2023-11-30

頭痛とうっすらとした吐き気を感じて布団の中でしばらくぼんやりしている。きょうは少し遠くにある植物園と展示にそれぞれ行きたかったのだけれど、薬が効かないのをあきらめて動きはじめるころには、着くころには植物園が閉まるような時間になっていて、別の散歩のできるところに行く。冬至の前後一ヶ月の日の光がいちばんよい。けれど、散歩のできるようなところが閉まるのがこの時期はとても早い。西の方に旅行に行ったとき、昼過ぎに当地を飛び立って、戻ってくる頃には時間と子午線を越えて日が沈みかかっていたのを思い出す。

庭のようなところを歩いたり、川を見に行くのは目まぐるしくなった時間の速さを戻してくれる。日と木陰の斑や葉騒が自分の中に落としていく陰影を、書くことによって立ち上げなおすこと。余白がなければそれらははじまらない。池の方に寄ると、朱色の鯉が一匹だけ泳いでいる。戸籍と結びつけられた怒りの地にある家では鯉が飼われており、緋鯉や錦鯉が猛禽に攫われてやがて真鯉ばかりになっていたのだけれど、ここでは攫われないのが不思議だった。

どうにも気分が悪く、展示を今日見るのは諦める。頭痛薬でもコーヒーでも体調が変わらず、体温を測ってみれば発熱している。取り急ぎ各所に連絡して、同居人が帰ってくる前に食事などを済ませてしまう。明日非常に楽しみな予定があったので行けないことが悔やまれる。体温の高さでぼんやりする程度で、ただすこしだけ心細いので、ボイスチャットで人とおしゃべりをしていた。熱があってなにもできないことが、ここ最近の慌ただしさのために妙に清々しい。

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