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小さいNPOが大きいNPOの戦略を真似してはいけないと思う

こんにちは。くりのです。

足立区で小さく非営利活動をしています。

以前、けんすうさんが「普通の人が王者の戦略を真似しちゃいけないと思う」というタイトルで投稿されていて、これはまさにNPO業界にも当てはまることだ!と思い、この記事を書いています。

詳しくはけんすうさんの記事を読んでいただければと思いますが、僕がお伝えしたいことを抜き出すと、

・リソースを「持っている」人は、王道の戦略がとれる。

・「持たざる」者は、持っていないことを武器にする。

つまり、「持っている人と、持っていない人では戦略は違うから、お互い参考にしないほうがいい」

ということです。

例えば・・

ファンドレイジング。資金集めはどのNPOも課題を抱えていると思います。

最近だと、ふるさと納税を使ったスキームや、休眠預金を活用する流れがありますが、中小NPOもそこを目指してしまうと時間を無駄にしてしまうと思います。

ふるさと納税は通常、応援したい自治体に寄附をすると、寄付金のうち2000円を超える部分について所得税の還付や住民税の控除が受けられる制度です。

その制度を使って、最近では「こども宅食」への寄附を受け付けているのを良く見かけるようになりました。

しかし、

・認定NPO法人フローレンス
・一般社団法人RCF
・NPO法人キッズドア
・認定NPO法人日本ファンドレイジング協会

のようなNPO業界ですごい影響力をもつ団体がコンソーシアムを組んで運営しているものです。

僕たちのような小さいNPOがいきなりそこを目指してしまうと、スキームを作り終える前に体力を使いきってしまうと思います。

さらに、ふるさと納税は認知をしてもらうことが大事なので、返礼品競争の過熱が問題視されています。

「こども宅食」の場合は、返礼品は用意していないですが、NPO業界で影響力と広報力をもつ団体が集まっているからこそ成り立つスキームで、例え小さいNPOがふるさと納税制度を活用できたとしても、お金を集めるのは難しいと思います。

次に、休眠預金等の活用についてです。

2009年1月1日以降の取引から10年以上、その後の取引のない預金が休眠預金と呼ばれています。

それを社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する法律ができました。

指定活用団体であるJANPIA(一般財団法人 日本民間公益活動連携機構)が資金分配団体を公募し、資金分配団体がどの民間公益活動に対して助成を行うかを決定、そして、その助成を受け民間公益活動を行う実行団体に最終的に資金が流れます。

この休眠預金等の活用も、現時点では小さいNPOにとってはかなりハードルが高いものになると思います。

それは休眠預金等の活用で期待されている効果として次の2つが挙げられているからです。

・社会の諸課題の解決のための自律的かつ持続的な仕組みが構築
・民間公益活動を行う団体の資金的自立性と事業の持続可能性を確保

つまり、自律的かつ持続可能になる見込みがあると判断される事業でないと助成を受けられる可能性は低いです。

僕自身、ETIC.さんの子どもの未来のための協働促進助成事業に足立区で活動する複数の団体さんとコンソーシアムを組んで応募しましたが、残念ながら採択されませんでした。

採択されている顔ぶれを見ると、やはり休眠預金以外の財源が確保できている自律的かつ持続可能な事業を運営できる有名な団体さんばかり。。。

さらに、休眠預金は国民の資産という特性上、次の2点が重視されています。

・国民、ステークホルダー(多様な関係者)への事業の透明性や説明責任
・事業の成果の可視化⇒社会インパクト評価の実施

小さいNPOの中で、事業の透明性の担保や説明責任を果たすために、社会的インパクト評価を実施するリソースに余裕がある団体は少ないと思います。

【2024.1.19追記】僕らが運営する一般社団法人チョイふるも、3年目でようやく休眠預金事業に採択いただきました。

じゃあ、小さいNPOの戦略は?

ずばり、「小さいNPO同士で組む」です。

上で宣伝させてもらった子ども支援コミュニティも、弱者の戦略です。

他のNPOさんに僕ができることを提供しつつ、横のつながりを作っていく。

共通の課題を解決するために、お互いに活動を強化し合う関係を築き、ボランティアさんや物品などのリソースもシェアするという時代なのかなと思います。

また、最近はコレクティブ・インパクトの流れに対応して、休眠預金等の活用のように複数の団体でチームを組んで申請できる助成金も出てきているので、資金の獲得という側面でも小さいNPOほど組むべきです。

というわけで、僕たちも頑張っていきたいと思います!

いただいたサポートは、子どもの貧困対策の活動に使わせていただきます。