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坂東玉三郎〝はるのひととき〟を観た

観よう!と思ったのは、演目の『越路吹雪物語』だった。

歌舞伎と落語の第一人者が、現代物の創作をどう創るのかは、単純に勉強になるし、
今後、夢叶えば『長澤まさみ物語』を創るだけではなく、読む上でも、どう構成して、どう男子が女子を演じるのかを観ておきたかった。

構成は、落語家の春風亭小朝さんが創作された噺に、坂東玉三郎さんの歌が数曲入る王道だった。

ま、クオリティは別にして、僕もマイケルジャクソンをはじめ、美空ひばりと石原裕次郎も音を入れてやったときには同じだった。

ただ、〝物語〟の部分がすごい。
いや、エピソードの量や深みにおいては、僕の競馬講談をはじめ創作の方が、遥かに優っている自負はあるけど、数少ないエピソードから、しっかりと物語を紡ぎ、観客に感心と感動を与えていた。
もちろん、それが芸だと言うことだけど、技術よりもセンスの方がすごい。

僕の周りのお客さんは、一つ一つのエピソードに感心の声をあげていた。
僕は越路吹雪の知識がほとんどないままに聴いたから、そのエピソードの質は分からないが、感覚としては、越路吹雪初級編的な内容だったと思う。
そのへんが、お客さんの求めているものへの嗅覚が良さだと思う。ま、それがセンスの正体といえる。

競馬講談の創作も、この形式で一度書いてみる。
『ウオッカ』は3部作に創っていて、深みもあって良いネタに仕上がってきているけど、45分までに収まる『ウオッカ』も創ってみようと思う。

それにしても、玉三郎さんの『愛の讃歌』も魅入った。
衣装を着て立っているだけで、演技者だけではなく、もう舞台芸術そのものだった。
すごい物を観た!という感動があった。

この『越路吹雪』は、大きな学びになった。

小朝さんの『芝浜』と玉三郎さんの『雪』も素晴らしかった。
特に玉三郎さん『雪』は、ひとりで舞われていたが、これはマイケルジャクソンの『ヒューマンネイチャー』を彷彿とさせた。
動作の少なさ、時が15分と考えれば、ヒューマンネイチャーを超えているのかも知れない。

いずれにしても贅沢な時間だったし、おふたりとも、〝何もしない〟舞台でもあったのが、今の僕には大きな糧ともなった。

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