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土のレンガWS vol.1!

左官のおやかたの現場についていくようになって1か月が過ぎようとした頃、おやかたが「今度日干しレンガをつくりに山梨へいくんだよね」と言った!のを私は聞き逃さなかった!私もいく!!と言ったら親方は喜んで山梨出張の段取りを組んでくださった。(言ってみてよかった。おやかた太っ腹!)聞くところによると、私が通っていた大学のご近所に大学の教授がなにやらおもしろい古民家再生プロジェクトを企てており、そのワークショップのなかで、現地の土を再利用して伝統的な製茶用の焙炉(ホイロ)づくりの指導をおやかたが頼まれているのだという。なんというよい仕事なんだ!そして、山梨出張というワードだけでもうテンションがあがる。はやばや、左菊カレンダーに「なお(山梨)」と入れ、はやくこの日がこないかと待ちに待っていた!
ワクワクな山梨旅のはじまりはじまり〜!

2023年11月19日。朝5:30に親方がトラックで家の前まで迎えに来てくれ、おはよーございますと乗り込む。朝からいろいろ喋り倒す私たち。最近観た動画、最近感じること…自分の声を聴くことの大切さを話したのを覚えてる。ほんとそのままでいいと思うよ、と勇気づけられる私。…おやかたはますます悟りの境地に入っている。山梨県に入り、歴史博物館などを通り過ぎる。気が付いたら、箱根のような、でももっと古い街並みの温泉街の景色になっていた。どこに車停めたらいいですかーと、大学の先生と電話をするおやかた。めっちゃワクワクしてる親方を見て、こちらもテンションあがる。相乗効果で朝からハイパーワクワクの左菊チームになっていた。

身延町湯之奥の景色!

ワークショップのはじまり!

ワークショップにはさまざまなバックグラウンドの方が集まっていた。福岡から京都を経由してきた、同じ三浦半島で活動しているなど。ご職業も、ワクワク建築家、歴史に詳しいお茶の先生、身延町の公務員さん等々…田んぼをやっている方もいて、土を練る作業もみんなで活気よく行った。

ぞくぞくと参加者の方が集合!
おやかたの説明
寺子屋として使われていた、夜学舎という建物。
教壇や机、相合傘の落書きも
わくわく!

つちの配合

いよいよ、初の日干しレンガづくり!わくわく。最初に、レンガをくり抜く型をつくるチームと、材料を練るチームに分かれます。わたしは材料チームに。今回のレシピはこんな感じ。

現地の土:市販の中塗り用の土 :藁 = 4:1:3

配合の基本は、土1:砂1:粘土1。今回は、現地の土はサラサラの砂に近く、まとまりづらかったため、基本の割合をアレンジ。土を藁を多めに入れて、おやかた独自の配合になったんだとか!ちなみに親方は、つちを触ったらどんな配合にしたらよいか瞬時にわかるんです。後日SNSへのコメントなども含め、みなさんその配合について興味津々だった模様!

①現地のつちを使った団子と
②市販の中塗り用の土のだんご
①はまとまりづらく、②は粘土分が多いのでネチョネチョ!レンガや壁をつくるときに塊にしやすいのです。

練る手順

材料を練る手順は、こんな感じ。

現地の土(壊れた土をとっておいて、再利用!)を
ふるいにかけて…
市販の中塗り用の土をブレンド。
水、藁を投入!
ひたすら練る(道具の使い方にもコツあり!お会いしたら教えます)。
完成!

この作業、かなり体力も使うのですが、とても楽しい。やわらかく練りやすくなった土に、藁をふさふさーっと投入したところで「キタ来た!!コレやでーー!!」と、会場のボルテージは最高潮に(会場?)!
つちを練ってる。現地の土を使って、それも崩れた土を再利用して練っている。触りたい。練りたい。汚れたい!!その喜びをみんなで噛みしめたのでした。

大きいレンガ
小さいレンガ(こっちのほうが抜きづらい)

もっとワクワクしながらつちに触れる

今回のWSでは、なによりも、素晴らしい参加者のみなさんと出逢えたことがとても嬉しかった。興味も近く、またどこかで交差するであろう皆さん。なかでもビビっときたのは、アフリカの村で土の建築づくりに参加したことがあるMさんのお話。レンガをくりぬきながら、私が以前演劇をやっていたことを話したら、村でも演劇やってる人おおいよ!と。マラリアなどの伝染病にかからない方法を演劇を通して伝えていたんだそう。あー本当にそうだよねと思った。演劇や芸術は暮らしや生きることそのもの。数年間電車で稽古場を往復して、なかなか舞台の上でもクリエイティブな状態になれず、うまくいかなくなって苦しい経験をしてきた。そんな中、大きな本番を終えて、藁細工や暮らしを手の中で夢中でつくる感覚に出逢って、「え!私舞台の上でやりたくてもできなかったこと、今まさに目の前でできてるじゃん!」と気が付いたときは驚いた。現実の生活を、本当にただの「人」として、自然と一体となって生きることをちゃんとやりたい。その人生なしに舞台上で生きられるわけがないと思って思い切って演劇を一度やめてみたのだ。でも、そこから見える新しい暮らしの感覚や、世界観をいつか舞台にあげてみたいと思っていて、自分の家を自分たちでつくる世界観をまさにやりたくて、Mさんに出逢えたことは本当に嬉しかった。村では誰もがそのへんの土で家をつくり、壊れたら直しているそうだ。それに驚いていたら、「そんなこともできないの」って笑われるよ、とMさんは笑った。アフリカにいつか行ってみたい!さらに、作業のコツなどを歌にして、それを歌いながら手を動かしていたことも教えてくれた。わかるーーー!こういうことって、楽しんで遊びみたいにやるものだよね。真面目な顔して、仕事みたいにやるもんじゃない。一緒に歌いながらレンガの型を洗った。つちの歌とかも、いいかもね。みんなでもっとワクワクしながらつちを触れる!そんな文化、世界観を発信していけたらいいなーー。

WS1日目のみなさん!
WS2日目のみなさん!

そして、お昼休憩のときに、私のほうをまっすぐに見て、「なおさん、全国で初めて見つかった ”土屋根式” 竪穴住居って知ってますか」と言ってくれた方がいた。な、なんですかそれは…。なんか電撃が走った。話を聞くと、山梨県にある梅之木遺跡。(追記:土屋根式の住居跡が初めて実証されたのは岩手県の御所野遺跡でした!!)意味わからないほどワクワクするので、こちらは再来週友達と一緒に観に行ってくるのです。この中で過ごす感覚って、どんな感じなんだろう?!

また年末にいくよ!

さて。日干しレンガは、乾くまでに2週間〜3週間ほどかかるんだそう!いまこの感覚を持ったまんま、いつもの現場を考えると、あんなにはやく混ぜられて、明日には乾いていて仕上げに入れる。30倍早いから、30日分短縮できるということ!それが悪いとかじゃなく、なんだか不思議な感覚になった。明日からは、乾いたら、30倍早く乾いた!と思うことだろう。Amazonの早すぎ配達も、同じような風に感じるのだろう。やってみて、それがどんだけ早い感覚なのか知っていることが、なぜかとても大切な気がしている。

日干しレンガじゃなくて陰干しレンガじゃん!というツッコミはおいておきましょう!
断面がかわいい
veganチョコケーキとか
ローフードみたい
年末にはレンガをつかって焙炉づくりと竈門づくり!

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