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ぼくのゴホウビ。@おの


みなさん、おはようございます。
こんにちは。
こんばんは。
T A I D E Nのおのです。

7日ぶりの休読日。日々の習慣づけが一番大事。
今週もゆっくりと休んで参りましょう。

さて、今週のテーマは「ゴホウビ」
僕が書きたいことがあったので、今週は僭越ながらこのテーマにさせていただきました。
ただ、今週はいつにもまして内容がありません。
エッセーというよりもブログです。

さぁ、そこのあなたもLet’s休読日!


ゴホウビというか、メンテナンスとも言えるが、
僕は2か月に一度、自宅から30秒の床屋に行くことにしている。
頑張った自分へのささやかなゴホウビである。

久しぶりの床屋。
カランカラン。行き良いよく引いたドアについた鈴が店内に鳴り響く。
いつもながらによくわからない匂いを漂わせている店内は、少し混み合っていた。
老夫婦が切り盛りするここは、店主の人柄もあってか、どこか懐かしく、いつも落ち着く。

「いらっしゃい〜」
おじいとおばあの声で、マスク越しにも笑顔で迎え入れてくれているのが伝わる。
店内には、なぜかほのかに糠漬けの匂いが漂う。少し落ち着く。
そして、いつものように「顔そり」を注文する。
今日は天気も良くて、気分がいい。
初めてでいくらかはわからないが、今日はシャンプーも頼んでみることにしよう。

「あ、やっぱりシャンプーと顔剃りで。」即座に訂正を入れる。
店主は耳が遠いのか。きちんと伝わっているか不安に駆られながら席に着く。

タオルを首に巻かれる。これもまたほのかに糠漬け臭が漂う。
そして、シャンプーを頼んだ今回、初めて緑色の滑り止めマットのような何かを纏わされる。

まずは、シャンプーから始まるようだ。
僕もこれでも25年間生きてきているだけあって、この予兆はシャンプーだと気づく。

鏡の下のシャンプー台が出てきた。よしよし、想定内。
そうか、今は鏡をみているから、このあとこの椅子は後ろを向くのだな。
四半世紀も生きてくれば、それぐらいのことは言われなくたってわかるさ。任せてよ。
そんな慢心を打ち砕くように、おじいがいう。
「はい、どうぞ。」

はい?
どうぞ?
おいおい、どうしたおじい。僕はまだ鏡と対峙しているよ?
回転する椅子も全く意味をなさず、鏡と正対したままだが、何がどうぞなのだ?
僕は激しく動揺し、困惑した。おじいと見つめあった2秒間が永遠に感じた。

おじいよ、頭を前に出せと言うことなのか?
でも、確実におじいは髪を洗おうとシャワーをお湯が出るまで水を出している。
つまり、そういうことなのか?

恐る恐る僕は、おじいに謝罪をするかのように頭を前に、
体に対して垂直におじいに差し出した。
すると、おじいが洗い始めた。

あぁ、これでよかったのか、そんな安心も束の間だった。
なんだこれは…
顔にめちゃくちゃ水がかかる…。これが老舗の洗礼か…
あぁ…こんなことなら、思い立ってシャンプーなんて頼まなれければよかった。
顔剃りだけでも十分幸せだったのに、どうして僕は欲張ってしまったのだろう。
なぜ人というのは、現在の幸せに気づけずにもっと幸せを、快感を求めてしまうのだろう。
僕はなんて愚かな人間なのだ。

今の僕の体勢が、ヨガにあるであろう陳謝のポーズでないのであれば、僕は絶対にヨガインストラクターになろうと誓った。おじいに陳謝のポーズをとりながら、自分の愚行を恥じた。

そして雑に頭を洗い流し、上からタオルで顔や目、鼻の穴に入りそうになった水分を後頭部から巻きつけたタオルで吸収した。眼球が潰れるのでは?そんな握力で顔を吹かれたが、
「お疲れ様でした」とおじいは言うので、泣く泣く陳謝のポーズから元の体勢に戻る。

あぁ、こんなことなら頼まなれければよかった…。
でも、何事も経験だ。そう自分に言い聞かせながらゴシゴシと拭かれる頭を前後左右に振られながら思う。

はぁ、こんな雑なシャンプーだったのか、いくらなんだろう、次からは冒険しないようにしようと、様々な思惑がめぐる。

髪が乾きそうになり、僕の湿っぽい考えも一定の諦めを迎えそうになった、その時。
どうしたおじい。
なんだその液体は。少し水気が飛んだ僕の頭に何をかけているのだ?
まさか、シャンプー台を離れて椅子に座って地面と垂直になった僕にシャンプーをかけているのか?
何が起こっているのだ?どういう事なのだ?

