自慢の引き出し一段目

自慢の引き出しがそれぞれあると思う。
「俺んち、築2年の2LDK。子猫も最近飼いはじめたんだ。」
「ユニクロのXSってブカブカなのよね、スタイルが良くて困っちゃう」

人に優秀だと思われたかったり自分のプライドを守るためのお守りだと思う。
どれも羨ましくてたまらない。

自分にもお守りはいくつかあるが「あ、それなら〇〇のほうがすごいよ」が怖くてなかなか出せずにいる

唯一その恐れがなく、かつ聞いていて多分
不快にならないとっておきの自慢をもっている。

舌が割れている。舌先が割れている。
舌の中央が縦に窪んでいると思うが、その線の端である舌先が少し割れている。
舌先がヘビの舌のようにちょっとハートっぽくなっているのだ

調べてみるとこれはなかなかいないらしい。
乳幼児で1〜3%らしい
私より可愛くて絵がうまくてスタイル抜群でコミュニケーション能力に長けた峰不二子がいる確率よりも遥かに低いと思う。

どうだ。コミュ障だから人前で口を開けることはほぼないが、この閉じた唇の中には割れた舌が収納されているぞ。

あなた達は自分よりも頭も容姿も段取りもいいかもしれないが舌は割れてないだろう
割れてるんだな、自分は。舌先が!

虚勢を張ったが別に舌が割れていることの恩恵はない。
むしろ生活に支障があるならば手術したほうがいいとさえ案内されている。


実力や努力でどうにもならない部分が、デメリットにもメリットにも影響せず人と違う。そのどうでもよさが心地いい。
人に話すとちょっと驚かれる。もはや自慢でもなんでもないかもしれない。

鏡の前でたまに割れた舌先を確認する。ちょっとだけ安心した。

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