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【CRAの勉強日記(3)】がんの病期分類

こんにちは。
冒頭の挨拶、何かわかりやすいテンプレート作りたいなと思うのですが、どんなのがいいですかね?
明日以降考えてみます、たいしです。

引き続き、がんの勉強をして参ります。
前回記事はこちら。

シリーズの前提として、がん治療は多岐に渡っており、中には科学的におかしな民間療法等も蔓延っているからこそ、
医療に携わっていない方々ほど、きちんとした知識を学んでいただきたい
と思って作成しています。

専門の方や患者様はもちろん、まだがんを身近に感じたことのない方も、ぜひお目通しいただければと思います。

◆前提

ヒトの身体は約60兆個の細胞で構成されています。
細胞にはおよそ200種類があり、それら全ての細胞が”がん化”の可能性があります。
つまり、がんには”200”種類があるとも言え、さらには同じ種類の細胞であっても、異なる性格を帯びるがんとなることが殆どなのです。

→がん患者様が100人いらっしゃれば、100人が異なる病態を示します。

◆病期分類が必要な理由

【病期とは】
病期とは、がんの進行の程度を知るための指標です。
大きく分けて、Ⅰ〜Ⅳ期の4段階に分類されます。

【病期分類が必要な理由】
科学的に検討・検証するためには、病理診断(組織型/分化度)病期分類(腫瘍の広がり)、その他の患者様背景から判断します。

UICC(国際対がん連合)の本文中では、病期分類の理由について以下のように記載されています。

①臨床医の治療計画を助ける
→ⅠA期からⅢA期までは手術、ⅢA期からⅢB期は放射線化学療法、ⅢB期からⅣ期は化学療法が主に使用されます。
②予後をある程度予測する
③治療効果の評価を補助する
→例えば、原発性肝細胞がんの5年生存率は、Ⅰ期では60.2%であるが、Ⅲ期では27.3%と大幅に差があります。
④治療施設間の情報交換を促進する
→複数の施設に跨って治療される場合、伝達可能な共通言語として使用されます。
⑤がん研究の継続に寄与する
→50年以上続いている共通言語であるため、病期分類によって今後のがん治療のエビデンスとすることができます。

◆UICC TNM分類

【病期分類の種類】
病期分類には、UICC TNM分類、取扱い規約、進展度分類、FIGO分類、Dukes分類と様々な種類が存在する。
その中でも主に用いられるのが、UICC TNM分類である。

【TNM分類とは?】
TNM分類とは、下記3つの評価によって病期が決定される、がんの進展度の分類・記載方法で、世界共通のルールです。

T:Tumor 腫瘍
がんの大きさによって分類します。
N:Node リンパ節転移
リンパ節転移の有無によって分類します。
M:Metastasis 遠隔転移
遠隔転移の有無によって分類します。

【T分類】
Tx:原発巣の評価不可能
T0:原発腫瘍なし
Tis:上皮内癌
T1:粘膜下層まで至る腫瘍
T2:固有筋層まで至る腫瘍
T3:最下層(漿膜、外膜)まで至っている腫瘍
T4:隣接臓器に直接浸潤している腫瘍

○管腔臓器の場合:臓器の壁への浸潤の深さにより判断する。
ex:食道、胃、小腸、大腸、胆嚢、膀胱、子宮体部、陰茎 etc...

○実質臓器の場合:腫瘍の大きさにより判断する場合と、腫瘍部位とその広がりにより判断する場合があります。
ex:甲状腺、肝臓、肉腫、乳腺、腎臓、肺、膵臓、卵巣、前立腺 etc...

【N分類】
Nx:所属リンパ節転移の評価不可能
N0:所属リンパ節転移なし
N1〜4:所属リンパ節転移あり(大きさ、数、転移リンパ節部位、側性などを考慮)

※所属リンパ節:原発巣と直結したリンパ路を持つリンパ節集団。
身体の各部位には所属リンパ節が存在し、癌の所属リンパ節転移は病変の進行を示す。
所属リンパ節転移の有無は患者治療における重要な情報であり、多くの場合、患者予後と相関する。

所属リンパ節転移の有無で分類:食道、小腸、肝臓、膵臓、皮膚など
リンパ節転移数と大きさで分類:結腸、直腸、前立腺、精巣、腎臓など
リンパ節転移の側性(同側、反対側)大きさで分類:咽頭、唾液腺、乳腺、甲状腺、膣など
特定のリンパ節転移で分類:胃、肺、肛門菅、胆嚢、壁側腹膜
○リンパ節転移を考慮しない(N分類なし):脳、悪性リンパ節

【M分類】
Mx:遠隔転移の評価が不可能
M0:遠隔転移なし
M1:遠隔転移あり

【その他の病期分類情報】
○G 病理組織学的悪性度:骨、軟部組織、前立腺
○S 血液腫瘍マーカー:精巣
○年齢/病理組織型分類:甲状腺
○リスク分類:妊娠絨毛性腫瘍

◆TNM分類 6つの原則

①組織学的確証
全ての症例は組織学的(顕微鏡的)な確証がされなければならない。

②2通りの分類
a.臨床分類(治療前臨床分類):cTNM。治療前に得られた情報に基づく。画像診断など。
→治療方針の決定を宣言する。
b.病理学的分類(術後病理組織学的分類):pTNM。治療前に得られた情報に基礎を置くが、手術や病理組織学的検索で得られた知見により補足修正される。
→がん進展度の確定(掌握)を宣言する。

③病期分類の決定
・T、N、M或いはpT、pN、pM分類が決定されると、それらに基づき病期に分けることができる。
→Stage Ⅰ〜Ⅳが決定する。
・TNM分類及び病期分類は一旦決定されると変更することなく、病歴記録に記録しなければならない。

④迷ったら低い分類を選択する
T、N、或いはMの判定に際し、どの分類に入れるのが正確か疑わしい時は、進展度の低い方に入れる。

⑤多発癌の場合は最も進展度の高い病巣を選択
1つの臓器に同時多発性癌がある症例は、最も進展度の高い病巣のT分類を選択する。

⑥病期分類には亜分類がある
・TNM分類及び病期分離は、基本的な定義づけを変えない限り、臨床学的または検索目的により簡便化、細分類、拡大解釈することができる。
・例えばT、N、Mの各分類のいずれも亜分類することができる。


いかがでしたでしょうか。
Onco触れるの久しぶりすぎて、私もTNM分類の復習になりました。

定期的にがんのシリーズも載せていくので、気が向いた際にご覧になってください。
では、またお越しくださいませ。

サポートいただけますととても嬉しいです!!いつもありがとうございます。