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未来人の僕(回顧録)

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ベンチャー企業から、一代で世界的な大企 業へと育てた男、坂上ケンタ。 坂上ケンタの生い立ちは謎に満ちていた。 彼の死後、パソコンから、厳重に暗号化さ れたファイルが見つかった。 …
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#おむつ

『未来人の僕(回顧録)』

                   テール  この物語はフィクションです。 物語に登場する人物及び団体は架 空のものです。実在の人物および 団体とは一切関係ありません。 登場人物 〇坂上ケンタ  未来人。本編の主人公。西暦2325 の未来から、西暦2025年の現代へ 来たタイムトラベラー。 年齢27歳。将来の事業の成功を夢 見る若者。 〇井上綾香  坂上のベンチャー企業に入社し てきた女性。 自動おむつ試作品の開発を坂上と 共同で行う。坂上から試作品の着 用をお願いさ

人類は3種類の人間に分かれた #05

 通りへ出ると、何人かの人間が 歩いていた。  その服装をよく見ると、何か変 だ。  男性も女性も、なんか、下半身 が膨らんでいるように見える。  そういえば、手術着のようなも のから、普段の服に着替えるとき、 パンツが少し膨らんでいるように 感じた。 ズボンをはいたが、パンツに違和 感がある。  街を歩いている人の中には、ズ ボンやスカートを履かないで、パ ンツのまま歩いている人がいる。 男性に限らず、女性もだ。  僕は思わず、歩いている人を指 差した。 「あの人見て

21世紀へ #03

 とりあえず、用意してくれた、 この世界の僕の家に向かうことに した。  東横線で、神奈川県の元住吉駅 へ向かった。  元住吉駅から、歩いて5分ほど にある、アパートの一室が僕の新 しい住居だ。  ここから僕の新しい人生が始ま る。  やりたい事は決まっていた。 西暦2025年のこの時代で、西暦23 41年には存在していた、自動おむ つ装置を開発することだ。  会得した、自動おむつ装置の技 術をこの世界で再現したかった。  未来の世界では簡単に手に入っ た材料が、この

21世紀へ #04

 試用をして、わかったのだが、 想わぬ不具合が発生したのだった。 「まず、僕が先に試してみるから。 おしっこでね」  トイレに入って、着替えた。 パンツを脱いで、おむつを付けた。  27歳のいい若者が、オムツをし ている。傍から見ると、不格好に 違いない。上にズボンを履いて、 トイレを出た。  トイレのドアの前で彼女が待っ ていた。 「いま、オムツを付けているから。 これから、小の方をしてみるよ」  彼女は僕のズボンの前の膨らみ を好奇心いっぱいで凝視している。 「そん

21世紀へ #05

 数日後、不具合を修正し、バー ジョンアップしたオムツを再び、 試してみた。 「井上君! 直したぞ。今度は問 題ない。見てくれ」 「今度は大丈夫ですよね?」  彼女は、疑わしげに僕を見てい る。 「今度は大丈夫だから」  僕はトイレに入って、おむつを 付けて、そのまま、朝のおつうじ をしてみた。  今度は、大も小も、問題なかっ た。 「やったぞ! 完成だ。見てくれ」 脱いだ、オムツを彼女に見せた。 「本当だー。オムツの中はきれい ですね」 「うんうん。やっと完成し

21世紀へ #06

 ハンディーマッサージャーの防 水機能にヒントを得て、オムツに も防水機能を付けたら、どうなる かと考えたら、グッドアイデアが 浮かんだ。 「そうだ! これに防水機能を付 けて、防水機能付き水着にしたら どうかな? ねぇ、井上君」 彼女に意見を求めた。 「なんで、水着ですか?」 「いや、オムツではなくて、いっ そ、水着にしてしまった方が、 オムツのイメージより、良いし。 それに、プールの中で、おしっこ をしても、この水着なら問題ない でしょ?」 彼女は、キョトンとして

21世紀へ #07

 打ち上げは、赤ちょうちんの焼 き鳥屋で行うことになった。  その焼き鳥屋は、事務所の近所 にある焼き鳥屋で、仕事が終わっ てから時々、足を運んでいた。  玄関には、赤ちょうちんが下がっ ている。引き戸を引いて中に入る と、狭い店内は剝き出しのコンク リートの床に粗末なテーブルとイ スが並べてある。  仕事帰りの、ガテン系のおやじ が、一杯ひっかけてから帰るよう な、安酒を飲ませる店だ。  仕事が終わって、井上綾香と一 緒にアパートを出て、歩いて店の 前までやってきた。

第三章 未来はこの手の中に #01

 商品の開発は終わったが、これ から、特許申請をして、売り出さ ないといけない。  そのためには、社員を増やして 事務所を、もう少し広い所に移し たかった。  株式投資型のクラウドファウン ディングに依り資金調達をするこ とにした。 SNSや、Twitter などの口コミから も火がつき、資金調達は順調だった。 少し広いオフィスへ移り、社員も30 名ほどに増えた。  画期的な商品の多くは、はじめ は、少数のオタクに広まり、それ から、一般へと、だんだんと普及 していく。ビ