波打ち際の貝殻
今君が何となく楽しいからこそ思う
そこにいないのが悔しいと悔しいと悔しいと
体の内側から外側に向けてのボディブローが連動する
波が来た時に それは良いものであれ、悪いものであれ
注意をそれに奪われる
波が引けば、良くも悪くも気にしなくなっていた
砂浜の小さな貝殻の輪郭が、水と砂がラッシュ時のように海原に帰宅する中
浮かび上がる
その小さくも確実な事実は
スケールが大きいものとは違い、想像を膨らませる余地を生み
思い入れという鎖に君を縛る
君の貝殻の中身は
流れてくる少しの情報と思い出
そこを起点に生まれる想像、偏見、イメージ
見たかった笑顔、それを掴む別の魚
近いのに決して渡れない遠くの海
君が知ることが出来ない海を、知ることへの嫉妬と執着
そしてそこに反して生まれる少しの熱
すると見つかる、潮の流れ
見ている場所に同じ視点で行くことは一生ない
しかし潮の流れはいずれ海流に、独自の捻れで豊かな生態系を育みながら
流れ流れて縦横無尽に
そして羨望していた海との邂逅を果たす
それらの可能性を孕んで
波打ち際に今日も佇む
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