スタートアップ冬の時代にSHEが18億円調達できた理由
はじめまして。SHE株式会社のCFO森山です。
2022年10月より取締役CFOに就任いたしました。
(経歴はこちら)
CFO就任後の1つ目の大きな仕事として、本日、シリーズBラウンドとして、総額約18億円の資金調達のリリースを出させていただきました。
結果として、自分たちの理想とする会社の評価額、調達金額及びスケジュールで、今回無事クロージングすることができましたが、「スタートアップ冬の時代」と一部世間ではいわれているように、今回の調達もすべて順風満帆で進んだわけではなく、理想の形でクロージングするまで裏側では、今日皆様に発表できるまで約7か月以上の月日がかかりました。
今回、僕自身初めてのSHEでの資金調達でした。半年以上の活動を通じての学びをもとに、今回の資金調達の裏側をお話したいと思います。
目次
1.資金調達直前の勢い
2.急速に変化する市場
3.SHEの何が評価されたか
4.今回仲間になってくださった投資家
5.資金調達後の最大の投資ポイント
6.さいごに
1.資金調達直前の勢い
今回の資金調達をする少し前の話。SHEに追い風が吹き始めていました。
2021年2月の前回資金調達から、組織も拡大し、確実に業績を伸ばし始めていましたが、2021年11月の日本最大級のスタートアップカンファレンスIVS Launchpadでの優勝を契機に、大変ありがたいことに多くの投資家からお声がけを頂くことになりました。
またその直後には、年明け2022年1月に放映したSHE初のTVCMを放映させていただき、会社としての過去最高の売上記録を大幅更新。会社としては、2022年最高の滑り出しに成功しました。
IVS Launchpadでの優勝直後の12月に、多くの投資家と面談をさせていただき、CM放映後の実績がでたタイミングの春先前に、本格的に資金調達を進めたいとお声がけさせて頂きました。
2020年と比較すると、一時よりも市場が落ち着きはじめていましたが、ビジネスが堅調に成長していく中、僕らの望む理想的な評価と調達金額を獲得するには、問題ない好感覚で年末を迎えて、本格的な交渉の前に、資金調達の準備にとりかかりました。
2.急速に変化する市場
しかし、投資家向けのピッチ資料をつくり、本格的に交渉を始めた2月後半頃には、年末と比較すると、大きく環境が変化していました。
マクロ経済は2021年末ごろから徐々に景気の踊り場となるような動きを見せていましたが、アメリカ・日本ともにグロース株、IT銘柄の株価が低迷、とりわけこのご時世におけるパンデミックにより急激に高まったSaaS企業の銘柄への期待が一過性のものとなり、収束しました。同時に、今も続く世界的なインフレ・円安が始まり、僕らが本格的に資金調達を行い始めた矢先に、ロシアのウクライナ侵攻も始まりました。
年末年始ごろには投資に積極的だった投資家の方々が、先のような外部環境の変化により、投資姿勢について少しずつ厳しい目線になってきている感触を、投資を受ける側のスタートアップサイドである我々も、投資家と対峙する中で日に日に肌感覚として強く感じました。
3.SHEの何が評価されたか
世界的な環境の変化が激しく、スタートアップ冬の時代といわれる今、なぜ今回の資金調達が理想的な形でクロージングできたのか。あくまで個人的な感想ですが、今回無事資金調達が完了できた理由は大きく3点あったと思います。
①積み上げてきたビジネスの実績
今回の資金調達で、一番評価して頂いた点は、確実に積み上げてきたビジネスの実績だったと思います。
前述で紹介したIVS Launchpadでの優勝や、TVCM等の大きなトピックスもありましたが、その裏側で、確実に会員数を増やしながら、コンテンツ投資&システム投資等の必要な投資を行い、全社一体となって、僕らのビジネスで重要としている1つ1つのKPI指標を磨きこんでいきました。
具体的には、会員UGCは月間10,000件間近に迫り、コース数は32コース105レッスンに増加しました。さらに法人事業も組織体制や人員体制を含めていよいよ本格化して参りました。
経営として、中長期的な展望や戦略を考えていくことも大切ですが、資金調達前そして資金調達最中も、確実に実績を伸ばすことに専念していきました。一朝一夕には完成しないからこそ、日々のKPI・メトリクスを磨いていくことが、事業のグロースに直結し、結果、投資家への信頼感のあるアピールポイントになったと思います。
②インパクトスタートアップを目指すSHEのビジョンと戦略への共感
そして、足元の事業グロースだけでなく、僕らのビジョンと”「学ぶ」と「働く」が循環するキャリアプラットフォームの構築”という今後の戦略に共感頂けたことが、無事今回の資金調達を完了できた大きな要因だと考えます。
