第28節の振り返り vs茨城

仙台の歴史に新たな1ページを刻んだ茨城戦を振り返っていきます。

最悪の立ち上がりからの修正

 試合開始早々に茨城の0-10のランを喰らいタイムアウト。この間仙台のOFはドライブがほぼなく、ボールがフリースローラインより下に落ちずに、アウトサイドショットで終わる淡泊な攻めが続き、茨城に楽に守らせてしまいました。DFの強度も低く、タイムアウトで修正を図ります。ここでラーを投入し、ドライブからのアタックを増やしに行きますが、P&Rで若干引いて守られて、ミドルを打たされます。ラーはエルボーからのプルアップジャンパーを結構打つイメージですが、そのエリアのショット成功率は21%程度であまり決まっていません。DFでは、ボールマンへのブリッツからスティール、そして速攻が決まり、早速ラー投入の効果が出ます。
 余談ですが、ラーは昨シーズンから平均得点が2点落ちていますが、今シーズンのほうがOFで本来の持ち味を活かせているように見えます。今シーズンは阿部が加入し、メインハンドラーとなったことで、ラーが完全にDFと正対した状態からの1on1が昨シーズンより減った気がします。ラーの強みはハンドリングやスピードではなく、長い腕と身体能力を活かしたアスレチックかつ強引なペイント内でのフィニッシュです。OFの起点が阿部になり、DFとラーにずれを作ってから1on1を仕掛けられるようになり、よりラーの良さを活かせています。(上記の理由で、自分はラーの1on1は少なければ少ないほどいいと考えており、苦しい時間ほどラーの1on1に頼りがちになるのは仙台の悪癖だと思っています。)
 試合の振り返りに戻りますが、仙台のDFの強度ガ高くなったことで今度は茨城のドライブが減り、ボールが止まる時間が増え始めます。一方仙台のOFはボール運びを速くして、茨城のDFの形が整う前に攻めきります。茨城も#32メイ#11タプスコットのタフショットでつなぎますが、メイが3ファール目でベンチに下がり、ここで仙台が逆転します。しかし、#29鶴巻#25平尾に3Pを許し4点ビハインドで後半へ。

仙台の伸びしろ

 スターターからヤン→渡辺に交代して始まった後半。SFとして起用されているのがSGが本職の#29鶴巻(190cm)だったため、阿部にマッチアップされても問題ないと判断し、さらなるペースアップを狙っての交代だと思います。茨城もこれを見てタイムアウトで#17山口(195cm)を投入し阿部のマークマンに。するとすかさず藤田HCもヤンを投入(ローテーションの関係で2Gを長時間使えないのも関係するとは思いますが)。しかし、SFのヤンがOF面でイマイチ相手の脅威になれず、阿部には依然として山口がつきます。ここが仙台の伸びしろで、阿部が相手のSFにマッチアップされて仙台のSFに相手のSGがマッチアップしてミスマッチを作っても、それを活かせる選手がいません。ヤンはハンドリングがあまり得意ではないですし、渡部はまだフィジカルが発展途上なので、ミスマッチでも押し切れないことが多いです。来シーズンこのシチュエーションでミスマッチをゴリゴリに攻められるSFがチームに現れれば、もっとハーフコートOFが良くなっていくと思います。3Q終盤の連続得点で5点リードで最終Qへ。O順調に得点し、DFも決して悪くないのですが、2Pの多い仙台と3Pの多い茨城の差で点差を広げられません。ですが次第に#32メイの個人技が増えていた中でメイのシュートが落ち始めます。苦しい時間にラーに渡して周りの足が止まる昨年の仙台を見ているようでした。オフィシャルタイムアウト明けに青木がチームとして久しぶりの3Pを決めます。宇都宮戦から青木の調子が良さそうなのでこのままキープして欲しいです。

なぜ阿部はペイント内で得点を量産できるのか

阿部の十八番ミドルレンジジャンパーでようやく9点差にして茨城がタイムアウト。島根時代の阿部に対する僕の印象は「なんかやたらタフショットが入るDFが売りのSG」でした。今思うと「なんかやたらタフショットがうまい」の部分にに阿部の今シーズンの飛躍のカギがありました。以前の記事で書いたとおり、阿部はB1の日本人選手の中で2番目にペイント内のショットを成功させている選手です。これだけペイント内で得点できるのは、阿部のフィジカルの強さと空中で姿勢をキープすることのうまさに起因すると考えています。まずフィジカルですが、阿部はP&Rからのジェイル(DFを背中で止める動き)を多用します。ここで後ろからくるDFをしっかり抑えられるフィジカルがあることで、パスの出し処、フィニッシュパターンを判断する余裕が生まれます。次に空中姿勢についてですが、阿部はP&Rから①ミドルレンジのプルアップジャンパー②ジェイルしてゴールまで近づいてDFをよけるようにサイドステップで流れながらのジャンパー③レイアップのいずれかでフィニッシュすることがほとんどです。フローターはあまり打ちません(阿部はシュートのアーチが低いのでフローターのような高く浮かせるシュートは感覚的に苦手なのかも)。①②は自分の勢いを殺してから打たないと体が流れてしまい、シュートが安定しません。しかし、阿部は体が流れながらでも空中でシュートを打つ体勢をきちんと作れています。一見タフショットのようなジャンパーが高確率で入るのはこれが理由です。
 また脱線しましたが、試合はパス回しでプレスを躱し得点&時間を使っていきます。しかし、フロントコートでプレスに捕まってパスが乱れTOに。こういうばたつく場面は小林が欲しくなりますが、をの役割を青木にしてもらいたいところでもあります。危なっかしいパスもありましたが、茨城のシュートが落ちて試合終了。仙台がB1で初めて20勝を記録しました。序盤はどうなることかと思いましたが、ハードなDFから少しずつ点差を詰めて逆転勝利。大きなビハインドを背負っても気持ちを切らさずに戦い続けられたのは、宇都宮戦の経験が生きたのではないかなと思っています。

 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
脱線が多くて長くなってしまいましたが、楽しんでもらえたら幸いです。


この記事が参加している募集

Bリーグ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?