見出し画像

ユージン・スミスが教えてくれたこと

去年の初夏完全に仕事を辞めて、休校中の子どもとのんびり過ごしていた。

学校の宿題として課題図書のリストから本を選び作文を書く、というのがあった。

リストには様々なジャンルがあったが、娘は伝記が良いらしく手塚治虫の本が良いと言った。しかしAmazonで売り切れていた。

代わりに選んだのがユージン・スミス。

もちろん娘は彼を知らなくて、ただ伝記だからというだけで選んだ。

私も水俣を撮り続けた写真家という程度の知識しかなかった。

サブタイトルに“楽園へのあゆみ”とある。

これが彼の代表作についたタイトルで、その由来が彼の愛したオペラによるものだと知った。そしてその曲を作曲したのがディーリアスであることも初めて知ったのだった。

夏の間中その美しい曲を何度も聴いた。娘の作文はちっとも進まない。

画像1

ある時、本の表紙を外したら彼のサインがシンプルにデザインされた素敵な装丁だと気づいた。

私「私だったら、カバー外したら本のデザインが素敵だったと書くなあ」

娘「そんなの感想文になんないからダメだよ、先生に怒られる」

私「本についての感想だからありでしょ。それに良い悪いなんて誰にも決められない」

結局娘は、楽園へのあゆみという写真のタイトルの由来になった曲についての感想を書いた。

先生は赤ペンで「素敵な曲があるんですね、私は知りませんでした」と書いてくれた。

ユージン・スミスがたくさんのことを教えてくれた夏だった。

ジョニーデップが演じる彼に早く逢いたい。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?