現在の主要ビジネスである女性向けキャリアスクールの「SHElikes(シーライクス)」を基軸に事業展開を行っておりますが、単なるスクールモデルでなく、この既存ビジネスの延長戦としての”働く”領域の「SHEcreators(シークリエイターズ)」事業に本格的に投資を行い、”学ぶ”と”働く”が循環するキャリアプラットフォームの実現を目指したいと考えております。
そして、今回の資金調達を転機に、これまでの事業基盤を構築していくフェーズから、次のフェーズに移動し、売上規模を、直近16億円の売上から、3年後には売上100億円を目指していきたいと考えております。この大きな絵をしっかり理解頂けたのは、自分たちの目指すビジョン、未来への戦略、今までの実績をしっかり結びつけて、解像度高く描き説明できたことがポイントだったと思います。
③多くの投資家とのディスカッション
資金調達前だけでなく、今回の資金調達を通じて、数多くの投資家に自分たちのエクイティストーリーを説明する機会がありました。資金調達プロセスの中で、第三者のプロの方々とのディスカッションを通じて、戦略の改善点だけでなく、改めて自分たちのビジネスの強みを再認識することは、自分たちにとって、非常に重要な機会となりました。結果として、資金調達が始まる前と比較すると、自分たちの中で、前述で記載した事業で今注力すべきポイントや中長期の戦略の解像度が格段と高くなり、資金調達活動を通じて、今回投資家の方々に納得を持って頂けるクオリティまで仕上げられたのだと思っております。
今回下記にて、資金調達時に実際に活用した資料に近いレベルで、
公開しているので、是非見ていただけると嬉しいです。
【SHEの中期経営計画はコチラ】
4.今回仲間になってくださった投資家
2022年2月頃から開始した資金調達でしたが、結果、既存株主より、ANRIとKDDI、そして新たに5社がSHEの株主として仲間になってくださいました。
今回のシリーズBの調達は、リードインベスターとしてMPower PartnersとSIG Asia Investment, LLLPに参加していただきました。
MPower Partnersは日本初のESG重視型グローバルVC、
そしてSIG Asia Investment, LLLPは TiktokのByteDanceの株主でもある米国のSusquehanna International Groupのファンドです。
そして、国内大手の人材派遣・人材紹介事業を運営する株式会社マイナビ、社会課題の解決や産業構造の転換をテーマとしたCVCのBRICKS FUND TOKYO(三菱地所株式会社)、独自の起業家コミュニティを持ち日本唯一のコミュニティVCの千葉道場というそれぞれ非常に独自の特徴を持った投資家の皆様に仲間になっていただきました。
今回の資金調達中も、株主の皆様から様々なアドバイスを頂きましたが、引き続き、皆様の知見をお借りしながら、インパクトスタートアップとして事業および会社をより一段成長させていきたいと思います。
5.資金調達後の最大の投資ポイント
今回”スタートアップ冬の時代にSHEが18億円調達できた理由”というタイトルで、資金調達を振り返りさせていただき来ましたが、
最後に今回の調達で得た資金の最大の投資ポイントのお話をさせてください。
改めて、社会課題を解決するインパクトスタートアップとして、
学ぶ”とは”働く”が循環するキャリアプラットフォームの実現に向けた、
最大の投資ポイントとして、
一緒にこのビジョンを追いかけてくださるチーム強化に活用していきたいと考えております。
特に注力ポイントとして、下記ポジションを採用しております。
ここに記載のないポジションも多数あり、各種全方位絶賛採用しております!
今回僕だけでなく、代表の福田、取締役COOの五島をはじめ、CTO、顧客体験責任者、HR責任者といった役員全員がそれぞれの視点で、Noteを出しております。是非、こちらも読んで頂けると嬉しいです。
6.さいごに、、ここまで読んでくださった皆様へ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
改めてとなりますが、
僕たちは、このビジョン実現に向けて、
一緒に働いてくれる仲間を募集しております!
是非、皆様のご応募お待ちしております!
11月20日(日)、東京日本橋でSHE初となる、日本最大級の女性リーダーサミット「INNOVATIVE WOMEN’S SUMMIT」を開催します。基調講演には小嶋陽菜さんや弘中綾香さんにご登壇していただきます!この日しか味わえない豪華ゲストとの濃密な時間をお楽しみください。
またこのサミットを共創する協賛パートナーを募集しているほか、法人チケットプランもございますのでご興味ある方はぜひ下記フォームからお問い合わせください。
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