鏡と正対して僕の髪の毛が泡立っている。
四半世紀生きてきた僕でも、流石に困惑した。意味がわからなかった。
どうしたおじい。突然血迷ったのか。


あっ……でも、気持ちいい。
そんな快感が一気に僕の困惑を洗い流していった。

ひんやりとした冷感シャンプーがしゅわしゅわと僕の毛根の汚れを洗い出してくれる感触。
おじいの絶妙なヘッドマッサージが僕の疲れを癒していく。
ずっとこの瞬間が続けばいいのに。

めっちゃきもちい。
洗い終わったおじいが、手を流している。
僕はもう迷わない。頭を垂直に差し出す、陳謝のポーズの出番だな。
おじいよ、流石に僕も馬鹿じゃない。2回も同じ困惑なんてしないのさ。

おい、おじい、、、

忘れていた。こんな僕の慢心を打ち砕いてくるのが、この床屋なのだ。
何故僕は学ばない。どうしてそんなにも慢心してしまうのだ。人として恥ずかしくなる。
そのパーマ液を放置するときのヘアカバーはなんだ。僕はただ、シャンプーを頼んだだけなのだ。この泡を洗い流してくれるだけでいいのに、なぜそのカバーを僕の頭にカバーをつけるのだ。

ボソボソと喋るおじいの言ったことを理解レベルを最大にして解釈すると、
どうやら、泡を放置することで根本にある汚れもごっそり取れるとのこと。

もうこうなったら流れに身を任せるしかない。

背もたれは倒れ、髪にはキャップが被されたまま、
顔剃りが始まる。ここからは安定感がある。ゆっくりと丁寧に顔剃りをしてくれるのだ。
すっかり頭のキャップは忘れ、心地よい剃られる心地に夢心地。

何故か耳掃除をしてくれるのも高評価である。


いつもながらに大満足の顔剃り。
毎回顔を覚えられずに、「あら、肌弱いのね」って言われることを差し引けば、いつも大満足なのだ。

そんな大満足の影に隠れて、装着していたことを忘れていたキャップを外して、
いよいよ新規体験のシャンプーもフィナーレである。


ようやくキャップが外され、陳謝のポーズをしようと意気込んだその頃。
後ろから昔のパンチパーマをかけるようなローラーボールのような機械が僕の頭を覆う。
もはやフルフェイスのヘルメットを被っているような感覚。
しゅわしゅわと蒸気が沸いている。どうやら、この蒸気が頭皮の汚れを浮かせてくれるようだ。

ようやくおじいとおばあと鏡越しに話せる体勢。
ここぞとばかりにおじいとおばあが話しかけてくるが、
このヘルメットのせいで全く声は聞こえない。。とりあえずの愛想笑いでやり過ごす。
確かに気持ちいい。

もはやここまで焦らされると、ようやく辿り着けたことに喜びすら感じた。
ようやく目の前にシャンプー台が出現して、念願の洗い流す陳謝タイムだ。

その瞬間、僕の先入観とともに、全ての汚れが落ちていった。


この世に生を受けてまもなく四半世紀。
こんなにも先入観と予想を裏切られた経験は久しぶりでした。
いくつになっても、先入観と熟れ感を出さずに新しい体験をしたいと、ひしひしと感じる週末の午後でした。

これが私の、ごほうびです。
ぜひみなさんのご褒美も教えてくださいね。

ただただ、日常のご報告となってしまいした。こんなお粗末な文章、いつにもまして内容のない文章に今週もお付き合いいただき、ありがとうございました。来週こそは本当に休読してくださいね。

それでは。

ぶん:おのこうた。


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