(モンハンサンブレイク)マルチではホストが過剰に狙われる

 最近のことです。 ”みんなで一緒にモンハンライフ” のあっとさんというモンハン検証系ユーチューバーの方がヘイトについての検証を行った動画を出しました。
(このあっとさんという方はモンハンの細かい仕様ばかりではなく、初心者がモンハンをより楽に攻略できるよう解説した動画もあげているモンハン界の紳士です)
 その動画の詳しい内容については動画を見てもらいたいのですが、おおむね下記のような結論が出たと言っています。


1.マルチプレイにおいて四人がまったく攻撃しなかった場合、全員平等に狙われる
2.マルチプレイにおいて四人全員が攻撃し始めた場合、赤色マーク(貼った人)が一番狙われ、青色マーク(二番目に受注した人)がその次に多く狙われ、黄色マーク(三番目に受注した人)と緑マーク(四番目に受注した人)はほぼ狙われない。要は一番目と二番目の人だけやたら狙われるということ。
3.人数を二人や三人に変えて遊んだとしても一人目と二人目だけが狙われるという仕様に変わりはない。三人目はほぼ狙われない。


 こうしたことが起こると仮定すると三つの問題が生じます。

1.ホストと二人目だけやたら死ぬようになる
2.三人目と四人目がカウンターを主体とする戦略を使う人だった場合(たとえば威糸呵成を主体とした大剣だったり属性充填カウンター主体のスラアクなど)まともにダメージを与えられない
3.一番目が狙われやすいなどの知識のある人が「この順番は嫌だ」といい始めて喧嘩が起こる。(これはどちらかといえばその人の性格の問題なのでゲームの問題ではないかもしれません)


 一見すると悪い仕様のように見えます。こんな仕様消したほうがいいという人もいるかもしれません。
 ではこの仕様がなくなるといいゲームになるのでしょうか?
 すべてのハンターが平等に狙われる、四人いれば一人当たり25パーセントの確率で狙われるモンハンであったならどうでしょう。
 25パーセントという数字はあまり高くはありません。その結果死ににくくなるというのはその通りでしょう。被弾したとしてもモンスターはまた別の人を狙い始めるかもしれません。そうなればよりクリア率は高くなると思います。
 ただ狙われにくいという点が残り続けるので、カウンター戦略をとる人は活躍できないという事実は変わりません。
 そもそも自分が狙われないとカウンター戦略をとる人が活躍できない、というのが誤解である可能性もあるのですが、そこはあとで説明します。
 また死亡するリスクが減る一方で問題も出てくるでしょう。それはモンスターがやたら動き回るようになってしまうというものです。
 通常の狩りでは大体みんなばらけた位置にいます。してることもばらばらです。逃げてる人もいれば攻撃している人もいて、回復している人もいるのが通常の狩りです。
 ターゲットを変えて攻撃する回数が増えれば、当然移動する時間が増えます。モンスター全般にはターゲットに対して走り寄る性質があります。
 するとモンスターをハンターが追いかける時間も増えます。つまりヒットアンドアウェイではなく、ヒットアンドチェイス(追跡)になるわけです。
 想像してみてください。モンスターが攻撃してきて、それをなんとかよけて後隙に攻撃をする。そしたらモンスターはすぐさま向こうにいる別の誰かのほうへ向かって走っていく。納刀してそれをダッシュで追いかける。追いついたと思ったらまた別の誰かのところへ行ってしまう。それをダッシュで追いかける。追いついたと思ったら今度はいきなり自分が狙われる。
 あくまで僕の想像であり実際にこうなるとは限りませんが、少なくとも平等に狙うというのを愚直に表現したらこうなるのではないかと思います。
 一人を一定時間狙い続けるなどの仕様にすれば追跡時間も減るとは思います。ただそれだと被弾したあとも狙われ続けるので死ぬ確率は高くなります。あとは狙われた人がカウンター攻撃や回復行動をたくさん行うようになるのでヘイト値をたくさん稼ぎやすくなります。
*ヘイト値というのは、それがたまるとモンスターがその人を狙い続けるようになる状態異常の値みたいなもの。攻撃や回復、バフをかける行動などでたまっていく。
 そうなればうまい人ほどヘイトを集めるようにもなると思います。そうすると何もしてない人は余計なにもしなくなると思います。
 逃げ続ける人や攻撃するのが苦手な人のところにはモンスターの来る回数が減るので、ずっとモンスターのおしりを追いかけるはめになったりしますし、「なんかずっとあの人闘ってるなー」なんていうのを眺めるはめになったりするでしょう。
 それが面白いモンハンと言えるのでしょうか。
 そしてここからはどちらかといえば熟練ハンターの話になると思うのですが、モンスターがハンターを平等に狙うようになるとモンスターの動きが予測しにくくなります。
 モンスターはハンターの位置や行動、体力などに応じて行動を決める傾向があります。またモンスター独自に定められた確定モーションもあります(たとえばメル・ゼナだと赤い強化状態になって咆哮したあとは確定でワープしてから攻撃してきます。どのモンスターにもひとつふたつは絶対あるものです)
 一見するとランダムに見えるその行動ですが、ちゃんとAIが適度にハンターを追いつめるようにできてます。
 本当にうまくできていて、こちらの体力が少ないときに限って小突くような攻撃で仕留めに来たり、攻撃の連携がちょうど回避して移動した先を狩るようなものだったりするんですよね。傀異克服モンスターなんて賢いモーションばかりですよ、ほんと。
 ともかくそういう風に決まった部分もあるので、ある程度数をこなすとだんだん動きが読めてくるんです。この攻撃のあとは威嚇が入るから攻撃チャンスだとか、この攻撃の後は大体これやってくるとか。それでうまい人はモンスターの行動や自分の位置を見てある程度は動きを読んでるんです。だから攻撃もちゃんとよけられるしカウンターもうまいんです。
 マルチプレイであっても狙われている人さえわかれば同じことはできます。赤マークの人が狙われやすいってわかっているなら、四人全員でホストの位置に寄ってきて、全員でカウンターするとかできるわけです。ホストも二人目が集まりやすい位置とかに移動してあげるとかしてあえてカウンターさせるなんてこともできます。
 先ほど自分が狙われないとカウンター武器は活躍しにくいというのは誤解だと言いましたが、これが理由です。誰を狙うかわかっているならわざと攻撃をもらいにだっていけるんですよ。逆に攻撃が欲しくないならホストから離れればいいんです。そういう戦略もとれるわけです。
 でもこれが平等に狙うってなるとまったく話が変わってきちゃうんですよね。全員が狙われる確率が平等に25パーセントとなってしまったら、ホストと自分で一緒のところにいても狙われる確率は七十パーセントから五十パーセントへと減ります。カウンターが決まらずガンナーがダメージを稼ぎまくればヘイト値がガンナー側にたまりさらにカウンター勢に攻撃が来なくなります。そうしたらカウンター勢はなにもできなくなります。
 ヘイトが平等になることで生じる問題点をまとめると下記のようになります。


