我がミステリ遍歴(4)

前回更新してから、もう1週間以上経ってしまった。

島田御大の作品に魅せられ、次々読んでいく事になった話をした。その後も『斜め屋敷の犯罪』で究極の密室トリックに打ち震え、『異邦の騎士』に感動し、『暗闇坂の人喰いの木』を皮切りとする奇想大長編の数々に魂を抜かれ、『本格ミステリー宣言』で本格ミステリーの理論と歴史を学び、吉敷シリーズにも当然手を伸ばし吉敷竹史の熱い苦闘に胸を打たれたりと様々あるが、全部触れていると先へ進まないので、そろそろ別の作家や作品に話を移す。

島田御大の作品と同時期に何を読んでいたかというと、いわゆる「新本格」と「メフィスト賞」作家やその作品となるわけだが、そのあたりについて語ろう。

一番最初に書いた記事で、ミステリを読むそもそものきっかけは『かまいたちの夜』だという話をした。その流れで小学生の頃、『人形はこたつで推理する』を手に取った。腹話術師と人形が主人公という設定に興味を惹かれたのだ。

このシリーズは好きだった。しかし、我孫子武丸という作家を認識していても、いわゆる「新本格」という潮流や概念を理解していたわけでない。また我孫子氏の他の作品、速見三兄弟シリーズや『殺戮に至る病』に手を伸ばすまでには至らなかった。(ただその後『ぼくの推理研究』だけは読んだがそれも「ミステリ」というジャンルを意識しての事ではない)

中学生の頃、綾辻行人の『十角館の殺人』を読んだ。なるほど、確かにあの「最後の一行」にはやられた。しかし、道中作品世界に入り込む事は全くできず、この種明かしを読むためだけに読書するというのは、あまりに苦行で、とても考えられなかった。

ところで、この時期もっぱら「週刊少年ジャンプ」と主に母親の薦める「花とゆめ」の漫画ばかりを読んでいた自分がどんな小説を読んでいたか触れておく。

小学生の頃は田中芳樹『創竜伝』『アルスラーン戦記』、乙一『夏と花火と私の死体』、清涼院流水『エル 全日本じゃんけんトーナメント』、中学生に入り森博嗣『すべてがFになる』、その流れで流水(「その流れで流水」って字面いいですね)『コズミック』を読み、以降『ユウ』くらいまで出てた流水大説を全て読破。また当時NHKで夕方放送されていたドラマ愛の詩シリーズの『双子探偵』を観て原作に興味を持ち、はやみねかおるの夢水シリーズに手を伸ばす。

ミステリに興味が無いといいつつ、実はミステリというジャンルに異様に漸近した読書傾向なのだが、当人は全く知識が無く、何も気付かなかった。ただ時々の興味で目に着いたものを手当たり次第に読んでいただけだった。

しかし、それらのひとつひとつの珠の数々が、ミステリの紡ぐ細く長い歴史の糸に通され始めた。ジャンル意識に目覚め、自らのうちに知らず知らず宿っていた「ミステリ」の蓄積の数々を自覚し始めてゆく。

話がずれた。ともあれ次回は島田御大と同時期に読んだ新本格、メフィスト賞作家/作品について語る。

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