通り過ぎたおじさんの背中には警備会社らしきロゴが、こじんまりとしたブロック体で書かれていた。全身を覆う白けたオレンジ色の上にふわふわと漂う白髪が綺麗だった。少し銀色が混じって、なぜかふと、彼は生きているんだな、と思った。無機質な橙が、彼を単調地下空間に、とじこめているようだった。

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