1.モンスターがあちこち移動するので追跡時間が増えてつまらなくなる。
2.うまい人だけやたら狙われるようになる。
3.動きが読みにくくなり、かえってカウンターを決めにくくなる。全員でひとかたまりになるならば話は別だが、それを野良でやるのは現実的ではない。


 多分、開発の人たちはテストプレイを繰り返し行っていく中で適切なヘイト管理みたいなものを模索していたと思います。そのなかで得た経験とかトラブルというものもあるはずです。
 ホストと青マークの人が大体6対3(残り一割は三、四人目)ぐらいの割合で狙われるメリットっていうのを僕なりにいくつか考えてみました。それは下記のとおりです。


1.モンスターの動きが読みやすくなる。けれどもほかの人に攻撃が行く可能性もちゃんとあってみんなが戦っているという感じも出せる
2.貼り主は素材が欲しいモンスターのクエストを貼る傾向が強いのでマルチプレイで貼ったとしてもちゃんとモンスターとの駆け引きを楽しんだうえで終われる(ほかの人が全部やって終わりみたいにはならないのでスリルを楽しめる)
3.貼り主は得意なモンスターや挑戦してみたいモンスターのクエストを貼る傾向があるが、他の人がそのモンスターを得意だったり好きだとは限らない。貼ったクエストが苦手な人もいることはある。そのハンデを解消するためにも貼り主が狙われるほうがいい。貼り主にとっては練習通りに立ち回れるし、貼り主以外の人は慣れていないモンスターでも楽に狩れる。
4.ホストが狙われやすいとわかるならそれに応じた戦略もとりやすい。(これはカプコンも想定していなかったメリットだと思われる。明言はしていないからすべてのユーザーが気づくとは限らない、と考えていたはず)


 ホストが一方的に狙われ、黄色マークや緑マークの人は全然狙われないというともすれば不平等に見えるこの調整も実のところ全員が楽しく遊べるようにするための仕様だったとも考えられるわけです。
 平等が必ずしもいいゲームを生むとは限りません。武器種が違えばモンスターにしてほしい行動も変わります。おなじクエストにいくにしても、人によって感じ方も違います。全員平等に狙われるなんてことになっても全員が平等に楽しめるわけではありません。
 もっとも平等に狙われる形でもいいゲームは作れたと思います。平等に狙うとなったとしても、調整次第でずっと動き回るなんてことにはならないと思いますし。
 ここでいきなり身も蓋もないことを書きますが、誰が狙わやすいかなどはやっていても普通の人はまず気づかないで楽しんでると思います。初見の人からすれば誰が狙われるかよりも倒せるか倒せないかのほうがはるかに重要です。終わってみて初めて「めっちゃ被弾したな」とか「意外と楽だった」という感想が出るぐらいではないでしょうか。
 そして仮に熟練ハンターがヘイトの仕様に気づいたとしても、その仕様を逆手に取って自分に有利なように進めていくだけだと思います。
 今だってそうです。太刀使い四人で円月運用をするときなんかは貼り主がずっと狙われ続けるので、四人全員でホストに向かう攻撃をもらいにいって四人で水月、一回の攻撃に8000ダメージのカウンターをぶつけるなんてことをしてます。ヘイトが平等にくるというならやはり全員でひとつの場所にかたまって同じことをしたかもしれません。
 今の仕様で十分楽しく遊ぶ手段はいっぱいあると思います。だから騒ぐ必要もないし、修正をお願いする必要もないかな、と思います。


 
 


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