じ考え方をするだろうし、大衆のコントロールも容易いことだったろう。よく、昔ほど音楽、CDが売れないという話はかなり聞くが、メディアが限定されていたことも大きな原因だと思う。昔のアイドルはすごかったとか、ロックはすごかったとか、数字の観点から言うこともあるけれど、じゃあ今の音楽が昔の音楽に比べて数字の実績がないから駄目になったのかというとそんなこともないと思う。昔はメディアが限定されていたため、みんなの熱量の向かう先も限定されていたから、そうなっただけな気がする。今は自分で好きなっものはネットで自分で探せるから、それぞれの個人の好きが細分化されただけに思われるのだ。そう考えると今の一人一人がそれぞれの「好き」を持っているのは幸せなことだとも思う。

話がそれたが、田中角栄という人物はもちろんこれ以外にもたくさんことをやっている。例えば原発の開発を促進した、とか。このように手放しで喜べることだけをやっているわけではない。
しかし、番組の最後に田中角栄は戦後復興のシンボルだったのかもしれない、という文言には確かに納得させられた。時代に選ばれた人というのは、こういうことなんだと改めて思った。

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