見出し画像

イングリッシュ·ドレープについて僕が知っている2,3の事柄 その3

写真はフレデリック·ショルテによるウィンザー公爵のモーニング。
トラウザーズはブレイシーズ(サスペンダー)対応のいわゆる英国式なトラウザーズが公爵はお嫌いで、ベルト対応のものをFoster's and Sonで別に仕立てたそうです。
ジャケットの胸の脇にはいわゆるドレープがわかりやすく見受けられます。
左右でボリュームが違うのは胸筋の発達具合の差かもしれません。
それにしてもドレープを探る旅は、その行き先をドレープの父フレデリック・ショルテ個人へと暫し寄り道というか本道へとフォーカスせねばならないようです。
上皇御用達大先生であられる服部先生に、「君は一体何がやりたいのかね?」と問われて「今までにない衣服が作りたいです。」と答えたら「近年紳士服を改革したのはアルマーニしかいないんだ!」と怒鳴られました。
そのお答えには含蓄があり、改革とは硬いものより柔らかいもの、重い物から軽さへしか起こらないことを、直感的に示唆する教えです。
またウィンザー公のトラウザーズの好みもそのようなベクトルを暗示しています。
そのような不可逆的な進化のドミノの一駒目を押した人こそこのショルテ氏であり、彼なくして、アンダーソンシェパードもアルマーニもヨウジさんも存在しなかったのでは?と思います。
ジョン·ヒッチコックは「上は柔らかく(バイアス)て下ストレートと芯を切り替えるわけにもいかない」とおっしゃいますが、このモーニングも芯が上下で切り替えられてるようですし、そこは色々研究したいポイントです。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?